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おまじない-バイバイサンキュー/BUMP OF CHICKEN(A)

おまじない-バイバイサンキュー/BUMP OF CHICKEN(A)

 4月といえばクラス替え、入学、就職、引っ越し...etc、新生活の始まる時期。自分がそれまでいた環境から、殆ど何も分からない新しい環境に飛び込む時というのは、いつまでたっても慣れない。一番の原因は、”この先どうなってしまうのか?”、”一人ぼっちで寂しい”など、ネガティブな感情が頭の中を駆けめぐることで膨らんでしまう不安感。
 この楽曲は、そんな不安感を優しい音色で包み込むように広がっていく。そし

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新時代-天体観測/BUMP OF CHICKEN(A)

新時代-天体観測/BUMP OF CHICKEN(A)

 20世紀から21世紀に変わる時。TVがこぞって、世界中の人たちが新しい時代の幕開けに胸を高鳴らせ、光に満ちている様子を映し出していたのを覚えている。
 だけど思い返せば、当時も変わらず世界はゴタついていたから、暗い空気も入り混ざって、行く先は混沌としていたのだと思う。
 そんな、21世紀の最初の年にリリースされた楽曲は、ナイーブな空気感が漂うけれど力強く響き、否が応でも昂揚感が漲る。それは、まる

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礎-Ending/BUMP OF CHICKEN(A)

礎-Ending/BUMP OF CHICKEN(A)

 AL『THE LIVING DEAD』の「Ending」。言うまでもないけれど「Opening」とセットの楽曲。どちらも言葉にメロディが付いているので歌であることは間違いない。だけど、気の抜けたようなユルユルとした声と、簡単な単語だけを使った喋り言葉みたいな詩は、小さい子をあやすためにお喋りしているみたい。

 この10年後に産み出される「魔法の料理~君から君へ~」も、おんなじような雰囲気を纏っ

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グイグイ-ラフ・メイカー/BUMP OF CHICKEN(A)

グイグイ-ラフ・メイカー/BUMP OF CHICKEN(A)

 哀愁が漂う空気の中から、勢いよく飛び出す音、オーバー気味なコミカルな表現。まるで、悲劇を無理くりにでも喜劇として塗りつぶそうとして跳ね回っているみたい。

 一緒に収録された表題曲「ダイヤモンド」では彼らの歩みを唄い、コチラでは彼らのスタンスを唄っているように思う。

 というのも、近年の彼ら、特にフロントマンである藤原基央が頻繁に口にしていることの中に、"自分たちの楽曲は、見つけてくれた貴方の

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最硬の4人-ダイヤモンド/BUMP OF CHICKEN(A)

最硬の4人-ダイヤモンド/BUMP OF CHICKEN(A)

 彼らが新たなステージに上がり、初めてリリースした曲は、着飾らない真っ直ぐなモノ。深い所から発せられる声に揺らぎは無く、堂々とした面持ちで響く。辿ってきた自分たちの道程を肯定し、明日を見据えていることが伺える。
 けれども、当時の彼らを考えれば、これから4人がどこまで続いていくのか。一抹の不安があったことは想像に難くない。だからこそ、4つの点が結びつく図形の意味を持ち、最硬の鉱物である「ダイヤモン

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始まりのカーテンコール-グロリアスレボリューション/BUMP OF CHICKEN(A)

始まりのカーテンコール-グロリアスレボリューション/BUMP OF CHICKEN(A)

 26年間。彼らが産み出してきた数多くの楽曲の中で、最もパワフルで荒々しく感じるタイトル(次点で「グングニル」)。

 収録されているALは8編の物語を主軸に構成されており、この楽曲は最後の物語。その間に語られる7編の物語は、何れも少なからず悲しみや悩みを抱えており、悲劇めいた陰が差し込んでいた。

 そんな物語達を肯定しながらも、結末をひっくり返して、すべからくグッドなエンドへと導くために。呪縛

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羨むべき矜持-K/BUMP OF CHICKEN(A)

羨むべき矜持-K/BUMP OF CHICKEN(A)

 不吉の象徴である黒を持った物語の主人公は最初は虐げられ、最後はハッピーエンドとなるのが定番。

 御多分に漏れず、この物語の主人公である黒い猫も虐げられ、ハッピーエンドへの道を辿る。ことが出来ず、黒い猫は常に敵に囲まれた状況下を生きる。味方だった唯一の友は道半ばで逝ってしまう。最後は、間際の友の願いを叶えるために孤軍奮闘し息絶えてしまう。そんな悲劇の物語。

