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これまでの話

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ひきこもりだったころから今までのお話
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記事一覧

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑰

前回からの続き 人間にとっての雑談は猿にとっての毛づくろいと同じようなものだと聞いたこと…

上村卓
1年前
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ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑯

彼と初めて出会ったのは、宮崎の施設の食堂だった。 朝、目をさまして、身支度を整えてから食…

上村卓
1年前
13

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑮

いつも自転車で走っていた通学路。 いつも少し緊張してペダルを漕いでいた通学路。 今はちょ…

上村卓
1年前
35

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑭

前回の続き 前回の続き ひきこもっていた当時は苦しみから解放されることを願う自分と、ひき…

上村卓
1年前
18

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑬

このコップを壁に投げつけて割ることができたなら、世界は変わるだろうか。 現状が少しでも揺…

上村卓
1年前
13

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑫

フォークをくるくると回してパスタを巻きつける。 それを口に運ぶ。 皿から視線をあげると、…

上村卓
1年前
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ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑪

夕方、食堂へ向かうために自室を出る。 ひきこもっていた実家を出てから、毎日の食事は施設内の食堂を利用していた。 とくに食堂で食べなければいけないという制限はなく、外食も自由だったし弁当やお惣菜を買って自室で食べることもできた。 けれど、経験がほとんどない当時の自分に外食はハードルが高かったし、食堂の方が安く済むし、知っている人しかいないという安心感からほぼ毎日食堂を利用していた。 ただ、そうはいっても、自室から食堂に向かうときは多少の緊張はあったけれど。 エレベーターホール

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑩

「これは、自転車から降りるべきなのだろうか!?」 いきなりだが、みなさん、上の道路標識が…

上村卓
2年前
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ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑨ おまけ

前回で家にひきこもっていた13年間のことは一応書き終えた。 そこにも書いたのだが、家を出る…

上村卓
2年前
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ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑧

24歳になった自分の服のサイズを私は知らなかった。 外に出ると決めて、実家の鹿児島から宮崎…

上村卓
2年前
17

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑦

2022年4月1日から18歳が成人年齢となった。 18歳になったら、1人で携帯電話の契約ができたり、…

上村卓
2年前
25

ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑥

不意に目がさめる。 ナツメ球のオレンジ色の光。 自分のことを思い出すのに少し時間がかかる。…

上村卓
2年前
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ひきこもり歴13年から今にいたるまで⑤

蛍光灯のノイズだけが聞こえる深夜。 脱衣所で入浴の準備をしているとき、涙がこぼれた。 季節…

上村卓
2年前
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ひきこもり歴13年から今にいたるまで④

インターホンの音。 心臓が石のように硬くなる。 平日の昼下がり。 私は、居間で見ていたテレビを慌てて消す。 そして、足音をたてないようにそっと、玄関から一番遠い子ども部屋に入り、学習机の下に潜りこむ。 もう一度インターホンが鳴らされる。 誰かが玄関の外に立っている。 部屋の中が覗かれているわけでもないのに、「そこにいるのはわかっているのですよ」と糾弾されているようなきがして、不登校の私は心の中で、ごめんなさい、ごめんなさいと念仏のようにくりかえしていた。 玄関の前にいるのは