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書評 サクッとわかるビジネス教養地政学   地政学を学べば世の中の疑問が解決する。これは大切な学問だ。

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本書を読むと、もあもあしていたものが すっきり してくる。
何故、北方領土は返還されない。米軍基地が沖縄から撤退しない。中国は尖閣諸島をうろつく。色んな疑問が解決する。

国際政治が「劇」なら、地政学は「舞台装置」
国家の裏側にある思惑をひも解くスキル


世界は各国のエゴにまみれて動いていた。
そこに正義なんて言葉は存在しない。騙し合いの世界だった。力と金が今だに支配していたのである。

地政学は

アジア、ヨーロッパ、中東の3大エリアをめぐる
国のふるまいの研究

地政学を学べば国の本音がわかる。

それは知っていると知らないでは、ずいぶんと違う。

具体的に、日本の事を見て行こう。

・日本の地政学

歴史的に対外戦争はほとんどなくランドパワーの国に
明治以降は海外進出し陸と海に進出するも失敗
現在は米国のシーパワー勢力の一員となる。

本書では、ランドパワー(大陸国家)、シーパワー(海洋国家)という区分で世界を観察する視点をとっていて、そうすると各国の思惑が明確になってくるのだが、その部分は本書を買って読んでもらいたい。ここでは島国日本の話しに限定する。

島国であることで海外から攻めづらく
自給自足可能な国土を有している。

北方領土の返還が困難なのはロシアにとって重要な土地だが、日本にとっては、さほど意味はない。ロシアは北方領土で米国や中国の監視をしていると同時に、新しく開通した北極海ルートを守る盾にしている。この北極海ルートはロシアにとってとっても大切なため、その出入口である北方領土はかなり重要なので返還はすごく難しいのである。

沖縄米軍基地や日本の米軍基地はどうして問題ばかり起こしているのに、存在しているのか?。

それは完璧な拠点だからだ。
ICBM大陸弾道ミサイルで世界の主要都市を射程に収めることが可能である。世界有数のインフラ設備を完備している。
横須賀基地には、空母も修理できる巨大ドライドックがある。米海軍には必須。太平洋やオセアニアの監視に必要。ようするに、米軍の世界戦略に欠かせない重要な基地なのだ。
だから、彼らは問題を起こしても反対運動が激化しても残る。

軍基地の役割。日本のメリット。
日本は石油の88%を中東より輸入している。1日に2度、大型石油タンカーが来ないと日本は破綻するらしい。

マラッカとホルムズの2つのチョークポイントを米国がおさえていることで、中国の邪魔をさせないようにしている。つまり、米国海軍が守ってくれているから比較的安全に航海が可能なのだ。

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今のルートが使えなくなると、日本経済は大打撃を受ける。やっていけなくなる。故に、アメリカに逆らえない。
これが本書で一番の衝撃的なポイントだ。

日本は経済を人質にとられていたのだ。米軍基地を拒否するなら中東からの石油の分のエネルギーをどこかで補完しないといけないのだ。そんなことは無理である。

だから米軍基地はなくならない。日本にとって必要だからだ。

北朝鮮のミサイルは日本に7分で着弾する相当な脅威だ。
これをスルーしている日本人は?。

アメリカが守ってくれているから。本当に?。

彼らは世界の警察を辞めたいと言っている。理由は明確だ。お金がない。オバマが発言し、トランプがそれを補強している。守って欲しいなら金をだぜ。米国から武器を買えと脅してくる。

それが真実の話しだ。基地がなくなり米軍が世界から撤退して困るのは日本だったのだ。

本書は、他にもアメリカ、中国、ロシア、中東についても詳しく分析している。この本を読んだだけでも、世界が何で動いているのかは明白になる。

そして、それは「正義」などという「幻想」ではなかったのだとわかる。それを信じているのは甘っちょろい日本人だけなのかもしれない。世界は理不尽な暴力装置に支配されていたのだ。むかつくが事実だから仕方ない。それを「金」で買っていただけなのである。「友情」とか「正義」とかじゃなく。「力」と「金」の問題だったのだ。

これから地政学は大切になってくると思われる。本書はそういう意味でも、とても面白い基礎本だと思います。不都合な真実だって知る必要はあるはずなのだ。


2020 8/13






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