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「ゴーストタウン」NEMURENU56th

note.comの辺境にある泥海にはnemurenuという島があり、そこにはNemuと呼ばれる人々が住んでおります。
Nemuたちの中には働き者のNemuも、寝てばかりのNemuも、いつもは何処にいるのか分からないNemuもおりますが、二ヶ月に一度行われる島のお祭りの日には、島内でバラバラに過ごしているNemuたちが集まってくるのです。お祭りではNemu達がいっしょうけんめい作った宝物を神様におくります。Nemuたちの神様が、ご神託を下さるので、Nemu達は神様の言う通り、次のお祭りまで二ヶ月の期間を使ってせっせと宝物を作るのでございます。

「暗黒神様に臓物を捧ゲロ…ッ……!!」
「リア充は死にますように…ッ!!」
「暗黒神様バンザイ…ッーーーーッ!!」

今日は二ヶ月に一度のお祭りの日。
Nemu達が一生懸命作った宝物を胸に抱えて集まってきましたよ。

「俺は呪殺したい奴のリストを作ったぞーーーーーッ!!滅べ、世界……ッ!!」
「ヘソのゴマで生人形を作ったゾーーー…ッ!!」
「ブタの臓物をブチ撒けろ…ッ!!」

さあ賑やかなお祭りの始まりです。わたしたちもNemuたちの楽しいお祭りを覗いてみましょうか。
「生きて帰れると思うなよ!!」
「焚書坑儒だ!」
「リア充を血祭りにしろ……ッ!!」

というわけで今回のご神託(テーマ)は。
「ゴーストタウン」です。

ゴーストタウン(英語: ghost town、幽霊都市)とは、一度形成された都市や集落が廃墟化して、居住していたことを示す建物や痕跡のみが残されている場所のこと。ただし実際にはごく少数の住人がいる場合もある。
産業による環境破壊や衰退、戦争や自然災害での退去など、何らかの理由により住人が退去して無人となることで形成される。

ゴーストタウン(Wikipedia)

お化けが出るよ!
お化けだよ!

今回はお化けが盛り沢山!ゴーストタウンだよ!
 イア、イア!クトゥルフ、フタグン!


目次


01一文怪談とAIイラスト「いつもどおりの日」wsd983320987
02小説「夜更かしの人」海亀湾館長
03「幽霊が見えない人がホラーミュージック作ってみた」tanutanuRecords
04小説「眠るための廃墟」アイウカオ
05小説「初盆に綴る手紙」くにん
06創作怪談「廃村に行ったら友人がおかしくなった話」まきこ
07小説「GUT」闇夜のカラス
08コラム「廃墟界の天使の話」廃墟ざいおん
09写真「誰もいない街。」新潟美少女図鑑公式
10小説「異人たちの八月」武川蔓緒
11小説「人の道を踏み外したこと、ありますか?」としべえ@ぷち作家
12イラスト「令和怪奇画報の新刊」北原功士
13小説「臘月の人魚」武川蔓緒
14小説「あそこから出てくる」千本松 由季
15小説「檸檬畑より」御首了一

解題


01一文怪談とAIイラスト「いつもどおりの日」wsd983320987

Nemuの祭典、NEMURENU第56回「ゴーストタウン」の開幕です。
はじめの作品はWsd983320987さんの作品。Wsdさんの作品は以前のNEMURENU第54回蛇でもお借りしております。AIが作画したイラストを組み合わせて物語で繋げておりました。画期的です。今回は一枚もの。それに短文のホラーが添えられました。花が街を飲み込んで人類は滅亡する。人類滅亡のシナリオは数々ございますが、こんなにも耽美な滅亡はございますまい。良い滅亡でございます。我々の平行世界では今日も人類が滅亡し続けておりますが、我々もまた良い滅亡を迎えたいものですね。
人々はいなくなり、世界に残ったのは花だけ。極限に美しいゴーストタウンです。
このイラストはWsdさんの他作品にも使われているとの事でした。


