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かわいい水準

しばらく前に、友達が「最近かわいい子多くない?」という内容のnoteを書いていたのだが、本当にその通りだと思う。

高校生の頃までは、正直そこまで自分の外見を磨こうという努力はしていなかった。如何にも田舎育ちの、芋くさい女子高生だったと思う。進学校で部活と勉強に追われる日々を送っていて、外見についてなんか後回しだった。そんな高校にももちろんかわいい子はいたし、そういう子ほど見た目に気を使っていたが、自分とは違う人種のように感じていた。私は元が良くないから何やっても仕方ないからな、と変に納得していた。

中学〜高校時代、通っていた図書館に置いてあるから、という単純な理由でSeventeenを読んでいた。本や漫画と同じベクトルで雑誌も基本的に好きなので、他にもananや、読むものがない時は親の借りていた天然生活なども読んでいた。服にもメイクにも無頓着であったため、どちらかというと文章の多い誰かのインタビュー記事や、巻末の方にあるカルチャー系の特集ページを見ることの方が好きだった。Seventeenに出てくるモデルの子達は、皆私と同年代の子であったが、この子達は都会の元々顔がいい子達だから、という無意識の線引きがあって、劣等感を感じることはほぼなかった。

大学に入学し、関西に進出した。大学に入学する前の春休み、自分なりにメイクを勉強して、髪も染めたし、親戚には垢抜けたなあと言われていた。これってもしかして大学デビューなんじゃないか……?そう思っていたのもつかの間、衝撃的な事実に直面する。大阪には、雑誌に載っているようなお洒落で垢抜けた女の子たちがわんさかいたのである。私と同年代に見える子たちはもちろん、年下の中高校生すらも、サラサラの手入れされた髪の毛と、綺麗な化粧を当たり前のように装備して、何食わぬ顔で歩いている。田舎ではトップクラスとされるような美の基準は、都会では当たり前のレベルだった。生粋の田舎者の私はもちろん、物凄いダメージを食らった。岡山とか高松にいる子を見て、「都会の子はかわいいな〜」とか親に言っていた自分が恥ずかしくなった。大分なカルチャーショックであった。

それから、SNSでたくさん美容情報をチェックするようになった。Seventeenに載っているモデルの子達は存在する。都会には、モデルと同じレベルの子達がいくらでもいるのだ。その頃から、高校時代から好きだった女性アイドルの現場にも行くようになり、ますます「嘘みたいに可愛い子は、現実に存在する」という事実に直面した。私もこの恥ずかしい外見を何とかしなければ。SNSを見ていると、何だこれはというダイエット方法や、たくさんのヘアケア用品、ありとあらゆる系統のメイク方法、無限に存在するカラコンや、まつパ、ネイル、エステetc……。実に様々な情報が流れてくる。こんなたくさんのことを、世の中の女子たちは皆やっているというのか。頭がくらくらする。こんなの、お金がどれだけあっても足りないし、技術も時間も必要だし……。もうどうすればいいのか分からない。


以前、Twitterで流れてきた、昭和のアイドル誌の表紙を見たことがある。ほぼすっぴんのようなメイクに、髪にツヤはなくボサボサ。表紙モデルは数人いたのだが、みんなそんな感じだった。皆そんなに目鼻立ちがはっきりしているわけでもないが、日本人らしいふっくらとした顔つきに、にっこり自然な笑顔が可愛らしいな、という印象だった。

美の基準、かわいいの基準が年代によって変わるのは当たり前。平安時代の巻物に出てくる「美人」を私たちが美人だと思わないのは当たり前。聖子ちゃんカットより、自然なミックス巻きをしている女の子の方が多いのも当然。だが、もはやそんなレベルの話では無い。SNSが浸透した今の時代、色んな美容情報が誰の手にも渡るようになり、どんどんかわいいことへの基準値が高くなっている気がする。

私自身、自分の笑っている顔が嫌いなので、「女の1番の化粧は笑顔」なんて言う気はさらさらない。でも、よりにもよってこんな時代に生まれちゃって、かわいくなりたいと思ってしまう私たちって結構頑張ってるよね。


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