逆転裁判シリーズ全作レビュー(ネタバレ無し)

 ついに逆転裁判シリーズ全部やったので記念に全作レビューを書く。ゲームの面白さを損なうようなネタバレは一切していないと思う。

逆転裁判★★★★★

 次々と巻き起こる事件を解決しながら弁護士として成長していくナルホドくん。少しずつ深まっていく過去のとある事件の謎。全5話という短い中に、物語としての面白さをぎっしり詰め込んだ名作。始めからクライマックスまでの流れが本当に美しい。
 リマスター版で「蘇る逆転」っていうエピソードが追加されてるんだけど、これがまたゲーム1本分くらい面白いのでそれだけのためにでも買う価値はある。謎解きもすごく面白いしストーリーも熱い。刑事になる前の茜ちゃんが登場するよ。

逆転裁判2★★★★★

 やっぱり面白い。ハミちゃんが登場して賑やかになるのも良い。2で一番印象的なのはやはり最終話の展開だった。1をプレイした人をさらに驚かせる一捻りがニクい。逆転裁判はシリーズ通してキャラクターの過去の出来事を掘り下げるような話が多いんだけど、2は割とストレートになるほどくんと真宵ちゃんが頑張る話で、これはこれでよかった。

逆転裁判3★★★★★

 2と反対に、キャラクターの過去を掘り下げまくるような作品になっている。1から続いてきた綾里家にまつわるあれやこれやがようやくここで締め括られるので、大きく見れば123でひとつのお話って感じ。

逆転裁判4★★☆☆☆

 あまり評判の良くない4だが、僕の感想としても前3作が爆裂に面白かっただけにやっぱり評価は低くなる。ただ、「なるほどくんのキャラがそれまでと違う」ってのが低評価の理由になってたりするみたいなんだけど、僕の最大のイマイチポイントはそこではない。事件が簡単すぎるのだ。裁判が始まった時点で割と先を読み切れる事件が多くて、あんまり謎解きの楽しさが無かった。最初のパンツ探す事件だけは面白かったけど。あと記憶がかなり薄いけどストーリー的にも今ひとつ感はあったかなあ。
 ただ、科学捜査班の茜ちゃんが登場して探偵パートがちょっと楽しくなったし、オドロキくんもみぬきちゃんもいいキャラしてる。長く続くシリーズの良いところってキャラクターの成長や変化をじっくり描けるところだと思うので、なるほどくんのキャラ変わりも僕は割と好意的に受け取れた。3までのガムシャラ新人弁護士的な立ち位置をオドロキくんに譲って世代交代していく感じは結構好きだな。続く5と6をより楽しむためにもやっておいたほうが良いと思う。

逆転裁判5★★★★★

 やっぱ逆転裁判は123でしょって言う人多そうだけど、僕は5もかなり好きだ。新人のココネちゃんが加わり事務所のメンバーが増えたことで、エピソードごとに弁護士&助手のペアがローテーションするようになったのがすごく良かった。毎回違うペアの掛け合いが楽しめるので最後まで新鮮。キャラクターで言えば、これまでのキャラクターのまさに成長した姿を見ることができるところも嬉しい。
 基本的にココネちゃんを主軸としたストーリーで、これも十分面白かった。よくこんな新キャラモリモリでうまいことまとめられるものだと思う。事件もなかなか複雑だったり奇抜だったりして、謎解きの難易度も満足。
 システム面では、まず背景が3Dになったことが大きい。視点をぐるぐる変えて捜査できるようになったのですごく臨場感がある。あとココネちゃんが使う「証人の心の動きを可視化するアイテム」も裁判に新たな面白さを加えていて良い。オドロキくんのめっちゃ観察するやつは正直ちょっと面倒だったけど。
 4以降はちょっとな~とか言わずにぜひやってみてほしい。

