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『マエストロ、時間です』/おすすめの一冊

 本が大好き。でも本棚は、考え方とか、中身が見えすぎてしまうから、見せない人が多いと思います。同じような感覚で、本をおすすめすることもほとんどありませんでした。すすめて良いのかわからないし…。

 私にたくさんたくさん本を教えてくださる先生がいます。それがとてもありがたくて、嬉しくて、自分でも見つけなきゃとも思うし、つぎのおすすめを密かに期待してしまいます。
 先生の、おすすめの仕方も大好きです。本当にさらっと、とてもさりげなく、ひと言しか仰らない。聞き逃さないように、気をつけていないといけません。
 本そのものを、そっとプレゼントしてくれたこともあります。(カバーの色のチョイスも渋くて素敵だな、なんて思ったりもして。)

 そのなかで、ひとつだけ紹介してみようと思います。
サントリーホールの初めてのステージマネージャー、宮崎隆男さんの書かれた『マエストロ、時間です』という本です。

 演奏する人や学生さん、音楽関連の仕事の方、コンサートへ行くのが好きな方などなど、いろいろな方に読んでいただきたい一冊です。
 小澤征爾さんのお話もあります。カラヤンとの場面もとても濃い。奏者のコンディション、その状態が演奏に与える影響まで、ひとりひとり本当によく見ていらっしゃることがわかります。
 奏者を送り出す言葉「toi toi toi」の重みと温かみも、うるっと来るほど。
(フランス語を見慣れていると「君、君、君」に見えてくるな…「トイ トイ トイ」はドイツ由来の、幸運を祈るときに言われる言葉です。)

 この本を勧められたのは、大学に入って間もない頃でした。「ここまでやって、働くってことなんだ…!」と感動したのを思い出します。
 自分が演奏するとき、ステージマネージャーさんや、携わってくれる方々の姿をよく見るようになりました。でもどれだけ感謝しても、やはり自分がやってみないとわからない…と年々思うようになり、ホールでのアルバイトもしました。その結果、やはりどの道もプロというのは、隅々まで意識と努力、心配りに、桁違いの凄まじいものを持っている、ということを身に染みて感じました。
 私も自分の道で、そのようになれるよう、鍛錬しなくては。

(サムネイルの写真は、私が唯一サントリーホールで演奏させていただいた「カルミナブラーナ」の公演前の様子です。ちなみに今日7月16日は、設計に大きくかかわった指揮者カラヤンの命日です)

 『マエストロ、時間です』ぜひ読んでみてください。
昔の記事ですが、こちらもおすすめです。サントリーホールのサイトです。

🔶アートのおしごと・ホール編/ステージマネージャーって何をするの?
https://www.suntory.co.jp/sfa/artkids/detail/1116/

🔶特集:音楽を届ける仕事
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/column/detail/hibiki_12.html


クラシック音楽を届け、伝え続けていくことが夢です。これまで頂いたものは人道支援寄付金(ADRA、UNICEF、日本赤十字社)に充てさせて頂きました。今後とも宜しくお願いします。 深貝理紗子 https://risakofukagai-official.jimdofree.com/