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感想 アリスが語らないことは   ピーター・スワンソン  アリスは本当に悪女なの?。僕にはそう思えない。

400ページと、そこそこのボリュームなのに一気読み
それだけ読ませる内容だったということです。
構成がおもしろい。
本屋の亭主が殺される。息子のハリーが探偵役。
容疑者は後添えのアリス。魅力的な若い女性です。息子のハリーから見ても女として魅力的。だから、意図的に避けていたところもあるわけです。

構成は、現在と過去のパートに分かれていて
現在は、謎解きと、第2の殺人などなど・・・。
過去の話しは、アリスと継父の話しがメイン。過去の2つの殺人事件ですね。

アリスは「悪女」である。
そう作者は思い込ませたいのだと思う。
確かに、それはそうですが、どこか憎めないところもある。
厳密に言うと悪女とは断定しきれないのです。

タイトルは「アリスが語らないことは」
ここが大切で、アリスは過去が不幸な境遇だったこともあり
自分に都合の良いようにと世界を見ようとします。
だから、不都合なことは語らない

過去の第一の事件もそう
第二の事件もそう

正直に話していたら、あんな結末にはならなかったのです。

殺された父親が日記に残していた言葉が印象的

「まだ、暗くないが、じきに闇が降りてくる」

まるで、自分の死を予感していたかのよう。


もう1つ、殺された父と息子の会話
ミステリーが好きな父に、どうして、そんなに好きなのと聞く場面
ここも面白い

たぶん、それは私の宗教なんだろうな。私には信仰する本物の宗教がないからね。世界は混沌状態にある。そこへ探偵がやってきて、秩序を回復する。あるいは回復できない。そういう奴が私が本当に好きなミステリーなんだ。



とにかく、おもしろい。
展開もなかなか読めなかった。何となく犯人はわかりますが、それでも楽しめます。
エンタメとして、かなり優秀だと思います。

2022 3 26



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