ムラチク

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「つまらなかった映画にはちゃんと悪口を言え論」の話――書かないんじゃなくて書けないんじゃない?

はじめに端緒はこのツイート。  今回はこの傾向を作るひとつの要因についての話。 ★1レビュー、僕は好き。 このツイートの内容には賛成だ。若者の感想は知らないけど、やたら大げさにべた褒めする映画紹介インフルエンサーみたいな奴らに対しては日頃から薄ら寒いなあと思っている。  僕はたとえ自分の好きな映画であっても、amazon等の★1レビューを読むのが好きだ。「ああこの人はこういうのが好きで、この映画のこういうところが気に入らなかったのか」ということが分かって面白い。自分とは

    • 2022年に観た映画78本レビュー

      はじめに 友人とほぼ2~3人でやっている週2で映画を観る会「ビデオナイト」の2022年全視聴映画レビューをする。以下の前置きは2021年版レビューのコピペ。  ★をつけて評価しているけど、これは映画のクオリティを採点しているようなものではなくて、単純に僕がどのくらい好きかを表したものだ。各★のイメージは次の通り。 ★ 死ぬほどつまらん ★★ 普通につまらん ★★★ 割と楽しめた ★★★★ おーいいねえ ★★★★★ 超好き  ★3以上は全部普通に楽しめた映画ばかりだ。それ

      • トライアングルストラテジー (ほぼ)全キャラクターレビュー

         難易度ハードで2.5周くらい(1周目ベネディクトルート→2周目フレデリカルート→分岐まで戻って真ルート)して満足したので、ゲームの感想文がてらキャラクターごとのレビューをするよ。仲間になるキャラクターや武器奥義についてのネタバレがあるよ。ついでにお気に入り度を★1~5でつけておくけど、あくまでお気に入り度であって強さではないよ。一番最後に僕の最終メンバーも載せておいたよ。 セレノア★★★  序盤はディレイソードや飛鷹撃でそこそこ強くて便利なアタッカーとして活躍するが、味方

        • 2021年に観た映画101本レビュー

          はじめに 友人とほぼ3人でやっている週2で映画を観る会「ビデオナイト」の2021年全視聴映画レビューをする。★をつけて評価しているけど、これは映画のクオリティを採点しているようなものではなくて、単純に僕がどのくらい好きかを表したものだ。各★のイメージは次の通り。 ★ 死ぬほどつまらん ★★ 普通につまらん ★★★ まあ面白かったよ ★★★★ おーいいねえ ★★★★★ 超好き  ★3以上は全部普通に楽しめた映画ばかりだ。それ以上の★の数は完全に趣味の問題だと思う。人によって

        「つまらなかった映画にはちゃんと悪口を言え論」の話――書かないんじゃなくて書けないんじゃない?

          インターネットにおける議論ごっこの性質について――温泉むすめへの批判の観察

          はじめに この文章の話のタネはこのあたり。 【温泉むすめバッシング】仁藤夢乃氏、女性声優も叩きの標的にしてしまう。 【唖然】話題の温泉むすめ、なんとR18絵師が名義も変えずに堂々と参加していたことが判明。許されざる暴挙であるとして批判が続出。【マナー違反】  話としてはありふれていて、温泉地ごとに女の子のご当地キャラを作って地域振興しようという企画が、女性の性的搾取だとして批判されているというやつだ。こんな話最近ではいくらでもあるので今更ではあるのだが、批判者のツイッター

          インターネットにおける議論ごっこの性質について――温泉むすめへの批判の観察

          逆転裁判シリーズ全作レビュー(ネタバレ無し)

           ついに逆転裁判シリーズ全部やったので記念に全作レビューを書く。ゲームの面白さを損なうようなネタバレは一切していないと思う。 逆転裁判★★★★★ 次々と巻き起こる事件を解決しながら弁護士として成長していくナルホドくん。少しずつ深まっていく過去のとある事件の謎。全5話という短い中に、物語としての面白さをぎっしり詰め込んだ名作。始めからクライマックスまでの流れが本当に美しい。  リマスター版で「蘇る逆転」っていうエピソードが追加されてるんだけど、これがまたゲーム1本分くらい面白

          逆転裁判シリーズ全作レビュー(ネタバレ無し)

          ジョン・ウィックのレビューから見る、殺人の捉え方

          はじめに 僕は下の記事に書いたように、映画の中の殺人シーンが大好きだ。  ただし、殺人であればなんでも好きなのかと言われると全然そんなことはない。このあたりの好みについて、おそらく多くの人々と明確に差異があるように思う。殺人の好みの違いを手がかりに、その背景にある意識について考えてみよう。 フィクションの中の好きな殺人/嫌いな殺人 僕は「正当化されない殺人」が好きだ。孤独な殺人者が、大した理由もなくただ自分を慰めるためだけに行う殺人が良い。それは安易に同情されるような理由

          ジョン・ウィックのレビューから見る、殺人の捉え方

          物語における分かりやすさと面白さについての話

          はじめに この文章は以下の一連の記事を読んで頭の中に溜まってきたものを吐き出すための長い独り言である。  これらの記事を現代の映像コンテンツの消費状況を表す部分に絞って要約すると、次のようになる。  近年の視聴者はテロップだらけのテレビ番組のような「わかりやすい」コンテンツに慣れている。そのため映画・ドラマ・アニメ等の映像作品も、セリフで状況や心情を全て説明するような分かりやすいものが増えてきている。そんな中、NETFLIXのようなサブスクライブサービスの普及によっ

          物語における分かりやすさと面白さについての話

          映画「ハウス・ジャック・ビルト」がとってもサイコー/殺人シーンへの愛着について

          愛好家へのラブレター ↓この映画の話。 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0826DCVYJ/ref=atv_dp_share_cu_r  リンク先にも書いてあるけど、あらすじを簡単に説明すると「殺人衝動に目覚めたおじさんがむごたらしく人を殺す」という話。この時点で興味の湧かない人には全然おもしろくない映画だ。まじで観なくていい。お、今日は人殺す映画の気分だな~って人には最高の映画だ。絶対に観たほうがいい。  この映画に何

          映画「ハウス・ジャック・ビルト」がとってもサイコー/殺人シーンへの愛着について