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プレゼンをすると、自己嫌悪になる

新人研修でまた、ビジネスプレゼンのコンペがありました。今度こそ新規事業立案です。実現したい未来を作るための新しい「価値」提案をすることがテーマでした。

ぶっちゃけ、始まる前はめちゃくちゃ嫌でした。実務とかけ離れた研修に引き戻されること、そして実際に会えもしないメンバーと1日8時間もビデオ通話を繋いで議論して、また戦わなくてはいけないこと。

そしてプレゼンが終わった時、私はひどく悲しい気持ちになっていました。思ったより準備している最中のメンバーとの交流が楽しかったことが余計に私を落ち込ませました。またやってしまったかもしれない。やりすぎたかもしれない。そう思って情けなくなるんです。

私自身はプレゼンにはさほど自信があるわけではありませんが、褒められることは多いです。きっとオンラインプレゼンと私の相性がすこぶるよく、文章選びや声や話しぶりや質疑応答が魅力的に思えるらしいのです。前回も今回も名指しで講師に褒めていただき、恐縮ながらとても嬉しかったんです。

でも、あんまり浮かれてもいられません。私は、それを強みにするから自分にやらせてくれと言えるほどの信頼関係を築けていませんでした。そもそも私はリーダーというわけでもないのに、最後はかなりでしゃばってしまったと思います。そこはよろしく!と快く送り出してもらえるような関係になれないのに、やってしまったともやもやした気持ちが募っていきます。


リーダーをしてくれていた真面目な男の子は、真面目が表に出るプレゼンをする人でした。裏でも表でもいろんなことをしてくれるし、自由奔放な私達を進路に乗せるのに人しれない苦労もあったと思います。それでも、私は最後の最後に彼から質疑応答をかっさらってプレゼンを締めくくってしまいました。

それでも、勝てなかった。

勝てなかったことではなく、最後の暴走をどうにかできなかったかと反省が募ります。質疑応答でできたことがあると、内容面で反省することはたくさんあります。それでも同期からの票は少なかったけれど、講師からの評価は高かったから良いやと思いました。みんなのセンスが無いか、私達がお人好しに投票しすぎたのです。

最後の1週間、私はかなりひとりで多くの作業を担い、方向性に口出しし、完成度を高めていこうとしていました。そうやって走ってみたけれど、メンバーとの差はいつの間にか開いてしまっていたのかもしれません。私はもっとゆっくり走らなきゃいけなかったのかな。リーダーの声が今日はいつもより沈んで聞こえて、私まで黙ってしまいました。


学生団体にいたときには、こんな風に感じることがなかったと、ふとシャワーを浴びながら思い出しました。積み重なった寂しさや不甲斐なさや悔しさを流しながら、本気で考え続けた学生たちに思いを馳せました。

私は、今回のプレゼンでメンバーを軽んじていたのかもしれません。自分が何をしても一番キレると過信していたのかもしれません。実際に私が貢献したところは大きかったけれど、それは私が他の人から仕事を奪っていたにほかならない。昔から私は人に任せることができないって言われてきたのにね。

大学3年生の時私のリーダーだった人は、少なくとも得意不得意を認めあって分担できる相手でした。そこで戦わせる議論はみんなが同じ熱さだったからこそ、充実していったのだと思います。



私は今回、恐る恐るでした。そして、最後にやっぱり満足したくて、暴れてしまったように思います。暴れたといっても私だけプレゼンを褒められて、質疑応答に全部自分で答えきっただけだけれど、それってきっとやるべきことじゃなかったんですよね。

何かを伝えたり、しっかりと下準備してきたことを答えられたりする時間を楽しんでいる目立ちたがり屋な自分がいます。やるなら負けたくないと全力な自分がいます。でも、メンバーがやりたいペースも崩したくないし、チームで共有しているゴールを自分のためにかき回したくないと気にする自分もいるんです。

大学時代は、どんなに尖ったことを言っても、正面から指摘をしてもよかった。それはきっとリーダーと真剣さを共有していたし、私を理解してくれる人だと思えていたから。でも、社会人になってぬるりと日系大手にいる私は、そんな自分を持て余すことがあるみたいです。器用にできることが人より少し多い分、逆に尖り切ることができずに顔色を伺ってしまいます。

人を動かす力が無いんだな。そう思うと悲しくなりました。きっとやるなら真剣にやろうと、そういうムードさえあればそれなりに働くそれなりに優秀な人達が集まっているはずです。それなのに、そこまで持っていけない自分の至らなさ。それならリーダーをすればよかったんでしょうか。でもきっとそうしたら、ブラック企業のように何かを強いるチームになっていたのかもしれません。

結局、プレゼンで褒められても喜ぶことができない研修が終わりました。いっそ力を抜けばよかったとは思わないけれど、反省ばかりが残ってしまいました。こうやって社会人になっても学んでいくのかと、それを学んだ3週間でした。

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