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「忘却のサチコ」がおもしろい。

その人が普段見せない笑顔であるとか、ふざけてばかりの人の真面目な顔とか。そういうギャップって魅力的に感じるものだなと思う。

「忘却のサチコ」というドラマがある。高畑充希ちゃんが演じる主人公「サチコ」は、文芸誌の編集者。超真面目で仕事をバリバリこなす”鉄の女”(でもちょっと真面目すぎておかしいところもあるんだけど)。そんな女性が、順当にお付き合いしてきっちり準備をして迎えた結婚式当日に婚約者に逃げられるというハプニングから物語は始まる。

不測の事態には的確な謝罪で対応して当日は終わったものの、日常に戻ってからもサチコは何をしていても婚約者のことが頭から離れなくなってしまう。「どうして俊吾さんはいなくなってしまったんだろう?」「どうして何も言わずに?」「もしかしたら、もっとこんな私だったら、俊吾さんと一緒に居られたのかもしれない…」ぐるぐるとそんな思考が暴走する中、サチコは旨いものを食べているときだけは、新郎・俊吾さんを忘れられるという忘却の法則に気がつく。

帰り道、ふと惹かれて入る定食屋の鯖味噌。仕事終わりにガッツリ食べるジンギスカン。ふだん滅多に感情を表に出さない”鉄の女”サチコが、旨いものを食べている時の心の声。これがめっぽうおもしろい。見た目には無言でひたすらご飯をほおばっているだけなんだけど、心の声では語彙力豊富なおもしろすぎるコメントが連発している。そのギャップを高畑充希ちゃんがコミカルに演じているとてもいいドラマだなと思う。

これって、今までほぼ無趣味でレールに沿ってキッチリ真面目に生きてきたサチコが、初めて”趣味”というか”喜び”を見つけた瞬間なんだろうなと思う。婚約者に逃げられるという挫折から、改めて食事を通して自分の喜びを見出していく瞬間を見ているんだなと思う。そして、少しだけ今までとは変わったサチコが(相変わらず真面目で変なんだけど)、仕事を通じてまた様々な人と関わっていく。


もちろん、そんなキッカケなんかなくても自分の喜びは探せるんだけど、あまりにも生真面目すぎてこれまでは気がつかなかったんだろう。

ふと隣にいるカップルのやりとりを見ながら、「自分もこんな風(ぶりっ子)だったら、俊吾さんに大事にしてもらえたのだろうか…?」そんな想像をしてみるも「いや、でもそれはもはや私ではないな」と思い直す。俊吾さんのことを忘れるための”旨いもの”が、かえって俊吾さんとの関係や自分自身を捉え直す時間になっているようで、それもまた味わい深い。

(個人的には一人焼肉とか全然アリだと思ってる)


一話完結式ドラマなので、途中からでも大丈夫なのでぜひ見てみて欲しい。



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