「もっていない」に戻る
文章を書くのが好きな人は、それ以上に読む-「読む」までいかなくとも「言葉に触れる」のが好きだと思う。言葉に触れる、というのは、心に触れることであって、いかに言葉を知っているかとか、いかに多くの知識を備えているかとか、そんな偉ぶった感情とは真逆のことを求めている。「ない」「もっていない」というところに心を落とし込み、なにも固めていない素の個体に戻る静かな瞬間は、本当に満たされている。自分という小さな個体が、他者であったり人以外の存在であったり、周りに在るものの恵みによって生か