逆転裁判6★★★★★

 6の大きな特徴は、被害者が最期に観た景色を観ることができるシステムだ。6の裁判は基本的に、検事側が被害者視点の映像という強固すぎる証拠を出してきて、一見明らかな被告人の有罪をどうにか覆していくという形で進む。霊媒とかいうものが普通に存在している逆転裁判だからこそできるシステムで、唯一無二の面白さがあった。主役キャラクターのローテーションや3Dの捜査パートなど5の面白かった要素もちゃんと引き継いでいる。
 ストーリー的には最後の展開に若干取って付けた感があったかな。普通に楽しめたけど、他のに比べるとちょっとだけ見劣りする。でも、実に2作ぶりに真宵ちゃんに会えるというだけでもう満足してしまった。飼い慣らされている。

逆転検事1&2★★★★★★★★★★★★★★★★

 死ぬほど面白い。時系列的には逆転裁判2と3の間あたりかな。ストーリーもキャラクターもシステムも謎解きもまじで最高だった。御剣のお父さんが関わる過去の事件を体験できたり、子供の頃のメイちゃんが出てきたりしてスピンオフらしい楽しさがある。真宵ちゃん的ポジションであるミクモちゃんも良いキャラしている。ストーリーは1の時点でもかなり面白かったけど、2のラスト2話の盛り上がりはシリーズ随一だった。
 ゲーム性は他とかなり違っていて、現場を捜査して手掛かりを集め、犯人を追い詰めるというオーソドックスなミステリーアドベンチャーとなっている。集めた手掛かりを組み合わせていくロジックシステムがシンプルながら面白く、推理ゲームとしての完成度が高い。事件もなかなか難解なものが多くてやり応え十分だった。
 もっかいやりたいのでSwitch版出してくれよ。

大逆転裁判1&2★★★★★

 ストーリーの完成度がものすごく高い。1と2セット、合計10話で完結するよう緻密に構成されており、散りばめられたいくつもの謎が最後の最後ですべて解決する。その分1だけだと消化不良感があるので1と2セットでやれたのはかなり良かった。やりきれない気持ちになるような、ちょっと悲しい事件が多めなのもこの作品の特色である。事件の裏にある悲しい人間模様が丁寧に描かれており、ストーリー全体に深みをもたせている。
 全体としてものすごく楽しめたのだけど、緻密で完成度が高いだけにちょっと「遊び」の少ない窮屈さのようなものも感じた。あまりにも無駄がなさすぎるのだ。それが良いところでもあるのでなんとも難しいけど。
 謎解きの面白さは平均的なものが多い。2の3話が一番面白かったかな。システム的には複数の人が証言台で一緒に喋ったり、途中で6人の陪審員を説得するフェーズが挟まったり、とにかく人数の多い賑やかな裁判が楽しかった。
 あとグラフィックや演出がかなり良い。3Dを活かした臨場感のあるカメラワークや、キャラクターの生き生きとしたモーションがストーリーを更に盛り上げている。特にスサトさんの絶妙に時代がかった仕草がとても可愛い。スサトさんといえば、髪型がとても良いデザインだと思う。時代劇風の束髪に現代風の可愛らしさを取り入れていて、時代性を表しながらも現代人が自然と魅力を感じられるバランスだ。ああいう髪型実際にあったのかな。

逆転裁判(実写映画)★★★☆☆

 1の内容を縮約しつつ頑張ってまとめた映画。ヘアスプレーでガチガチに髪型を固めていたり、謎のハイテクマシンでゲームのUI的な演出を再現していたり、リアリティを思いっきり捨てているのがとても潔い。つまらなくはなかった。

逆転裁判 その「真実」、異議あり!(アニメ)★★★★☆

 観始めはちょっと絵に違和感あったりしたけど、慣れちゃえば普通に観れる。計47話で123の話を全部丁寧にやってくれるので、ストーリーだけ観直したいなという人には普通におすすめできる。声も大体そこまで違和感なかったけど、唯一御剣だけちょっと違ったかなあ。真宵ちゃんはとてもよかった。幼少期のナルホドくんと御剣と矢張を描いたオリジナルシーンが追加されていたりもする。
 唯一文句を言いたいのは、脚立とはしごの話をしてくれなかったことだ。「もっとホンシツを見ようよ、なるほどくん」を聞くために観てたようなものなのに。

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