 客観的には不幸で報われない一生。だ

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死にもの狂い-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

死にもの狂い-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

 日々が回るにつれて、当たり前だけど私たちは、かつての自分から変化している。それに気づいたとしても、何とも思わずに通り過ぎてしまう。この物語は、変化に気づき、立ち止まってしまった男の話。

 彼は事実を受け止めきれない様子で、これまでを廻る。零れ落ちていく様々な思いの全てから「一体なぜこうなってしまったのか?」という後悔の念が漂う。音はどんよりとしていて、今にも雨が降ってきそうな、鉛色の空を思わせ

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行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

 絵を描くコトが生きるコトである絵描き。絵を描き続ける表情は憂いに満ちている。その基になっている1つが、誰にも認知されることもない苦しみ、そしてもう1つは、絵を描く意味が行方不明になってしまった苦しみ。

 どちらも、自分自身の存在証明が揺らぐ、大きな問題。こんな状態だからこそ、音は暖かくポップな雰囲気はあるけれど、所々で荒んだ唸りが鳴っている。暖色と寒色を交互に塗りたくるような。そんな音像が広が

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無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

 人はそれぞれのモノサシに基づいて色々なコトを判断していて、計れなくなったモノは異質で不明瞭に見えてくる。

 小さい頃に立てた目標地点を目指し、なりふり構わずに向っていく行為は、時間の経過と共に、モノサシが振り切れてしまうことが多い。そのため、周囲からの声や自分自身の移ろいによって、姿勢を崩してしまいそうになる。そんな不穏な空気を吹き飛ばすように、曲は怒涛の勢いで駆けていく。

 自分たちの音楽

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魔法がかけられた-Opening/BUMP OF CHICKEN(A)

魔法がかけられた-Opening/BUMP OF CHICKEN(A)

 言葉が多ければ多いほど、たくさんのコトが詰め込める。けれど、その代わりに一番伝えたいコトが伝わらなくなる可能性がある。

 言葉を修飾すればするほど、ふくざつなコトを表せる。けれど、その代わり本当に伝えたかったイミから遠ざかる可能性がある。

 この曲では、伝えたいコトが、誰にでも伝わるように。そぼくなギターの音色と共に、かんたんな言葉達が短い時間で穏やかに語られていく。

 その様は、なんだか

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勇ましき臆病者-バトルクライ/BUMP OF CHICKEN(A)

勇ましき臆病者-バトルクライ/BUMP OF CHICKEN(A)

タイトルにある「クライ」は果敢な叫びである。と思わされる程に、声を枯らしながら唄う様が印象的で、耳に飛び込んでくる。四方八方鳴り響く音は、パワーに溢れ、足取りは軽快。鬨の声を上げる勇士の姿が、頭の中に思い浮かぶ。

 けれど、耳を澄ましてみると、所々にたどたどしさが見え隠れ。そんなことを思えば、今までの勇士の姿は、みるみる内に虚勢を張った臆病者の姿に変わっていく。「クライ」が、何かを求めて泣いて

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再点火-ランプ/BUMP OF CHICKEN(A)

再点火-ランプ/BUMP OF CHICKEN(A)

目標を定めてどれだけ準備をして、荷物をかばんにつめこんで、勇んでも。道中の様々によって、当初の熱量は徐々に失われる。私はそれがたびたびあって、そのたび弱い自分に嫌気が刺す。そんな風に悶悶として荒んでしまった時、この楽曲は沁みいる。

 常に熱量を持ち続けているように見える彼らでも、熱量を失うこともある。そして、都度それを取り戻しながら進んでいるというコトが、優しいロックなサウンドに乗って伝わ

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オリジン-ナイフ/BUMP OF CHICKEN

オリジン-ナイフ/BUMP OF CHICKEN

「FLAME VEIN」収録の楽曲達は、どれも初期衝動的なアツさがこもっている。中でもラストを飾るこの曲は、それまでの6曲を一つに纏めたように、いっとうアツい。グラグラに沸き立ち、真っ赤に輝く音がジワジワと広がっていく。雨が降ろうが槍が降ろうが、どこまでも先に向う構えであるのが、ヒシヒシと伝わってくる。

 結成26年。バンドを始めた頃から、彼らが奏でる音楽のカタチは、少しずつ変わってきている。け

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