「レシピ」

楽しかったはずの出会いが、悲しい別れに変わってしまった。

ある夜の出来事だった、僕は寂しさを紛らわす為に、予めいれていた出会い系アプリのグループ通話昨日を使った。

そこで1人の女性と出会った、女性は30代、長らく鬱病を患っており、自分と同じように寂しさを埋めるためにグループ通話を始めたとの事だった。

女性とはとても意気投合した、生まれや育ちの事、現環境の話、自分が料理を始めた事や、女性の作るご飯の事、とても長い間電話をしていた。

僕はここで縁が切れてしまうのは勿体ないと思い、思い切ってSNSの交換を申し出た、女性は快く了承してくれて、お互い同じSNSのアプリを入れ、そちらで個人通話する事にした。

個人通話では料理の話で盛り上がった、丁度晩飯時だった事もあり、手ほどきを受けながら買い出しや料理をしていた。

出会い系アプリをあまり信用していなかった僕は、とてもいい出会いがあったなぁと思い、喜びと安堵の気持ちでいっぱいだった。

しかし、次の日の朝、出会い系アプリもSNSからもその女性は消えていた。

突然の別れに僕は驚きと戸惑いが隠せなかった、何か気に触る事を言ってしまったのかなど、自分の言動を振り返るもそんな事はなく。

ただそこには彼女から教わった料理とレシピが残るだけだった。