02小説「夜更かしの人」海亀湾館長


海亀湾館長さんの小説です。 

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今回のテーマに適った新作を書いていたとの事でしたが、締切のようなものに間に合わず。下書き保存されていた実験小説を改稿してお披露目です。
「失語」という障害を負った登場人物は荒んだ気持ちで街を徘徊しています。
誰も彼の気持ちを理解するものはいません。彷徨して彼が辿り着いたのは不思議なBAR。少し変わった客が彼の目の前に座り、去っていきます。
この作品では「人称」について、話題になりました。本作品は主人公と目される人物の行動が二人称「君」と呼ばれながら語られます。珍しい試みですね。

海亀湾館長様へのお手紙(山羊郵便局)はこちらから!

https://docs.google.com/forms/d/1znB9vdyj7fP0qtbyRKw1hKnqN3sg4FocbNSznIBD100/edit?usp=drivesdk


03「幽霊が見えない人がホラーミュージック作ってみた」tanutanuRecords


「チルる」という言葉を最近聞くようになりました。アンビエントな音楽に包まれて慰安に身を任せる事でしょうか。いつもはアンビエントミュージックを作成しているTanutanuレコードさんですが、ラジオドラマ(怪談)用に本楽曲が作成されたとの事。オドロオドロとした雰囲気が出てます。
文中には、「十団子」の怪談のBGMに使用されたとあります。「十団子」は宇津ノ谷峠という場所が東海道中にありまして、丁度「とろろ汁」で有名な丸子宿を過ぎた所ですが、この辺りは山間になっているため、いつも薄暗い。むかしむかし、その峠のお寺の和尚さんが全身に腫瘍が出来る奇病に侵され、血膿を小坊主さんに吸い出して貰っていたそうです。血膿を吸ううちに小坊主さんが血の味を覚えまして、人肉喰らいの悪鬼になって人々を襲ったそうで。この人喰い鬼を退治した供養に作られたのが十団子。バラバラにされた悪鬼を模して十個の団子塊を紐で括って輪になった風体で、土地の名物になっています。

「十団子も小粒になりぬ秋の風」森川許六
(峠の茶屋に下がった十団子も小粒になったものだ。秋だなあ。)
どうして小粒になったんでしょう?峠の茶屋にも観光シーズンがあって、観光客が少なくなると団子を小さくしたんですかね。

04小説「眠るための廃墟」アイウカオ


アイウカオさんの小説です。
主人公は「ネムキリスペクト」のテーマ「ゴーストタウン」の題材探しに地元の廃墟を訪れます。廃墟の名前は「クハラ遺跡」。それが、異国の響きを感じて情緒がある。と語られます。
写真も掲載されていて臨場感は充分。ネットの拾い画では無さそうなので、小説用に現地で撮影しているようにも見えます。
ところで「クハラ」良い響きですね。本来の名前は「久原」と呼ぶそうなので、このお話でも最初から「久原」の名前で紹介されていたらこの異国情緒に気付かない。久原の名前では単なる地方の廃墟であって異世界ではない。「クハラ」はきっと砂漠の中の交易拠点で、ラクダと異国人たちの街。珍しい交易品が集まり、市場が作られているに違いない。隆盛を誇ったクハラも主人公が少年の頃には既に廃墟となっていて、当時の活況を偲ばせるものは遺構のみ。
現実と虚構と幻想が混淆して異空間が発生しています。

蜃気楼の古都クハラで、主人公は「ゴーストタウン」の題材が見つけられるでしょうか。


アイウカオさんへのお手紙(山羊の郵便局)はこちらから

https://docs.google.com/forms/d/1Mh6P24Ref9tG1HNZKcuDTNKBlUeV2ln0NaWMhZ9fo0Q/edit?usp=drivesdk

