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2才6ヶ月の国立科学博物館・続き―話が通じるようになっていた

※この記事は”コロナ前”、2019年の記録です。2023年8月現在、常設展はおおむね変わっていないような気がしますが、定かではありません。

前回の記事では、今は変わってしまった「コンパス」での2才6ヶ月児の様子について書いた。ここでは、その後に回った常設展の様子を記録しておくことにする。


作戦会議ができるようになっていた

お昼ご飯は、日本館地下1階の「ラウンジ」で持ってきたお弁当を食べた。やけに静かに食べているなぁと思ったら、ラウンジの奥の壁に投影される映像を見ているのだった。

過去の偉人を紹介している模様。遠くて内容はよくわからなかった。

程よく映像が切り替わるので見続けているが、文字ばかりで子どもには楽しくないおかげで、手を止めることなく食べてくれていた。大変ありがたい。

食べ終えると、この後のプランを相談してみることにした。

どこに行きたいか考えやすいように、と、もらっておいた館内マップを広げた。が、広すぎるマップに展示室のタイトルがずらっと並んでいるばかりで、母にも把握しきれない。むむっ、と思いつつも、各階一つずつくらいは写真もついているので、それを頼りに聞いてみることにする。

文字だらけのマップ。これだけでどこに何があるかを理解できたら、かなりの通だと思う。

どれ見にいく?

「これなに?」

それは、昔の望遠鏡だね。
機械系(主に電車、車)が好きな子は、昔の望遠鏡を指差した。
たしかに、何なのかもわからないものを見に行きたい気にはならないかもしれない。載っている写真が何であるかをざっと紹介することにした。そして、それらの写真の中から「恐竜の骨」を見に、日本館3階へ向かうことにした。

「何であるか」がわかると楽しい

誰にとってもそうなのかもしれない。目の前に展示されたモノが自分の知識とつながると、楽しさを感じる。

日本館3階にたどり着くと、

「なにする?」

と、子は言った。
午前中に行った「コンパス」で色々なことをしてきた(前の記事参照)から、何かするものと思ったのかもしれない。ここは見るところだよ、と告げて中に進む。
恐竜のいる「北翼」の前に「南翼」にたどり着いたのでそこから見ることにする。

「カニ!」
「タコ!」
「おさかな!」

突き指せんばかりにケースに向かって指差し。
全然標本が映っていないが、タコとか貝とか海産物が並んでいた。

わかるものを見つけては、指差しして名前を叫ぶ2才児。
そしてカニがいっぱいいたので、「でっかいカニ!ちっちゃいカニ!」と面白がっている。

午後になって疲れてきたのか、見慣れない展示室の雰囲気が怖いのか、この頃から抱っこをせがまれる。それに2才児の身長では展示物が遠い。抱っこしてもらって近くで見たいという気持ちもあったのだろう。

この日ハマったのは、アンモナイトだった。
多種多様なアンモナイトの化石が展示されてるのを見て、

「カタツムリ!」
「こっちも!カタツムリ!でっかい!」

あっちもこっちもカタツムリがいっぱい。※アンモナイトです

アンモナイトをカタツムリと呼んで、ひとしきり大きさ比べをして楽しんでいる。
説明を読むと、北海道産と書いてある。昼に北海道牛乳を飲んだので、同じ北海道から来たのだと告げると、「これは?」「これは?」と化石の産地を聞いてくるので、北海道だよ、と答え続けた。

ちょっとした会話もできるようになっていた

そうしてしばらくアンモナイトを眺めていた。
ふと振り向くと、これらを掘った人物の紹介コーナーがあったので、子にも伝えてみた。

この写真の人が掘ったんだよ。どうやって運んだんだろうね? 重そうだよ?

「車でビューンかな」

おお。
重たいことも踏まえて、自分で考えて返答している。
いつのまにか、博物館の展示を一緒に見て、それについて会話ができるようになっていたなんて。
そして、誰かとこうして話をしながら展示を見るのはやっぱり楽しい。

子の体力、集中力も切れてきたので、残りは、恐竜の骨と日本館2階をサーっと見て終えた。途中、意図せず昔の望遠鏡も見ることができた。

すでに、少し日が傾きはじめていた。
こんなに長い時間をお昼寝せずに楽しめたのもすごい。

帰り道に、子はこう言った。

「カタツムリ、殻だけだったね」

なんと。
化石に残るのは硬いところだけ、という真実を突いている。
普段、家の周りでカタツムリを探しても殻ばかりで、なかなか生きたものに出会えずにいたので、そこからの発言だったのかもしれない。

この日は、そうだね、とだけ返して終えた。
いつかこれがカタツムリじゃなかったこと、そして殻だけである理由に気がつく時が来るだろうか。
きっとその前に今日のことを忘れちゃうんだろうと思うけれど。

「三つ子の魂、百まで」という諺があるけれど、それは、幼い頃の出来事はすぐに忘れられてしまうけれど、ちゃんと魂には残ってるからね、無駄じゃないよ、と親を励ますものなんだろうな、と、子を育てていて思うようになった(本当の正確な意味は知らない)。

「なんでそう思ったかは忘れたけれど、博物館って楽しいよね」
そんな気持ちが魂に残り続けてくれるといいな。








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