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記者を辞めて、障害福祉サービス事業所でバイトし始めた話

 題名の通りです。新卒から7年勤めた通信社を辞めて、群馬県に引っ越し、前橋市のNPO法人「麦わら屋」でアルバイトを始め、約5か月がたちました。現在はフリーライターも名乗っています、原菜月と申します(ちなみに通信社というのは、新聞などの媒体に記事を配信しているマスメディアです)。

向かって左が原。右にいる古澤さんリクエストで、なぜかウインクして自撮りした一枚

 麦わら屋はいわゆる障害福祉サービス事業所で、障害がある人たちが働いたり、日々を過ごしたりしています。内職や畑作業、めだかの飼育、豚肉加工、アート制作など、活動は多岐にわたります。中には疲れて昼寝している人、ひたすら歩き回っている人、土をさわっては手を洗う工程を繰り返している人もいます。職場であり居場所でもある、何とも不思議な空間です。

野菜の販売もしています

 私事ですが、まだ会社員だったおととしに適応障害を発症し、半年ほど休職した経験があります。その間、障害がある人たちが活動するアートNPOと出会い、あれやこれやあって、会社を辞めました。詳しくは個人のnoteに書きましたが、本筋からそれるので、「今なら時間があるから少し覗いてやっても良いよ」という方だけご参照ください。

 大きな組織で働くことに疲れ果てていた私は、社会や自分の中に潜む「べき論」にささやかに抵抗しつつ、毎日くすっと笑える生活を送りたいなあと思い、安直ながら「自分も福祉とアートの仕事をしてみよう」と考えました。たまたま家の事情で群馬に引っ越すことが決まっていたので、ネットで求人を探し、麦わら屋の存在を知りました。最初は見学だけのつもりでしたが、あまりにも素敵な雰囲気で、すぐさま「ここで働かせてください」とお願いしたのを覚えています。某ジブリ作品のようですね。

 正直に言うと、働き始めてしばらくは何をすれば良いかわかりませんでした。というか、こう言うと怒られるかもしれませんが、今もよくわかっていないかもしれません。
マニュアル的なものはありません。中にはトイレや歩行の補助が必要な人もいますが、それ以外は絵を描いているところを見守ったり、おしゃべりしたりしています(もちろん他にもやることは色々あるのですが、その辺は追々…)。最初は「これでお給料をもらっても良いのか…?」と戸惑いながら過ごしていたけど、実際帰るころにはヘトヘトでした。

利用者さんが土をさわる様子を、ひたすら見守る時間

 なぜエネルギーを要するのか。理由は色々ありますが、予定調和では物事が進まないから、というのが大きいと思います。「原さんの干支は?」「原さんって海外に行ったことある?」「何歳からがおばさんだと思う?」などと質問攻めにあったり(最後の質問にはうまく答えられませんでした…)。逆にこちらが質問したら斜め上の答えが返ってきて、思わず吹き出したり。突然走り出す人がいたかと思えば、その場でじっと動かなくなる人がいたり。「他者は自分の思い通りになんてならない」という当たり前の現実をひしひしと感じます。ヒヤッとしたりざわっとしたりすることも少なくないけど、めちゃくちゃ面白くて、めちゃくちゃ疲れる、という感じです。

 正直、自分が役に立てているのかはよくわかりません。利用者さんに「〇〇しちゃだめだよ」と注意しているときは仕事した気になるけど、それってとても危険だな、とも思います。自分の中に潜む決めつけがふとむき出しになったり、「ああ、あの言動は無神経だったな」と布団の中で思い出したりと、落ち込むことも多々あります。

 少し前までは、麦わら屋での出来事や悩みを同居人に聞いてもらっていました。こんな面白いことがあった、こんなことを考えさせられた、と延々と話していました。でも次第に「ここだけで話しているのって、実はすごくもったいないんじゃないか…?」と思い始めました。そこで代表の小野さんにおそるおそる「noteを始めても良いでしょうか」と持ち掛けたところ、二つ返事で快諾いただきました。
 
 というわけで、このnoteはいわゆる新人職員奮闘日記的なものになると思います。思わず笑った出来事、新たな発見、もやもやとした悩みを、原が徒然と記録していきます。申し訳ないくらい自分本位です。他にも、利用者さんがアート作品をつくった過程を紹介したり、イベントの宣伝をしたり、小野代表や先輩職員にインタビューしたりしたいと思います。
 このnoteを読んで、「原は何もわかってないな」と思われることもあるかもしれません。私は福祉を勉強したことがないし、資格も経験もありません。アートに関してもど素人です。ただ「そんな人間でも麦わら屋と関われるんだなあ」と、ぼんやりでも思っていただけたら嬉しいです。そして悔しいですが、私の文章力では、実際の出来事の面白さを半分も表現できないと思います。このnoteを読んで「ちょっと遊びにいってみようかな」と思っていただけたら、もっと嬉しいです。よろしくお願いします。

麦わら屋ホームページ

麦わら屋インスタグラム

https://www.instagram.com/npo.mugiwaraya/

(文:広報スタッフ/ライター 原菜月)

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