05小説「初盆に綴る手紙」くにん


夏、なわけです。夏といえばJapanese o bon。
今までに死んだ人間たちが一斉に国土に帰ってくる期間です。お盆になったらこの国はまさにゴーストタウン。右も左も幽霊です。何せ死者たちは数が多くおりますのでね。
くにんさんの小説は「初盆」を迎えた死者に宛てた手紙。手紙を書いていると、お話をしているような気分になりますね。
主人公は手紙を書きながら、回顧に耽り、かつて貰った言葉から活力を得ていきます。
昔、「悼む」とは何か考えていた事があります。「悼む」とは字義では人の死を嘆き悲しむとありますが、嘆き悲しみ死者に思いを馳せること。悲しみは薄れていきますが、尚且つ思い続けること。死者の言葉を思い返し、会話して、今日を明日を生きること。
吉本隆明の「対幻想」という概念では個人対個人の関係もまた幻想の上に成り立っていると語られますが、人は自分の作り出した幻想を他者に重ねて関係している。他者が死んだ時に、自らの作り出した幻想だけが、幽霊のように残る。関係するということは幽霊を作る共同作業なのかもしれません。
人間はそうやってゴーストたちと暮らしているんでしょうね。

くにんさんへのお手紙(山羊の郵便局)はこちらから!

https://docs.google.com/forms/d/1TY1Qvv_qazumiBb8PC4PuA_P-k9uNHDJo9zcVuahjqE/edit?usp=drivesdk


06創作怪談「廃村に行ったら友人がおかしくなった話」まきこ


https://note.com/cotsrbt/n/n0e7a4d9d98b3?magazine_key=meb97460d0eaf

まきこさんの創作怪談。
冒頭から「これは、私が大学生の頃に本当に体験した話だ。」と始まります。タイトルに「創作怪談」と銘打ちながらなんという人を食らった文章!その後の話の展開も異様で、最後まで飽きさせません。とても質の高い創作怪談です。この話の怪しさはマキコさんという方の存在にも関わっていて、このマキコさんはまるで正体が知れない。男性なのか、女性なのか、いるのか、いないのかも分からない。
文章力からして、はじめて文章を書いた訳でもないでしょうし。更新は止まっていますが、活動は続けているかもしれない。別名義でnoteなどに書いている方が、短期間だけマキコさんとして存在したのかもしれない。正体不明で幽霊のようです、マキコさん。



07小説「GUT」闇夜のカラス


カラスさんの小説。
男二人が夜道を歩いています。これは先程のマキコさんの小説と同様ですね。マキコさんは肝試し。カラスさんは何もない田舎道。「男二人で夜道」これはもしかして、文学的にそそるテーマなんでしょうか。うーん、私なら……?

男二人が言葉遊びを始めます。
GUT。
MNSP。
一体何の略かと謎の掛け合い。この話は以前にカラスさんの変態小説でも登場しました。

nemurenu44th「透明」の時に書かれた作品ですね。カバー画像が卑猥だったので、印象に残っております。
相変わらず仲の良い二人。男同士って良いですねえ!
という事でこの度もおふたりの掛け合いをお楽しみ下さい。
掛け合いは次第に熱を帯びて、、、事態は思わぬ方向に!!!

カラスさんへのお手紙(山羊の郵便局)はこちら。

https://forms.gle/zaQDH6ArgwhWjg8cA


08コラム「廃墟界の天使の話」廃墟ざいおん


廃墟マニアの廃墟ざいおんさん。
マガジンに掲載したのは同じ廃墟マニアの御同輩の紹介記事ですが、ざいおんさんの事を知るにはざいおんさんの自己紹介記事から読まれた方が良いかと思います。

廃墟写真家には世間の賛否があることから、ざいおんさんは「これ全部念写だから」と宣言しています。念写!!そのスタイル、凄く格好良いですね。
そんな奥ゆかしい廃墟ざいおんさんが、ご紹介する廃墟界の天使様とは。

私は廃墟マニアの方々ってもっとストイックな方が多くて退廃芸術嗜好なのかと思っておりましたが、予想外の明るさに認識が改まったと申しましょうか、私の浅薄を恥じ入りました。
撮影される写真は確かにストイックで退廃芸術の様相ですが、向き合う姿勢は非常に明るい方もいらっしゃるんですね。
廃墟を見て「きゃー可愛いーー」とはしゃぐ廃墟界の天使様。
廃墟って可愛いんだ!?
驚きです。

