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むにみずべ 海外編01 ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎ

突然ですが、海外編もスタートします。
最初は誰もが知る、これぞ水都の代名詞。
実は乗るばかりではなく漕げちゃうこれ、知っていますか?

水辺を愛する者として、畏れ多くもこの都市の記事を書く今、武者震いが止まりません。
この伝説級の水都は、どのように生れたのでしょうか。


騎馬民族に陸からムニュっと押し出される

ヴェネツィアを語るべく、
騎馬民族側の気持ちも体験済み

「ゲルマン民族大移動」はご存知でしょうか。当時世界最強のローマ帝国に、ゲルマン民族がなだれ込み、結果帝国崩壊に繋がった大事件ですが、それは騎馬民族(フン族)がヨーロッパに来たことが原因です。

騎馬民族というのは、大陸中央の草原を故郷としていますが、ヨーロッパにとっても、中国にとっても、強過ぎて怖い存在でした。

先日、山梨で流鏑馬(馬の上から弓を射る)体験をしてきましたが、確かにあの機動力と攻撃力を兼ね備えた存在は、脅威でしょう。

もしそのまま我々が東京に攻め入ったら
我々がボテっと落馬するか、東京でも民族大移動が起きていたかの二つに一つです。

さて、そんな怖い方々が来たので、
ついに陸地を捨て海に出た人がいました。
それこそが、ヴェネツィアです。


ラグーンに守られ、地中海を掌握

騎馬民族がいつ来るかも分からない陸地には、流石に怖すぎてもう住めませんので、
浅瀬に木杭を打ち込み、どうにか陸地を作り上げました

そうして苦労の末できたヴェネツィア、地元の人以外はどこが船の通れる場所なのかも分からず、攻めようにも敵船はことごとく座礁
以降1000年を越える共和国の首都として、
地中海を掌握しました。

はてさて、そうして繁栄した水の都は、水路が縦横無尽に張り巡らされ、今でも車の入り込めない都市として日常の足を船が担っています

そんな船の最も有名なものが、ゴンドラです。


やけに高いところから漕ぐ
ヴェネツィアン・ゴンドラ

黒光りする船体に、金細工が煌めく優雅な舟で、高らかに歌い上げるゴンドリエーレの歌を聴きながら街を見ると、ただでさえ唯一無二なヴェネツィアをさらに至高の領域に高めます。

ゴンドラを見ていると、その形状の不思議さに気がつきます。バナナのように、船首と船尾が水面からせり上がっています

これは入り組んだ水路でも小回りの効くように、着水する長さを短くする為です。

ボート競技の舟は直進に適していて
小回りは効きにくい形状

さらに左右で非対称になっているのも、ゴンドリエーレが右側の櫂のみで真っ直ぐに舟を進められるようにデザインされています。

形の歴史が分かったところで、お待ちかねの乗船です。


ゴンドラを漕ぐ

いよいよ漕ぎ出していきましょう。
今回案内してくれたのは細身のお姉さん。とてもマッチョには見えない(?)ものの、舟が約10kg+4人の重さがあるのに、櫂を入れた瞬間にグングンとゴンドラが進んでいきます。

旅のスタートは、魚の形に似たヴェネツィア本島の背ビレの辺りにあるマリーナから。

本物の水都では、
係留杭が立ち並ぶだけで絵になります

始めは小さめの水路で漕ぐ練習。

本来一人で漕ぐゴンドラですが、まだまだ駆け出しゴンドリエーレである我々は、二人漕ぎです。最初はゴンドラの前側で漕ぎます。
(後ろで強力にお姉さんが漕いでくれるので、どんな漕ぎ方をしても前に進みます)

慣れてきたらいよいよ大海原、ヴェネツィアのラグーンに出ていきます。潟湖(ラグーン)と呼ばれるヴェネツィアの周囲の海は、沖合に砂が防波堤のように溜まった砂州で守られています。
日本の砂州は、天橋立やサロマ湖が有名です。

しかし、防波堤の内側とは言え、狭い水路でしか漕いだことのない、ひよっこゴンドリエーレにとっては、波も高く拠り所の無い大海です。

気持ち良い、怖い、気持ち良い、怖い。
でもとにかく素敵

そしてお姉さんから、
Andiamo!!!(アンディアーモ:さぁ行ってみよう!)などと号令をかけられながら、ついに後ろの漕ぎ手もやることになります。

前も後ろもひよっこが漕ぐゴンドラ
もはや遭難ですが、徐々に感覚が掴めてきます。
そして周囲を見渡す余力が出てくるころ、ちょうど夕陽に照らされ、感動的な風景が眼前に広がります。

素敵すぎる

終始霧が深いヴェネツィアですが、それがより一層風景を幻想的にしていきます。

手漕ぎボートや、日本の和船などとも違う、ヴェネツィアのゴンドラ。行かれる際はぜひ乗るだけでなく、漕ぐこともご検討ください。

以上、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎでした。

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