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旅をする崇高な理由は見つけられない

最近、自分がスタンプラリーのように躍起になって旅行している自覚がある。あまりにも「行ったことのない場所、見たことのない景色、感じたことのない空気」に執着していると思う。だから行ったことのある場所ではなく、どうせなら自分にとって未知の場所にいきたい。でも、それって自分が胸を張れるものなんだっけ、とどこかで怪しんでいる自分がいるのを実は感じていた。

連休が終わって会社の人と何気ない雑談をしているとき、年上の女性たちだったがみんな旅行好きで、でもそれぞれ旅のスタイルはずいぶん異なるようだった。私のようにバックパッカーでひとり、でもわざわざ高額な時期に行きまくるタイプの旅狂いはいなくて、どうして旅行に行くのと言われると結構困ってしまう。

行ったことのない場所をただ見たいから行くので、自分の目で見たということ自体の達成感が強くて、そこに目的の観光地があることも、食べたいものがあることも、会いたい人がいることも、私にはレアケースだ。でも、ただ表面上だけ「行ったことのある国数、あるいは県数を増やしたい」と思われるとそれはちょっと侵害なのだ。とはいえ、そうとしか思えないよな〜〜と説明できずにもやもやと考えていた。なんのために旅行してるんだっけ。

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私は好奇心が強くて、しかも、知識としてだけじゃなくて実体験として知りたいという気持ちが昔から原動力になる。(これは感覚としても気づいていたけれど、どうやらストレングスファインダーという資質の診断でも、学習欲と収集心のどちらも持っていることと関連が強いという。)自分で見てみなきゃわかんないじゃん! と思っているタイプなのだ。

いろいろぐるぐると考えてみたが、どうやら自分の言葉で、感覚で語れる世界を増やしたいからということなのだと思う。もしかしたら行ったことのない場所でもいろいろと話せる人はいるのかもしれない。でも私にはそれはできないから、とにかく行ってみるしかない。それが、私がなるべく多くの国を自分の目で見て感じたいからなんだろうなとひとりで腑に落ちた。

それは別に崇高な理由ではない。ただ、「好奇心」をすこし飾った言葉なだけだ。理由があってもスタンプラリーじゃんと言われるかもしれない。でも、別に自分のために自分のために旅行に行くために、そういえば崇高な理由なんて要らなかったなとも思う。なんで旅行に行くの。好きだからです。でも良かったんだな。

次の旅も、旅したいから飛行機に乗る。高まる気持ちが、いちばんのスパイスになる。


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