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声豚じゃないのにV推しなの?

 私はVtuberの厄介オタクをしているのだが、声豚を自称する知人から「声豚じゃないのにV推しなの?」と不気味がられた。たしかに私は声優コンテンツにはハマらなかった。全く興味が無いわけではなく、アニメやゲームのキャラクターを背負った状態でのボイスドラマとかラジオ作品みたいなものを摂取したことはあるが、特定の声優のファンをしているわけではないし、推しの声優がいるというわけではない。それなのにVを推しているというのが声豚を自称する知人からするとどうも解せないらしい。悪意や嘲笑は一切なく単純に素朴な疑問といった様相であった。

 その知人もVを推しているし、その知人は声豚を自称するだけあって、とある声優の大ファンで、その声優さんのライブやトークイベントに出向くほどである。その知人いわく、自身は音声コンテンツが好きで気づけば中の人を好きになってしまったとのことである。話を聞くに、アニメ作品中に好きなキャラが出来てオタクをしていた所、たまたま他の作品でも好きなキャラが出来て、声が良いなと思ったら同じ声優さんで、気づいたら順序が逆になって、その声優さんのキャラなら好きになれる身体になっていたらしく、遂にはその声優さん推しを名乗りだしたらしい。

 声豚の知人が言うには、声が良くて話が面白く、その存在や素性に興味が湧くというところで、Vtuberと声優にはかなり近いものがあり、声優さんのトークイベントやライブを聞くのとほぼほぼ同じ感覚で極めて違和感なくVを推し始められたとのことである。その知人はいわば、Vtuberもその声の主を推しているのだとすれば、たしかに合点がいく。

 なら、私は何を推しているのだろうか。言われてみれば確かに説明ができない。キャラクターだろうか。見た目だろうか。きっと声豚と言う言葉があるように、何を主軸にハマったか、何が入口であったかということで、オタクもかなり細分化できるのかもしれない。私は自分のことを厄介オタクであるという以外の説明ができない。知人は声豚であり、その延長でVも推していると自身の推しや性癖について説明が出来ていて、理解が進んでいる。私は声豚ではないのに、肉声的な側面が大きいVを何故推しているのかという素朴な疑問に、何ひとつつとして説明ができなかった。その答えが出ないまま声豚を自称できる知人のことを心の底から羨ましく思った。

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