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介護予防としてのアピアランスケアの可能性②

皆様、こんにちは!

前回に引き続き、大学院時代に、「美しくいきいきと老いること」~アピアランスケアに深さと広がりを~というテーマで、課題研究論文を元に綴ります。



アピアランスケアって何?


アピアランスケア(appearance =外見 care=気にかける、手入れする)

直訳すると「外見を気にかけ手入れする」という意味になります。


医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完し、外見の変化に起因する苦痛を軽減するケアが存在します。

アピアランスケアは主にがん患者に行われているケアで、抗がん剤をはじめとする薬物療法の副作用による毛髪や皮膚、爪などの外見的な変化や外科治療による創(きず)の変化がもたらすストレスを軽減するために始まったケアです。

これらは主に病院や施設での化粧療法やネイルセラピー、理容・美容といったケアが施されています。

がんの治療を受ける者の多くが外見の変化をもたらすため、特にがん患者にアピアランスケアが浸透しています。


介護予防としてのアピアランスケアの現状

これと同様に、がん治療に代表される医療における理容・美容とは異なりますが、介護予防としても高齢者にも美容療法が行われています。

先高齢者にとって心理的なケアと身体的なケアは密接な関係がありますが、高齢者の介護予防の場合、アピアランスケアの重要性の認知や推進されている範囲は極めて限られています。

高齢者にはそもそも外見的なケアの習慣を行う方が多くはなく、さらに年齢や疾病、それによる体力の衰えによって外見的なケアを行う気力がないという方も多くいらっしゃいます。

実際、施設に入所する際に、「施設に入るおばあちゃんが化粧など必要ない」と施設入所前に化粧用品を全て処分してきた女性もいらっしゃいました。

また、アピアランスケアを認知している方でも、手間や時間、コストのかかるものと認識し、実際に行動に移すことができないといったケースも存在します。

このような現状から私は、アピアランスケアを高齢者の介護予防法として社会一般に浸透させることが重要ではないかと思います。


「高齢者観」という障壁

アピアランスケアが心理的良い影響があるため、取り入れることによって心理的ケアのみならず、身体的なケアや社会的な参加を促す効果が認められています。

しかし、上述の通り介護予防としてのアピアランスケアはまだまだ浸透していません。

そこには、高齢者を取り巻く様々な障壁があります。

社会全体の「高齢者観」が、身体状況や年齢に関わらず「その人がその人らしく」という価値観へ転換する必要があるのはないでしょうでしょうか。


次回は、この「高齢者観」という障壁についてを投稿させていただきます☘


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