ある夏、彼らは鉄塔の上に着物姿の少年を見つけた。
鳥人間のように空を飛びたい少女
幽霊が見えるため不登校になった優等生
鉄塔オタクなまじめな学生
この三人が、夏休みを利用し謎解きをする、冒険ファンタジー。
少年たちの好奇心は面白い
これだよね、大切なのは興味の赴くまま行動すること。
やってみて初めて〝ああ、これは意味なかったな〟って分かる
彼らの興味は、鉄塔の上に座っている少年だ。
たぶん、幽霊だ。
見たい、会いたい、何者か知りたい。
鳥人間になりたがっている帆月
彼女はどうして、そんな無謀なことをするのか、その理由が興味深い。
彼女は転校するんだ。
みんなに忘れられたくない。
爪痕を残したい。
それが彼女の奇行の原因
幽霊の少年と遭遇してからが面白い。
ファンタジー色が濃くなる。
神社の先に、いきなり鉄塔の上の世界が存在する
そこで彼らは付喪神、いらなくなった物たちの行列を見つける。
転校し引っ越していく帆月
彼女は友達に忘れられたくなかった。
というのも、父の転勤が決まってすぐ
実母に会いにいったら忘れられていたのだった。
この3人の冒険は、この帆月という少女の引っ越しても忘れないでねという
そういう気持ち、自己主張というのかな
そういう感情がベースになり
引っ込み思案な鉄塔オタクの主人公と、幽霊の見える少し人との付き合いの下手な少年を巻き込んだ冒険なのだ。
彼らは冒険を通して、自分たちにはない
ちょっとした勇気とか、思いやりとか
そういう感情に気づきつつ
鉄塔を好きになるのでした。
というか、作者の鉄塔愛が半端ない。
どれだけ鉄塔が好きなんだという作品。
そのウンチクも魅力の一つです。
2022 3 8