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戦い続けることで成長し続ける、その姿を【7/3広島戦◯】

※写真は自身もそれなりに戦っているねこ

「立ってるだけでももう1点が入るかもしれない・・・!」と、つい思ってしまったその瞬間だった。

村上くんの打球は、そのままスタンドに吸い込まれていく。夢を見ているのだろうか、と、私は思う。いつもいつも、この19歳は、へなちょこファンの私がささやかに期待するそのずっと上の結果を見せつけてくれる。押し出しの追加点でもいい、と考える中、村上くんは20号となる満塁ホームランを放った。

去年の9月、神宮のカープ戦で、村上くんは初めて打席に立った。それはもう、いつものように、いつもと同じように、コテンパンにやられているカープ戦だった。どんな初打席になるのだろう、そう思いながらライトスタンドで見ていたら、村上くんの放つ打球はまっすぐ、こちらに向かってきて、そしてそのままスタンドに飛び込んだ。

すごいものを見たな、と、私は思った。これからもっともっとすごくなるという、そういう期待に満ちていた。新井さんの神宮最終戦となるその試合で、そして安室ちゃんが引退するその日の試合で、寂しさを抱えながら同時に、未来のスター誕生の瞬間にわくわくしていた。

だけど「未来」は思っていたよりもずっと早くやってきた。いつかこの18歳は、ヤクルトの中心選手になるのかもしれない。そう思っていたら、1年も経たず、村上くんは気付けば4番を打っていた。誰よりも打点を稼ぎ、どんな苦境もいちいち乗り越えていた。「そういえば最近ちょっと打ててないな」と思うたび、目がさめるようなどでかい1本を放ってきた。「4番はさすがに荷が重いんじゃないか」と思うと、「20号となるグランドスラム」を放った。

村上くんはいつもいつも、こちらが思う小さな不安や心配を、一人で乗り越えてきた。あの、去年の神宮での広島戦から、今日までずっと。この若い一人の選手の成長を、この前で見てこられたことが、もうそれ自体が奇跡のようで、特別なものを見せてもらっている気がして、ただうれしい。

でも今は、あまりにその真っ只中にいすぎて、その本当のすごさに気づいていないような気すらする。

10年後、もしかしたら20年後、この一年のことを振り返って、あの年の村上くんは本当にすごかった、あんなすごい2年目の選手は見たことない、そりゃ今これだけの成績を残している選手だもんな、でもそれは、あの一年の成長があったからなんだよな、とか、思っているのかもしれない。そしてその年、何度もなんども神宮で村上くんのホームランを見たことを、すごく懐かしく思うのかもしれない。

大事にしなきゃいけないなあ、と思う。こんなに可能性に満ちた、球界の宝みたいな19歳を。そしてもちろん、同じように、このチームにいる選手たちを。村上くんと同じ場所に立ちながら、同じようにレギュラーを取ることはできないけれど、でもそれぞれの場所で、もがきながら、迷いながら、戦い続ける若手たちを。

みんながそうして戦い続ける日々を、そして戦い続けることで成長していくその姿を、この目でしっかり見届けながら。


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