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かわいいのお手本

ひなちゃんごしゃい、改名して五彩緋夏ちゃん。


大学生になる前の春休み。滑り止めには全落ちし浪人確定だと思っていたのに、本命に受かっていてなんとか大学生になれると確定した頃。

大学生になれる驚きと共に、憧れの大学生になれるからにはキラキラした大学生になりたい!と思い、まずは大嫌いな自分の容姿をどうにかしたいと考えた。もう受験生じゃないから、勉強以外に時間を割くことに後ろめたさを感じることなく、思う存分自分磨きに時間をかけることが出来るのだ。ということで、ほぼ未経験だったメイクの勉強を始めた。右も左も分からない状態だったので、とりあえずYouTubeでメイク動画を漁ってみた。

その時に出会ったのが、ごしゃいちゃん。

私は、所謂「量産型」「地雷系」というようなジャンルの可愛い女の子に憧れを抱いていたので、自然とそういうメイク方法を模索していた。すると、たくさんごしゃいちゃんの動画が出てきた。

とにかくテクニックがすごい。100均コスメでフルメイクをしている動画を見てびっくりした。コスメとかヘアケアとか、可愛くなるためにはお金が付き物だと思っていたが、自分の少ないお金の範囲でも自分磨きって出来るんだ、と衝撃を受けた。

量産型・地雷系メイクでも何種類もあげてくれている。他にも、ものまねメイクや偏見メイクなど、企画が面白いものもたくさん。惜しみなくそのメイクテクニックを披露してくれていることにびっくりした。雑談も面白いし、時には自分の病気や、コンプレックスについてのことも泣きながら話してくれて、同じくずっと自分の顔が嫌いである私は思わず涙が出てしまった。同じ思いをしているごしゃいちゃんが、必死に可愛くなることで自分を守る様子を見て、私も可愛くなって強くなりたいと思った。

春休みは、ごしゃいちゃんの動画を全部一気見して過ごした。コスメブランドはCANMAKEとちふれとCEZANNEしか知らない、アイラインはまっすぐ引けない、アイシャドウとアイブロウの違いが分からない、そんな状態だったので、とにかく見まくった。メイクでごしゃいちゃんが色んな系統の可愛いを体現する様子に、私も新しい自分になれるかな、とわくわくしたし、挑戦する勇気を貰えた。ごしゃいちゃんの動画で全てメイク技術を習得したと言っても過言では無いくらい。

それから偶然、私は骨格ストレート・ブルベ夏(自己診断なのでもしかしたら違うかも)で、ごしゃいちゃんと全く同じだったので、LOOKBOOK動画などもたくさん参考にさせてもらった。骨格に合う服を選ぶようになり、「痩せた?」と聞かれることが増えた。思い切ってミニスカートや厚底が履けるようになった。ごしゃいちゃんありがとう!という気持ちだった。

ごしゃいちゃんプロデュースのメイクブランドができると聞いた時はすごく嬉しかった。すぐにリップを買った。ローズクォーツの純愛。名前も可愛い。「あなたの可愛いを壊させない!」という最強のブランドコンセプト。ごしゃいちゃんのプロデュースしたリップをつけているというだけで、ごしゃいちゃんがいつも味方してくれているようで、少しだけ自信が持てた。

カラコンもプロデュースしてくれると知った時も、本当に嬉しかった。今でもきゅるきゅるダークモカ、ちゅんチョコフラッペを愛用している。目が大きくないけど可愛い系のメイクをしたい、大きすぎるカラコンを入れると宇宙人みたいになってしまって似合わない、という私にはピッタリだった。ごしゃいちゃんは女の子を可愛くする魔法が使えるのか、と何度も思った。

こうして、ごしゃいちゃんのおかげで少しずつメイクを習得することが出来て、自己肯定感が低い自分に、ほんの少しだけど、自信がついたように思う。前までは「私には可愛すぎて似合わない」と思って避けていた自分の着たかった系統の服にもチャレンジ出来るようになった。自分の顔が嫌いだから写真を撮ることも撮られることも嫌いだったが、少しずつ写真を撮られても大丈夫になってきた。前までは、恋人と、カップルっぽいことを私みたいなブスなんかがしたら醜い、という気持ちがあったのだが、今では恋人とプリクラを撮ったり、浴衣で夏祭りに行ったり、少しずつ普通のカップルがしているようなことを楽しめるようになった。前までは、人に可愛いと言われても、お世辞だろうな、としか思えなかったのが、「私、少しは努力してるもんな」と、素直に嬉しく感じられるようになった。家族や親戚、地元の友達や恋人など、私のことを昔から知ってくれている人に、「垢抜けたなあ」「可愛くなったなあ」と言われることが増えた。

最近、成人式の前撮りをした。大金かけて撮ったブスのノーマル写真なんて、誰が得するんだろう。そう思い、当日までずっとモチベーションがなかった。髪色も染め直さずに、ネイルもせずに、暗い顔でスタジオに向かった。
メイクは、ほとんどを私がして、軽くヘアメイクさんが仕上げをしてくれる、という感じだった。着飾ったブスな自分と向き合わなきゃいけないという精神的負担と、薬の副作用による体調不良で、心身ともにボロボロだった。せっかくしてもらったメイクが崩れたらもったいないと思い、泣きそうになったのを慌てて抑肝散を飲んで我慢した。
なんとか写真を撮り終わり、写りの確認をすることになった。見たくないな、と憂鬱な気分で指定された画面の前に座る。自分の写真なんか直視したくなかったが、恐る恐る見てみると驚いた。もしかして、私ってちょっとは綺麗なんじゃないか。写真屋さんが上手に撮ってくれているのもあると思うが、自分が写っているノーマル写真でこんなにダメージを受けなかったことはなかったのでびっくりした。同時に、自分の顔を認められるようになったのを自覚して、すごく嬉しくなった。両親も綺麗と褒めてくれて、なんだか泣きそうだった。

あれもこれも全部、ごしゃいちゃんのおかげ。



なりたい自分への近道を、ごしゃいちゃんが全部具現化してくれていた。


自分のコンプレックスを克服するためにたくさん研究して、試行錯誤して、その結果得た技術を独り占めせずに、たくさんの可愛くなりたいと思っている女の子に届けてくれてありがとう。

メイクの楽しさ、自分磨きの楽しさを教えてくれてありがとう。

顔も性格もブスな私に、勇気と自信を与えてくれてありがとう。

今も自分の顔も性格も大嫌いだし、なんで自分ってこうなんだろってたくさんたくさん思うけど、でも昔の自分よりは絶対可愛くなれたし、前向きになれたはず。ごしゃいちゃんのおかげだよ。私たちのかわいいのお手本になってくれて、ほんとにほんとにありがとう。

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