知られざる廃墟マニア様達のリアルを見たように思います。



09写真「誰もいない街。」新潟美少女図鑑公式



https://note.com/nibijo/n/nf1f6d077ae72?magazine_key=meb97460d0eaf

この度のお題は「ゴーストタウン」。本来的な意味合いのゴーストタウン、廃墟の他に掛詞的に幽霊、妖怪的などの題材も蒐集しております。
ゴーストでタウンならもう何でも良いです。ゴーストだけでも良いです。そんな幅広いテーマで今回のNEMURENUはお送りしております!
で、こちらの記事はゴーストタウンとゴーストの双方に近しい記事。
新潟美少女図鑑という新潟のフリーペーパー紙が企画した「ゴーストタウン」の写真集。丁度時代はコロナ全盛期。不要不急の外出を避けろ!と政府から厳命されて、人々は家屋敷に巣籠りしておりました。
とにかく街から人が消えました。某港も厳戒態勢が敷かれて「来るな!」の姿勢。ローリング・ストーンズも空っぽのニューヨークを見てゴーストタウンな新曲を発表していました。
そんな折に新潟では。
新潟美少女図鑑様が、美少女(死体)を路上に転がして写真撮影をしていた!前衛的です!
いまは規制も殆ど無くなって、当時の過剰反応はなんだったのかと遠かりし日を懐古するばかりですが、当時の非日常感がこのような形で記録に残されている。貴重資料です。



10小説「異人たちの八月」武川蔓緒


タイトル「異人たちの八月」の「異人」とは大林宣彦監督の「異人たちとの夏」と同義で、幽世に暮らす死者たちのこと。
片岡鶴太郎が父役を演じていましたね。
ノスタルジックでメランコリックな映画でしたが、こちらの武川さんの作品はパーティ感溢れる盛り上がり。
陽気な死者達が音楽と共に楽しくバカ騒ぎをしています。
八月のエネルギッシュな太陽のように生き生きとした死者!メキシコ的お盆「死者の日」のように陽気です。
死後の世界がこのようなものであれば、死を厭うことはありません。死後を楽しみに現世を生き抜くことが出来そうです。

武川さんへのお手紙(山羊の郵便局)はこちらから!

https://docs.google.com/forms/d/16BBdoI-haPPH5qlorl3T1t2pMvVJ7B5pzdzpOwhSvwQ/edit?usp=drivesdk

11小説「人の道をみ踏外したこと、ありますか?」としべえ@ぷち作家


https://note.com/tosibuu/n/n3016aa807ea1?magazine_key=meb97460d0eaf

としべえさんの詩小説。
「私小説」に似通いながらも、少し異なる詩小説です。この度もとしべえさんの温和な日常と想念を描きながら、世界は徐々に詩化して最後には奇妙なねじれを引き起こします。
これもまたゴーストタウンのゴーストたちのなせる業なのでしょうか。

としべえさんへのお手紙(山羊の郵便局)はこちらから

https://docs.google.com/forms/d/1m8wmARnM21bxLN-W7p4I7HAry1_A78hhzP3ehvwxUd0/edit?usp=drivesdk

12イラスト「令和怪奇画報の新刊」北原功士


北原功士先生はムーなどにもイラストが起用されている画家様です。お仕事とは別に「怪奇画報」という同人活動をされておられる。先生の描く「怪奇画」とは何か。

https://www.google.com/amp/s/myjitsu.jp/archives/41046/amp

https://book.asahi.com/article/12484231

と、まあ言わずと知れたこのジャンル。
この独特の怪奇感!これを廃れさせてはならぬ!と立ち上がったのが北原先生なのです。
どのイラストも素晴らしいクオリティ。
少年たちの必携書です。

お買い求めはこちらから!

You、買っちゃいなよ!


