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感想 図書室のはこぶね  名取佐和子 青春ものでありミステリーでもある。その謎に託された思いが箱舟に乗って現在に。

この小説は、 アオハル ものなのか、それともミステリーなのか。
舞台は図書館。
体育祭に出れないケガをしている女子バレー選手の主人公が一週間だけ図書委員になる
元々の図書委員、コク太郎 とコンビになる。

コク太郎 というあだ名は、ある女の子に何度も何度も告白するから、そんな不名誉なあだ名がついたらしい。

断っても断ってもゾンビのごとく蘇り、告白してくる恐怖のコク太郎


このキャラ設定が楽しい。しかし、この告白の意味がわかった時、読者はサプライズ体験をすることになるのだ。

ここからがミステリーだ。

ある本を彼女が見つける。しかし、それはあってはならない本だった。図書館の刻印もある。1冊しか存在しないはずの本が2冊同時にそこに存在した。そして、そこには暗号めいた言葉が・・・。

コク太郎は当初、謎解きには消極的なのだ。そんな彼に・・・

謎は、気づいた者に解かれるのを待ってるんじゃないの?


彼女は名探偵のようなセリフを吐く。


その本は結局、10年前のある出来事と繋がります。
その事故で死んだ人が借りていた本だった。
その彼の思いが、謎という箱舟にのって現在に伝染し・・・、彼らは動かされる。行動する。心の中でrevolutionを起こすのだった。

ミステリーだから伏線の回収が最後にはなされる。それがとてもいい感じになっていた。
出てくる大人たちも感じよくて温かくて、良い世界観が形成されていて、この世界にもっといたいと思った。

これは青春ものであり恋愛ものである。
そこにミステリーを絡めることで魅力が増加している。
とても面白い。この作者の他の作品も読みたいと思った。




2022 4 12



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