モチ人間

大福が好き 映画と本と日頃のこと

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最近の記事

満員電車で踏ん張る前に(もしくは後に)

 満員電車ほど非人間的な移動手段はない。  文字通り、人と人の間が潰されることで、嫌が応でもお互いの肉体を意識することになるこの空間では、他者の存在は何よりもまず物質的なものとして捉えられる。  人が、ある範囲では同じ目的を持って、時空間を共有し集まるにも関わらず、そこに社会は生まれない。対等なコミュニケーションを図るために必要な互いへの尊重や想像力は、圧倒的な物質性を前に後景へと退く。  実際、ある面においては、乗車するにあたってコミュニケーションは必要ない、とも言えるだ

    • 身体の動かし方マニュアル

       私には、主に身体に関する悩みと精神に関する悩みがある。 そのうち精神的な悩みの、それまた一つに頭で考える(あるいは求める)ことに身体がついていかないというものがある。 やめなければいけないとわかっていることをずるずる続けたり、しなければならない(酷い時はしたいと思っているにも関わらず)ことをなかなかし始めなかったりするようなことだ。 手には暖かい弁当を持ち寒さに凍え鼻水を垂らしながらも、足が痛みや疲れに気を取られ一歩も動けないことがある。今夜がそうだった。ここで立ち止まって

      • 未だ些細な違い

        左利きである。 左利きだからと言って、家が借りられないわけではない。 左利きだからと言って、店から追い出されることもない。 左利きだからと言って、結婚できないことはないし、子供を産めないわけでもない。 左利きだからと言って、就職できないわけではないし、殺されることはない。 ただ横口お玉を使えばこぼし、 駅の改札では身を捩り 食卓では左端か斜めに腰かけ 鋏は切れず カッターは使いづらく 急須は体ごと傾けて注ぎ 時たま少し高価な専用品を買わざるえず 好きなデザインを諦め 握手の

        • 手紙の効用

           夜、友人と久しぶりに話した。  最後の話題は手紙と、日記、書かれた文章について。友人は死後、日記を誰にも読まれずに燃やして欲しいらしい。その一方で文通(より抑制された交換日記のようなもの)を勧めもしてくれた。  寝て起きて仕事をし、ご飯を食べて、ふと結婚式の手紙を思い出す。  結婚式のラスト(といってもライスシャワーやカンカン・カーまではいかず)のパブリック=つまりそうだと私が思う・イメージは、やはり婚姻当事者からかつての保護者(多くは親なるもの)への感謝の手紙と花束贈呈

        満員電車で踏ん張る前に(もしくは後に)

          機械と生きるための覚書

          機械に対して無性に腹が立つことがある。例えば他人に、人に同じ事をされたとしても何とも思わない様なことでも。友人達は機械に対して怒ってもどうにもならないので無駄だ(人間に腹を立てる方が自然だ)と言う。  私はそうは思わない。思っていないから腹が立つのだと思う。怒る理由があり、怒るという行為でそれに応えられると考えているのだと思う。  機械、というものを暴力的に簡単に言えば「“働きかけ(action)ると反応(reaction)がある”という仕組み」だと思う。これが反応しない場合

          機械と生きるための覚書

          猫にふれたい、というおはなし(ホラー映画へのコンプレックス)

          突然だが、わたしはホラー映画が苦手である。 TSUTAYAのホラーの棚は足早に通り抜けるし、『着信アリ。』を無理やり観させられた時には、初っ端のコンロの着火音にビビりまくって日頃温厚な先輩に(半ば呆れられながら)キレられたこともある。 ただ冷静に考えると、日頃温厚な先輩が私の苦手なホラー映画を無理に観させたりするだろうか...... ということは、実は温厚じゃなかったのか、それとも先輩じゃない何者かだったのか。 どちらにしても考えて得がない気がする。 そんなこたぁはど

          猫にふれたい、というおはなし(ホラー映画へのコンプレックス)

          整頓五色揚(本と部屋とエントロピー)

          年(度)末なので部屋の片付けが進行中。 私の部屋は恥ずかしながら滅茶苦茶に汚いのだ。 昔、 「エントロピー増大の法則に従って部屋は汚れていくのだ。それ即ち宇宙の法!」 と友人がぶち上げていたが、ご多分(?)に漏れず、私の部屋でも水際でのせめぎ合いが続いている。 部屋が汚くなる理由は、各個人各家庭お国柄色々あると思う。 私の場合は分かりきったもので、部屋に2つある本棚がそれだ。 特に本が多いというわけでもないのだが、部屋が本で溢れている。 これは本の性質の為だろう

          整頓五色揚(本と部屋とエントロピー)

          日頃のこと。

          深夜ラジオをたまに聴く。 しっかり聴くわけではない。 流しながら聞いてる(果たしてこの表現であってるのか?)と言った方が正しいのだが(正しいのか......)。 流し読みという言葉もある。 聞き流し、とすると意味が変わる。 聞くともなしに聞いている、では長い。 かと言って傍聞というのも少し違うだろう。 話を戻す。 つらつら聞いてるラジオでいうと 『伊集院光の深夜の馬鹿力』の「今週気づいたこと」、『爆笑問題カーボーイ』での「思っちゃったんだからしょうがない」みたいな感じの「

          日頃のこと。