13小説「臘月の人魚」武川蔓緒


武川さん今月の2作目。多作ですねえ、羨ましい。コメント欄にある通り、武川さん作品の中でも私の推し作品です。
何かの公募に出してみては、と勧めています。
ひとつの軸となる作品を、公募の傾向と対策に合わせてリライトして、形を変えて応募するのは面白いですよ。

創元SF短編なら「殺人事件のひとつふたつは起こった方が」とか。
もし応募するものが純文系なら「主人公の内面に潜む狂気の犠牲になる者をあらかじめ用意して」とか。

改稿していくと思わぬ発見もあったりして作品が成長していきます。折角書いた作品がタイムラインの肥やしになるのは勿体ない。何度もリライトして、作品を成長させてみてはいかがでしょう?nemurenu企画が隔月化したので、余裕が生まれて最近はそんな事を考えております。

武川さんがコメント欄で「長く書く」ことに、困難さを感じているようですが、長く書くことって実はそんなに難しくない。

「少女は血を吐いている」
と、皆様の中にはそれだけの描写で終わらせてしまっている方はいらっしゃいませんか。その端的な描写では勿体ない。もっと具体的なイメージがある筈。どんな少女?どんな場所?時間帯は?服装は?周囲の状況は?登場人物の表情は?心情は?
映画監督になったつもりで作品と向き合ってみましょう。
上記の文章だけでは、時間帯も場所も、周囲の状況も分からないので、映像にできません。

「和装、百合の花の刺繍された白陣の、着物を着た少女は朕の寝牀台の、月魄の照る中で身体をくの字に屈め、嗚咽しながら血を吐くのであった。時刻は未明、蒼黒の時間。」と、こんな描写になると映像化しやすくなりますね。

が、映像にするにはまだまだ情報量が足りません。衣装や小道具さん、舞台美術のスタッフから「どうして良いか分からないよ!」と怒られます。

「和装、裾端から百合の花が幾つも咲いて、それはあたかも少女の命を吸い取る魔性花のよう。一際大きな百合が少女の胸を侵蝕している。着物の地は白色で、それは白無垢、というよりも其の白い許りの柄が朕には白骨或いは死装束を思わせた。今や少女は木造家屋の平屋建て、庭ばかりが広く、外構の荒れ果てた襤褸の邸宅、その南東にある寝所に置かれた朕の寝牀台の上にいる。黴びて、訪れる者もいない茅屋に供された一輪の死に花のようである。いや死というものは俗ならず、これ以上穢れる事もなき清浄なのだ、とその時の朕には思われた。夜である。昨晩は颱風が来て、近隣を荒らした。その傷跡が街中の其処此処に残っている。颱風は過ぎて今宵は生温い空気が風の無い儘、淀んでいる。その空気に朕は酸素欠乏を覚えて、拍々と心臓は忙しない運動をしている。黒い湿度が珍の首を絞めている。血流まで淀んで、抹消が痺れる。視鞘神経に血が足りず視界は愈々暗いのである。朕は黒いフラシ天の襯衣(シャツ)を着て、衣服の黒が暗闇に相和して、朕が少しづつ溶けてしまうように感じた。掌を見ると輪郭が曖昧と呆けている。心臓が拍々と脈動する。酸素欠乏の金魚のように、朕は先程から呼吸ばかりしている。

「だからお前は屑なのだ」
と、亡父の声がする。躾の無い賎しい野獣のような男であった。その下衆に罵倒され続ける半生に朕の魂はすっかり穢れた。この呼吸困難は闇ならむ湿度の所為許かりでは無い。だくだくと流れる汗は颱風一過の高気圧の所為許かりではない。

月天心の雲間が切れて、長らく掃除もしていない窓ガラスから月魄が落ちた。輝光が白々と寝所を照らしている。寝所は白黒のコントラストに分かたれて、少女は益々白くなり、朕は益々翳った闇中に取り残された。夜鳥がCRACK、CRACKと鳴いた。朕は黙っている。少女は淀んだ黒黴の湿度と、月魄と、沈黙の中で眠っている。」云々。(終わらなくなったので途中で止めました。)
懇切丁寧に明確なイメージを伝えようとすれば、自ずと文章は長くなります。だから公募の規定文字数に届かないとお悩みの方は、悩む必要はございません。伝えようとするだけ!


