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2022年 2月の読書日記

読んだ本の数:11
読んだページ数:3715

今月の読書数はそんなに多くない。

この2冊は、読んで損はないと思う。

あひる 今村 夏子

教室が、ひとりになるまで 浅倉 秋成


あひるは、そのモチーフが現代的だ。
あひる 見たさに集まる子どもたち
それを喜ぶ両親
あひるが死ぬと、別のあひると連れてくる
このあひるが交換可能だということが恐ろしい。
何でそんなことをするのか。
その背景にある心情

教室が、ひとりになるまて゛
この作品は新感覚派ミステリーだ
犯人は能力者
探偵も能力者
この新しい理不尽な設定上での謎解きが秀逸


以下、簡単な感想まとめ・・・・


ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ (角川文庫)の感想
記憶を失くした少女、医学の知識が普通ではない。そんな白夜が病院で総合診断の仕事を得て、難病を仲間とともに見つけ出す。4つの話しがあって、後半の2つは何となく似ている病気だったが、最初の話しと次の皮膚科の話しはかなりいい。スリリングな展開ということでは、最後の話し。グラビアアイドルを、いつもは病気診断だけなのに、助ける方法まで見つけ出し皆で助けてしまう。そこに医院長の生命がけの参加。これは感動ポイント。医療ものとしては、かなり面白い。
読了日:02月05日 著者:樹林伸


ドクター・ホワイト 神の診断 (角川文庫)の感想
シリーズ二作目。白夜の秘密が解明するという面白さはあるが、今回は医療ものとしての個別の案件、病気治療ということでは、元芸能人の女性と夫の二人の病気治療と、妹の病気の話しだけだった。白夜の過去については、そこそこ面白くもあるが、クローンとか臓器牧場的な発想はすでに使い古されたモチーフであり新しさがなくて残念だった。続編があるらしいが、謎が解けてしまったので、先を読みたいという動機づけは一気に消滅してしまった
読了日:02月06日 著者:樹林伸


マーケットの魔術師の感想
古い時代に活躍した人の話しが多く、株だけでなく先物やオプションの専門家の話しのインタビューもあり、こちらが完全に知識不足ということもあり、よく理解できなかった部分がたくさんあった。感情的になるといけない。ルールを徹底しリスク管理を重視しろとか、どこかで聞いた話しばかりだった。それは反対に言うと大切だから繰り返し語られてきたということなのかもしれません。
読了日:02月08日 著者:ジャック·D シュワッガー,横山 直树


墓頭 (角川文庫)の感想
とにかく長い、大河小説なのかな。10時間もかかってしまった。疲れた。頭に兄弟の死体というのかコブを持つ奇形の男の一生を描いた作品。みんなに嫌われた前半生。富士の樹海の探検とか面白かったが、友達のほうやがそこで死んでしまい。その彼のおじさんに引き取られて、塾みたいなところで多彩な少年少女たちと集団生活。その学校がテロ養成がっこうで、そこからははちゃめちゃな殺し合い人生。毛沢東やポルポトまで出てくる。芦屋で恋人が殺されたところで盛り上がるが、後半はちょっと・・・。楽しいのだが疲れた。エンタメとしては重厚な文体
読了日:02月11日 著者:真藤 順丈


謎の河童銭 : 続 首ざぶとんの感想
首ざぶとんの続編ですね。華道の先生と女生徒のコンビで心霊体験というか解決するのですが・・・。4つの短編の中で一番不気味だったのは人形の話し。誰かに似た人形、その人が消えるという話しだが、いろんな側面からのアプローチというのか構成が上手かった。千本ノックを食らったような恐怖。河童銭の呪いの話しもゾッとした。しかし、呪った人間が破滅する様まで描く必要があったのか。うやむやなほうがゾッとする気がする。最後の生霊の話しはオチがいい。
読了日:02月12日 著者:朱雀門 出


ダリの繭 「火村英生」シリーズ (角川文庫)の感想
ダリと似た髭の持ち主の有名社長が殺された。彼はある女性を巡って三角関係に。複雑に絡む人間関係。遺産をめぐるものなのか、愛憎関係なのか。火村シリーズ第2弾。あの人の趣味が一番びっくりでした。最後のどんでん返しはびっくりした。
読了日:02月13日 著者:有栖川 有栖


小説 シライサン (角川文庫)の感想
その話しを聞くと呪われて死ぬ。目玉が潰れて、顔面が破裂死・・・。何となく「リング」と似ているが、拡散すると助かるというわけではなく、拡散したくなるだけ。パンチに欠けるし、何となく二番煎じにも思えた。そこそこ面白かったが、何となく残念な感じがした。
読了日:02月17日 著者:乙 一


あひる (角川文庫)の感想
不穏な小説とでも言うべきか。昔「星の子」という、この作者原作の映画を見た。新興宗教にはまっている両親を冷めた視線で見つめる娘が、この「不穏」な感覚と似ている。あひるは人気者で子どもたちが集まり、引退し寂しい両親は彼らを接待する。あひるが死ぬと、次のあひるを連れてきて、これは「交換」可能なのだ。ようするに、両親が寂しいから子供たちに来て欲しいのだ。次の「おばあちゃんの家」のおばあちゃんも孤独だ。それは母子家庭の「森の兄妹」もそうだ。不穏なのは「孤独」を埋めるためにしている行為。それだと思った。
読了日:02月20日 著者:今村 夏子


教室が、ひとりになるまで (角川文庫)の感想
煩わしい人間関係。されど、人は一人で生きていけるのか?。それは疑問だ。三人の生徒がたて続けに自殺した。遺書は全員同文。明らかに怪しい状況。この学園には歴代、何らかの能力者が4人いた。犯人はその能力者、探偵役も能力者。犯人は誰なのか、どういう方法で殺したのか。殺人の動機は何なのか。能力を無力化させようと彼らはその死神を追う。おもしろい。普通のミステリーとは、また、違う楽しさがあり、展開もスリリングでハラハラ・ドキドキ。おもしろかった。
読了日:02月23日 著者:浅倉 秋成


ホーンテッド・キャンパス この子のななつのお祝いに (角川ホラー文庫)の感想
ベースにあるのは神話。村長が巫女の一族で生贄とか、祭祀とか・・・。霊場になっていて、やたらといろんな霊が出没する。それにしても世界中の神話がいろんな形で繋がっている。そこは不思議。おもしろさは中ぐらい。このシリーズを読むのは、もはや義務化してきた。
読了日:02月26日 著者:櫛木 理宇


ホーンテッド・キャンパス 春でおぼろで桜月 (角川ホラー文庫)の感想
シリーズ9作目は短編集。このシリーズは短編がいい。4つの作品のうち、2つはかなりの力作。よくありがちな事故物件にわざと住む男。この理由がとても切なくていい。霊が見えるから、そうなるのだろうな。市松人形の話しはゾッとした。あのラストだと、もしかすると解決してなかったのかもしれない。人間には、その人の災いとかを引き受けてくれるところがあるという。とにかく怖かった。
読了日:02月27日 著者:櫛木 理宇

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