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お豆腐のかたち


こんにちは。
しばらく更新せずに時間が経っちゃいました。

今日はお豆腐の話から始めます。
突然ですが皆さん、お豆腐を想像してください!

はい。
どんなお豆腐でしたか?

冷奴?
お味噌汁?
パックに入ったスーパーのお豆腐?

私は、スーパーに売っている
プラスチックの白いパックに入ったあのお豆腐でした。数日前まで。


今同じ質問をされると、
実家の近くにあるお豆腐屋さんで
ボウルを持参して買うお豆腐をイメージします。

母にお使いを頼まれ、空のボウルと小銭を預かり
お豆腐屋さんで元気よく
「お豆腐一丁ください!」という。
元気なおっちゃんかおばちゃんが水に浮かべたお豆腐を
手で掬って持参したボウルに入れてくれる。
「お使いえらいなー!」なんて
言いながら肉厚のお揚げを2枚もおまけしてくれる。
るんるんでそのことを母に報告する。
晩御飯で、シンプルに湯豆腐としてお膳に並ぶ。
子供ながらに、このお豆腐は美味しいと思いながら食べる。(生意気ですね)
そんな幼少時代の記憶が、今何だかたまらなく幸せなのです。


何の話?今日はバイクの話じゃないのか、と。
(私の以前書いたnoteを読んでくださった方は)
思うかもしれません。

なぜかというと、
この本を読んだからです。

料理研究家の土井善晴先生の著書、
『一汁一菜でよいという提案』

とっても優しい本でした。
ぜひ読んでいただきたいです。

一汁一菜じゃあタンパク質が足りない!!とか
私ならもう二菜作るけどな〜って思う方は、
今読む必要はないかと思います。
日々の食べるという営みにちょっと疲れた時は
ぜひこの本を読んでほしいと思います。



土井先生も著書の中で仰ってますが、
タイトルの通り、なのです。
一汁一菜でいいよ、と。

「ハレ(特別な日、祭日など非日常)」と
「ケ(日常)」の概念に触れておられますが、
特別なご飯と、日々の食卓に並ぶご飯は
別物であるべきです。

インスタグラムを見ていると
手間を惜しまない、丹精込めて作った
見栄えのするお料理を目にすることが多いです。
お店のお料理、個人どちらも問わずです。

見る機会が多いと、
心のどこかでこう思い始める自分がいます。
こういう手間の掛かった、映える料理を作れるようにならないと!


ハレとケの境目が曖昧になって、むしろケの領域に
ハレが入り込んでいるような気もします。

生きていく上で、必ず必要な食べるということ。
この先何十年も続きます。
自分の分だけでなく、誰かのために作ることになるかも。

毎日豪華なものを作らないと!
何作ろう??
なんて、そんなに頑張ってちゃ
疲れちゃいますよね。

そこで私が回帰したのは実家の母のご飯でした。
実家のご飯って、決して豪華じゃないイメージです。
もちろんご家庭によると思いますが。
美味しすぎて飛び上がるようなご飯が出てくるわけでもない。
でも、美味しくて幸せな気分になります。
「普通に美味しい」のです。

せっかく作ってくれたご飯に
こんな言い方をするのは大変失礼ですが
感覚的には実際かなりこれに近いかと思います。


あの頃のご飯は、

小鉢に何種類か入っているお漬物
具が毎度変わるお味噌汁
家から徒歩1分の昔からあるお豆腐屋さんのお豆腐で湯豆腐
切り干し大根と油揚げの炊いたん
それと白いご飯それにお魚かお肉料理もついてきて。

正直、インスタに載せるような
映えるメンツではないです。
でも、私たちのためにつくってくれたご飯、
京都の水は綺麗やから美味しいなーと思いながら
食べるお豆腐とお漬物。
お漬物でも、柴漬けはやっぱりあのお店が美味しい
なんて会話もしながら。


その土地のものを愛し、
季節ごとの旬を楽しんで生きていく。
リッチなものを求める「陽であり、洋」に
傾きすぎた今の自分のバランスを
うまく調整する。

飾らないけれど、最高に満たされた
食事の良さというものを、
飾らないけれどもキリッとした土井先生の
文章が思い出させてくれました。

そして何より、幼い頃から欠かさず
当たり前のように食事を作って、
幸せな記憶を作ってくれた母に改めて感謝します。


食べることが大好きで、
食べることを大切にしているので
土井先生の一言一言にとても心が躍ると同時に
落ち着いた気持ちになる本でした。


毎日献立を考えるのがストレス、
キラキラな生活にちょっと疲れた、
食べることを大切にした方、
ぜひ読んでいただきたい本です。

拙い文章でしたが、土井先生と
著書の魅了を少しでもお伝えできればと思って
noteを書いてみました!

最近ほんとに本を読まなくなってしまったので、
これをきっかけに活字にたくさん触れたくなりました。
それと、近々実家に「普通に美味しい」ご飯を食べに
帰ろうかと思います。

楽しみ、ふふ。

Thank  you  for  reading.
Tom.


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