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書評 旅する練習 乗代雄介  芥川賞候補作品なのですが、今いち力強さが・・・。

サッカー少女の姪と作家の叔父が
コロナの期間に歩き旅
これはただの二人旅ではなく
生きるための予行演習(練習)に思えた。

風景描写と観光地の解説みたいなロードムービー的な展開から
カワウという鳥が出てきたところから少し変化していき
人生に迷う女子大生と遭遇し
ジーコの話しになる。

人生には絶対に忘れてはならない二つの大切な言葉がある。それは忍耐と記憶という言葉だ。忍耐という言葉を忘れない記憶が必要だ・・・

このジーコの言葉は心に刺さる
コロナの世の中はしてはならないことが多く
未来への不安もあり辛い
でも、いつかは終わる。だから忍耐と努力が必要だ。
そして、そのことを記憶していかなければならない。
ジーコの言葉がコロナ下の僕たちに問いかける。
内定をもらっていた女子大生が、メール1つで採用取り消し。
理不尽だが腐ることなく耐えるしかないのだ。
この旅は作家の叔父さんにとっては風景を描写する小説の練習であり
姪にとってはサッカーボールを蹴りながらの旅はサッカーの練習なのだった。
これも忍耐の連続なのです。
忍耐と努力の先にジーコのように華が開くこともあるのです。
この小説のラストはあまり好きではありません。
何とかならなかったのか。
芥川賞を逃しましたが、これはしかたがないでしょう。

2021 2/11





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