感想 あなたはここにいなくとも 町田そのこ 断捨離がモチーフなのだろうか。優しいおばあさんたちが、いいアクセントになっています。
町田さんの作品なので読みやすく、感情移入もしやすい内容になっています。
短編集です。
おばあさんが重要な役割で出てくるのが特徴です。
「ばばあのマーチ」と「先を生く人」は、いずれもモノを手放すという行為がモチーフになっています。
物には感情が知らない間に移入してて捨てるには勇気がいる
そんな物たちをゴミ屋敷に預かって、毎日、楽器演奏会みたいなことをして供養している婆さん
「ばばあのマーチ」
たくさんの物を持っているお婆さんは末期がんでホスピスに移る、その最後の大掃除
「先を生く人」
そこに出てくる物は、人生そのものであり
それを手放すことは大きな作業となります。
リセット症候群の女が描かれている「入道雲がうまれるころ」は、人生を定期的に断捨離してしまう女です。
「くろい穴」という作品のこれは、栗の渋皮煮を作る時に紛れてる虫食いの栗のことです。
不倫相手の妻に懇願されて、この祖母のレシピを作るのですが、そこに彼女の悪意が込められます。
結果的に、不倫相手を断捨離するのですが、このレシピをも手放すことになる。
「おつやのよる」は祖母の死を受け止める話しですが
積み上げられていくエピソードの数々がなかなか良い
物も人との関係も簡単に捨てられるものではない
僕の中で少しだけゴミ屋敷の印象が変化しました。
2023 4 23
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