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科学ミステリー「生物と無生物のあいだ」の「内部の内部は外部」にときめく

【読書記録】


Amazonの「あなたへのおすすめタイトル」に、この本がトップで表示されていた。
今までの購入履歴やら、様々なデータベースでピックアップされた模様。

生き物倶楽部会員として気になったので、どんな本なのか見てみる。

「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える!

ふむふむ。なかなか面白そうだな。でも積読もあるし、今度。
また今度。
と、アプリを閉じた。

翌朝起きると、Instagramでフォローしている読書アカウントさんのストーリーズでこの表紙を目にした。

何という偶然!

その方から「生き物好き必読書」というお言葉をいただいたので、お導きのままに、読んだ。

素晴らしかった。

文学、ミステリー、エッセイ、学術書がミックスされたような不思議な読み心地。
ページを繰る手が止まらない。

一番グッときたのは❝内部の内部は外部だ❞の部分。

膵臓の細胞の外から中へ、そして再び外の消化管へとタンパク質が移動する機序を読んだとき、無性に心がときめいた。

なんのことかと思うだろう。

読んでもなお、「一体なんのことかしら」と思っているけど、これは私達の体の中で毎日実際に行われていることなのだ。

内部の内部は外部なのである。

面白い。
生物ってほんとにすごい。
エピローグが最後の最後にグッと。
グググッとくる。

大学2年の夏休みにしたアルバイトを思い出した。

理学部の地下。
看護学科に出入りしている講師の誘いで、実験用ラットに餌をあげるバイトをした。

暗く、ひんやりとした2畳くらいの空間に、びっしりと並べられたゲージ。
ひしめく白いラット。
私を見つめる赤い目。

あのラットたちのその後の運命と、彼らの命によって何かがもたらされたのか、されなかったのか。

そんなことを考えながら本を閉じた。

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