見出し画像

感想 夜明けのすべて  瀬尾 まいこPMS(月経前症候群)の藤沢さんとパニック障害の山添くん。二人の葛藤と成長を描いた物語です。


本書は、障害を抱えて生きることの意味を問うた物語だ。
日本には、数万人のパニック障害の人がいると言われている。

パニック障害の山添くんは電車にすら乗れない。
映画館にも行けない。

最悪のケース、病気が悪化すると家からもでれないケースもあるという。

PMS(月経前症候群)の藤沢さんは、生理の時期になると自分を抑制できない。
それで前職を解雇された。

冒頭、すごいシーンではじまった。
山添君が席で休憩していた。炭酸飲料を飲んでいた。
その音が気にいらないと、藤沢さんは怒鳴り散らしたのだ。

ふつう、こんな理不尽な行為は会社でパワハラになる。
解雇されることもあると思う。

しかし、他の社員さんは優しくなだめる。何もなかったようにだ。

それが藤沢さんの発作だった。

この二人が、自分の欠点を補完しあい成長していくところが本書の肝です。
しんどいシーンの連続だけど、最後は成長した二人が見れて勇気がわきます。

これは障害を抱えた社会人の葛藤と成長を描いた物語です。

どうしても、こういう病気があると人生を諦めがちになるし、下手すると社会から追いだされます。
たいていの企業は、こんな問題児はクビになります。

この会社の人たちは優しい。
こんなケースは稀だと思う。


一日が終わるたびに、週末になるたびに、ほっとする。ずっと、そんな感じで生きてきた。やりたくないことはある。だけど、私にやりたいことなどあったのか・・・・


障害のある人は、トラブルになることを怖がります。問題なく過ごせさえすればいいと思っています。

そんな二人が出会った。

たとえ映画館に行けなくても、映画を見るよりも楽しい時間を過ごすことは不可能ではない。


藤沢さんに出会うまでの山添君には、こんな発想はなかった。
将来の不安しかなかった。
これが二人が出会った化学反応なのだと思う。




映画化決定。
藤沢さんはイメージ通りです。


2023 10 11



この記事が参加している募集

#読書感想文

187,975件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?