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書評 家にいるのに家に帰りたい クォン・ラビン  洪水のように押し寄せる言葉の数々、たくさんの共感する感情を得た気がする。

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日常から生じる言葉の数々、作者の言葉に何故か共感した。
溢れだしてくるような言葉、その1つ1つは強く。
ピアノの鍵盤を叩くかのように心に響いてきた。


「みんな平気なのに、どうして?」。そんな言葉が、むしろもっと自分を苦しめる。

相手は励ましているのだろうけど、慰めになっていない言葉。
人によって受け止め方はさまざまなのだ。
みんな平気でも、私は平気じゃないんだよ

他の人と同じ道を歩まなくてもいい

そうそう・・・と思わず頷く。
これに気づくの遅すぎた。

そして、この言葉

大切にされたいのなら、他の人のことも認めよう
間違っているのではなく、ただ違うだけなのだから

同性愛についての話しの途中に出てきた、この言葉も好きだ

当たり前の権利なのに、
当たり前じゃないことが悔しかった・・・

女が女を愛する感情も当たり前のことなのに、社会に蔓延するモラルが
無意識に罪悪感を感じさせる、その状況。
そこに違和感を感じている作者に僕は共感する。


思いやりが少しずつ降り積もって、当たり前の日常になったら
そうすればきっと、あたたかい世の中になる・・・

幸せものさし

わたしの幸せものさしは、他人ではなく自分
まわりから見れば「つまらない」ことも
わたしにとっては塵ではなく、宇宙
しんどさだって同じ
幸せもしんどさも
すべて基準は自分で決める
押しつけがましくマウント取り
他者を蔑む人は、おことわり


これ特にいいね。

誰かを憎む心は、結局、自分を傷つけるだけなんだよ

「わたしは水の中に住む魚だけど、雨に濡れるのは嫌いです」
この文章のように人生もまた、矛盾の連続だ。


しわくちゃにならない勇気

踏みつけられても
しわくちゃにならない勇気
びりびりに破かれ無視されても
ダメにならない勇気
わたしは決してしわくちゃにならないという心
自分という紙のしわをきれいに伸ばし
わたしだけの色で絵をえがく
しわくちゃにならない夢


違うからこそ惹かれあったのに
違うからこそ別れるわたしたち
人生で大きな学びを得るのは、たいてい持っている物を失くした時

 たぶん、共感の中には、僕自身の過去の体験とリンクする記憶があり、それが重なったことで言葉と体験の化学反応を起こしたのだと思うのですよ。
 そういう心に響く表現、言葉がこのエッセイ集にはたくさんあり、自分もそうだったとか、そういうのわかるという気持ちになれます。
 読みごたえのある言葉の数々でした。
 とても良い本です。とくに若い女性におすすめです。


2021 5/5





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