武川さんへのお手紙(山羊の郵便局)はこちらから!
https://docs.google.com/forms/d/16BBdoI-haPPH5qlorl3T1t2pMvVJ7B5pzdzpOwhSvwQ/edit?usp=drivesdk

14小説「あそこから出てくる」千本松 由季


千本松さんの小説はNEMURENU32集「壁にガムテープ」の時に書かれた作品の改稿です。
壁にガムテープ、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんねえ。二年半前のことです。
当企画は生命線だけは長いので、何処までも遡れるんですよね。

本作品の中で「ガムテープ」という異質な存在が登場した時に、急に俗っぽい小道具が出てきたな、と思われる方もいるかもしれませんが、「ガムテープ」がテーマの小説だから仕方ありません。

「壁にガムテープ」が解説された記事はこちら。懐かしいですね。こんな時代もありました。

で、千本松さんの本作は妖精の見える少女の物語。コナン・ドイルが「妖精の見える症状たち」を世界に紹介したことはまだ人類の記憶に新しいところ。

妖精は1966年以降、いないものとされていますが、千本松さんの本作にはいっぱい出てくる。幻覚とかそういうものでは無しに。実体として。つい小説を書く時に、現実世界の法則に則ろうとする事がありますが、それはちょっと勿体ない。書くのは無料ですから、「妖精がいるかも」「見えたかも」と書くより「いる、いる、いっぱいいる!3000体はいる!」と書いた方がお得感がありませんか?
え?ない?


BL偏重の千本松さんが、珍しくBLではない性愛を描いた作品で千本松さん曰く「男性に贈るエロい作品」とのこと。作中に膣から精液を零さないように内腿を閉じる、という描写があって昨今の千本松さんには無い価値観だなあと思いながら読みました。その他本作品にはこれまでにない新奇の特徴があるのですが、物語の中枢に触れる部分でもありますので、この場では割愛。千本松さんの新たな世界が拓けた作品であると思います。

と、これは当時の解題。
そういえば、当時の千本松さんは男性愛の作品が多かったですね。千本松さんの作風が過激さを増して、派手になり始めた転換期の作品でした。

千本松さんへのお手紙(山羊の郵便局)はこちらから。

https://docs.google.com/forms/d/1KUbBEQ-m94n1F9lVQN2-1raohUFyGAOr00thEDKxfQA/edit?usp=drivesdk

15小説「檸檬畑より」御首了一

これはわたし。
今や静岡ではすっかり定番化した調味料「清沢式ぶっかけレモン」。

この小説を読むと、清沢式ぶっかけレモンがもっと美味しくなりますよ。

通販ページはこちら。

下は清沢レモンが生まれるまでの秘話。
静岡新聞の特集記事です。
清沢レモンは道楽で生まれた訳ではなく、衰退と地域愛から生まれました。

ムラサキへのお手紙はこちらから!

https://docs.google.com/forms/d/1tbLhSPnKIxnskI87FfvlQOtLj5g8EavgNuVWnDl4i7g/edit?usp=drivesdk


おわりに


Nemuたちの祭典はいかがでしたか?お好みの宝物はありましたか?どの宝物もNemuたちの心血が注がれて素敵に輝いておりましたね。
ほら、踊り疲れたNemuたちが眠り始めましたよ。篝の中の聖炎は朝まで燃えて、夜通しNemu達を照らすでしょう。朝になればNemu達はまた元の塒ねぐらに帰って行くのです。
nemurenuの島の世界樹が彼らを見守っています。遠く、note.comの中心街は未だ明るく夜灯が光っています。多くの人間が暮らし、生活の営みを続けています。
所々、人のいなくなった場所もあります。誰も住まなくなった所にはかつての痕跡が寂寥と残されています。生まれるもの、消えるもの。寂しいですけれど、仕方ないですものね。
いつか消える我々が、いつか消える町からご挨拶。

「ブルジョワジーは丸焼けろ!」
「幸福に課税しろ!」
「臓物を吊るせ!」
おやすみNemuたち、良い夢を。




次回NEMURENUテーマ投票はこちらから

nemurenuは毎回のテーマを投票によって決めています。次回のnemurenu57th(10月末締切分)で挑戦してみたいテーマ、読んでみたいテーマをお選びください!

投票は以下のフォームから。投票の締切は9/13木曜日18:00です。


次次回テーマの候補はこちらから。

テーマ投票に用いられる候補は皆様から募っております。お好きなテーマをご応募下さい。



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