意外と知られていない通勤手当の【3つの顔】
こんばんは。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■先週のことですが、
ハードに残業をして疲れ果てた末、
通勤してきた自転車を止めた
駐輪場に向かったのですが、
なんとその自転車がない…
その場でかなり右往左往
していたのですが、
よく考えるとそこは3階で、
2階に停めていたことを思い出し、
胸を撫で下ろした
といったことがありました。
自転車通勤はすごく便利なのですが、
この時ばかりは、今後は
電車通勤になるのかなと
覚悟した次第(汗)。
電車になると通勤定期を買うのか、
どうなのかといったことを
一瞬の間でしたが、いろいろと
考えることになりました。
…前置きが長くなりましたが(笑)、
そんなことから、
本日の本題に入っていきます。
■今日お話ししたいことは、
ズバリ『通勤手当』についてのこと。
もしあなたがスタッフの方に
給料を払っていて、かつ、
通勤手当も払っている場合、
その通勤手当は会計上
どのように処理をしているでしょうか。
場合によっては、給料に含めている
かもしれませんし、
また場合によっては、旅費交通費として
処理をしているかもしれませんね(^^)
■ここで注意が必要なのが、
通勤手当についての税務上の取扱い。
所得税と住民税で考えると、
税務署が決めている
【非課税の範囲内の通勤手当
については非課税】
になります。
参考までにこちらが税務署が
規定している非課税の範囲です。
≪電車・バス通勤者の通勤手当≫
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2582.htm
≪マイカー・自転車通勤者の通勤手当≫
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm
公共の交通機関を使う場合と、
マイカーを使う場合のいずれも規定
されています。
これを超えてしまうと、
非課税ではなく、
【給与として課税されてしまう】
ということになるわけです。
■では次に、社会保険について。
結論から言えば、この通勤手当は
【社会保険の計算対象】
となります。
つまり非課税ではないんですね。
あくまでも通勤手当が非課税
というのは、所得税と住民税
だけのお話なので要注意です。
■そしてここからが
意外と知られていないことなのですが、
【消費税は課税】
となります。
これはなんのこっちゃという
感覚かもしれませんね(汗)。
免税事業者の方については
特に無関係なのですが、
課税事業者
(消費税を納める義務がある事業者)
で、なおかつ、
『原則課税』により計算している場合は、
このことが関係してくるので要注意です。
原則課税の反対は、『簡易課税』でした。
これは以前の記事でも幾度となく
登場しているので
なんとなくイメージはついている
かもしれませんね(^^)
原則課税とは、つまり
お客様からお預かりした消費税から
経費などの支払いの際に支払った消費税
を差し引いた差額を
税務署に納付するという計算方法。
ちなみに簡易課税では、
お客様からお預かりした消費税しか
考慮しないことになります。
その経費などの支払いの際に支払った
消費税として、この通勤手当を加える
ということになるわけです。
税務署に納付する消費税から、
この通勤手当分の消費税を
マイナスできるということですので、
経営者にとってはありがたいお話ですね。
■そして、この消費税のことについて
注意すべき点が。
会計ソフトで入力をしている場合、
旅費交通費として通勤手当を
入力していれば
大抵の場合、これは課税対象として
自動計算されているのですが、
もし通勤手当を給料手当として
会計の入力をしているとしたら、
おそらくこれは初期の設定では
不課税…つまり消費税は関係しない取引
として処理されていることかと思います。
ですので、通勤手当を給料手当として
入力をしているのでしたら、
あなたご自身で課税取引の設定を
しないといけないので、
この点には要注意です。
■一言に通勤手当といっても、
上述した3面の性質があります。
しっかりとその性質を理解した上で、
資金の対策や会計処理の方法を検討する
ということがすごく大切なんですね(^^)
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《本日の微粒子企業の心構え》
・通勤手当には、『所得税・住民税』・
『社会保険』・『消費税』での3つの顔
がある。
・消費税においては、通勤手当を『給料』
として入力するか、『旅費交通費』として
入力するかにより、注意すべき点が
出てくるため要注意。
・特に社会保険では、通勤手当の差で
その等級が変わり、社会保険料の支払いで
大きな差が出てくることもあるので、
細心の注意を払っていきたいものである。
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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。
これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^
起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