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ステージに立つときに

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演奏、表現、クリエイティブな空間で思うこと
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記事一覧

『マエストロ、時間です』/おすすめの一冊

 本が大好き。でも本棚は、考え方とか、中身が見えすぎてしまうから、見せない人が多いと思い…

「もっていない」に戻る

 文章を書くのが好きな人は、それ以上に読む-「読む」までいかなくとも「言葉に触れる」のが…

静寂のとき

 静寂のときを守る。沈黙のうちに、ひとの思考は目まぐるしく駆け巡っている。多くを想うが、…

むこう側のなにか

言葉を愛する  言葉をひとつ選ぶ。その言葉の持つ色合いと温度がより一層浮き立つことを期…

無名の宝

 あまりに知られているものを例にとってしまうが、プルーストは紅茶につけたマドレーヌから記…

過激じゃなくたって

 この世にこんなにも優しい音楽があるのかと思ったのは中学生の頃、シューベルトのピアノソナ…

憧れを追い続けて

憧れのサロン『火曜会』  大学生の頃から、タイムスリップしたい時代は?と問われると「マラルメの『火曜会』」と答えてきた。詩人ステファヌ・マラルメは19世紀フランスで文化人の集うサロンを催した。その場所はパリのローム通りで、私が4年間過ごした家ともほど近い。モネやマネ、ルノワール、ゴーギャン、ヴェルレーヌにジッド、オスカー・ワイルド、ドビュッシー…と錚々たるメンバーが集ったという。彼らはそれぞれの芸術文化のみならず社会情勢にも敏感で、「社会を生きる人間としての活動」を体現し

音楽に託されたもの-メシアン、ベリオ、レヴィ=ストロース

人間の解放  さまざまな方向から見た立体面をひとつの絵に収める-一風変わった面白い手法を…

与えられた有り難いもの

 忘れる-できればしないほうが良いものかもしれないが、最近はこれができることで人は起き上…

音楽が凶暴になるとき

音楽と凶暴性  凶暴さとはなにか。普段生活するなかで危険視されるそれを、私は時に、音楽に…

「行間」が消えないように

演奏会のスケジュールはだいたい2年先まで決まる。 その2年の感じ方が、この1年間で大きく変…

だから、文化を。

多量のインプットは、個としての思考を停止させる、と私は思う。 私たちは機械じゃない。 イ…

【御礼】山手ゲーテ座

こちらでお礼を言うのが遅くなってしまいました。 お知らせしておりました3月13日の岩崎ミュ…

モーツァルトの光と闇

モーツァルトは無邪気だとか快活だとか言われるたびに考え込んでしまう自分がいた。そうしているうちに煮詰まっていく。 パリのオペラ座は斬新な演出が好きだ。 スタイリッシュともいうしモダンともいうし、キラキラを排除したダークさをも感じた。 当日券で行けば、5~10ユーロで観劇できるので、パリにいた頃はよくオペラにも足を運んだ。 度肝を抜かれたのは何といってもマダム・バタフライのモノクロームな演出だ。「禅・静・闇」といったところだろうか。最初から最後まで不気味(不吉)さを保ち