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【連載小説】聖ポトロの巡礼(第3回)

貝の月22日

昨日寝る前に食べた木の実はどうやら毒だったらしい。朝から吐き気とめまいが止まらない。

食料が底をついてしまわないようにと、道中見つけた食べられそうな木の実とか葉っぱとかを、色々試しているんだけど、ちょっと甘かった。山葡萄に似てるし、味も香りも果物みたいで食べられると思ったんだけど…

考えてみると、元の世界でも、食べられそうな外見でも、猛毒を含んでいるキノコとかあるって言うし、ま、まだ死んでないだけマシかもしれない。でももし、ここで死んだとしても誰も助けてくれないだろうな・・・。

ラピに連絡を取ってみるか。でも、どうやって?コムログすらないこの世界で、どうやって連絡をとりゃいいんだ?

ああ、俺にもし翼があったら、あの赤い夕焼け空を飛んで、王国かピトかへひとっ飛びなんだけどなぁ。

しかし毒のせいなのか、今日の夕焼け空はやけに赤い。風景も俺も真っ赤に染まっていく・・・

いや、俺もしかして血まみれなのか?

・・・はは、そんなこたぁないわな。

ああ、ボーっとしてきた。

今日はこの岩陰でそのまま野宿といこう。明日の朝、ちゃんと目が覚めますように・・・。



「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)