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感想 教場0 長岡 弘樹  教官風間公親が片目を喪失したエピソードが書かれています。短編小説集。

教場を読んでて、やはり気になるのは風間教官の義眼だろう。
優秀な彼がどうして現役を辞めて教官になったのか。
そのルーツがここに示されています。

教場0
つまり教官になる前の話しです。

当時から、彼は新人の教育係でした。
通称、風間道場は、これぞという新人を三ヶ月間、風間がみっちり鍛えるシステムです。

本書は短編集。
まず、犯人が出てきます。
そのトリックを新人が風間の手助けで解き明かすというパターンです。

風間のすごいところは、目を千枚通しで刺されているというのに、指紋がどうたらと教官でい続けることでした。最後の最後まで教官なのです。

例えば、一話目のホスト殺しの事件は、彼の残したダイイングメッセージを解き明かすものでした。
名前がヒントになるのですが、風間が新人を解決に導く様はなかなかおもしろいです。

第五話の指輪のレクイエムの最後のエピソードが素晴らしい。
70歳の認知症の妻に困っていた50歳の夫が
妻を殺すという話しですが
そのトリックも面白いのですが
最後に妻がとった行動に感動しました。
死ぬと気づいた妻は、最後に夫に疑いがかからないように
ある行動をとるのです。

風間が出てこなかったら、どれも普通のミステリーでした。
風間が出ていた。
教場シリーズだった。
それが本書の推しポイントになるのは残念です。


2022 7 12



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