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あえて特別なことをしない旅こそ、忙しい自分を癒してくれる
まるでその地に暮らしている人かのように、旅先で観光地にも行かずに過ごした経験はありますか。
まるまる半日海辺でうたた寝したり、滞在中毎日同じカフェでくつろいだり、チェーン店に溶け込んで読書をしたり。
家族や友人には、「え!もっと観光すればいいのに」と言われることもあります。でも、私はあえて特別なことをしない旅こそ、忙しい日常に居るから自分を癒してくれる旅のあり方だと思っているんです。
毎日忙しくて、少しお疲れ気味の人にこそ、この旅をおすすめしたいです。
なにもしない時間がもたらすもの
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前提として、観光スポットを巡るのも、もちろん楽しいです。はじめて行く土地には行きたいところも多いし、何かを目当てに行く場所もあるくらい。自分にとってここは外せない!っていうポイントはありますよね。
でもその中で半日でもぼんやりすることを自分に許せると、その旅には余裕が生まれます。
何もしなくていい時間って、日常生活では難しいじゃないですか。
仕事があったり、家事があったり、趣味があったり。
時間があるならあれもこれもしたいと思うし、たとえ時間があったとしても、だらだらと過ごしてしまうとほんの少し罪悪感さえ感じます。
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旅は非日常だからこそ、自分に空白を与えやすいと思います。
お休みだから、もう日常からは離れてしまったから、物理的に遠いから。理由はなんでもいいけど、旅では自分を許してあげやすいし、私たちには寄り道する時間が必要な気がします。
観光客である存在感を消し、カフェでサラリーマンの往来を眺めたり、海辺で読書をしたり。
これが案外、その土地を楽しむことにもなるんです。現地の人たちの日常を理解することは、ただ観光スポットを訪れるだけでなく、文化をより深く知って楽しむカギになります。
きっかけはサモアでの体験
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何もしない過ごし方の良さを教えてもらった旅があります。
調べても「観光地」の見つからないサモアに行ったときのことでした。日曜日でお店はほとんど休み。マクドナルドで1000円ほどもするバーガーを食べるしかやることがありませんでした。
「この島で行くべきスポットはありますか」
どうやって過ごしたらいいのか分からなかった友人と私は、仕方がないので現地の人に尋ねることに。
「あはは、何にもしないんだよ!好きな場所で海を眺めていてごらん」
期待していた回答とは違って、私たちはますます困惑しました。
海を見てるの?
入るわけでもなく、有名なビーチでもない場所です。
納得はできないまま、通りがかりのビーチで、まるまる一日を潰すことになりました。
最初は珍しくて写真を撮りあい、散策をしますが、当然一時間も経たないうちにすることがなくなります。
日陰を探して寝転んだり、勝手に読書を始めたり。
少し日焼けして午後を迎えたころには、みんな自分に贅沢な時間が流れていたことを知って、満ち足りた気持ちになっていたのでした。
特別なものが与えられるものだと期待するんじゃなくて、その場にあるものの良さに気づく。現地の人たちが日常で迎える、長い週末のかけらを知ることができたようにも思いました。
相手の日常に入れてもらう余白
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それからというもの、私は旅を非日常で埋め尽くすのではなく、旅先の日常に紛れ込ませてもらう余白を持つようにしています。
スーパーで買った生ハムとビールで晩酌したイタリア。
川沿いのベンチでカップルを横目におしゃべりしたオーストラリア。
コメダで雨宿りをしながら読書をした宮崎。
旅先で自分の貪欲さを落ち着けて、一息つく。
旅に二時間の余白を持たせるだけで、その土地は「旅行プラン」では知ることができなかった一面を見せてくれるかもしれません。
また、特別な予定のない時間が、日常生活の緊張をほどいてくれるでしょう。
あなたも次の旅では、あえて特別なことをしないと決めて数時間過ごしてみませんか。
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