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オルカパブリッシング
2021年8月24日 18:08
汗臭い部室に最後まで残っているのはいつも通り俺たち三人だった。制服に着替えてからもダラダラとおしゃべりをし、学校から人気が消えていくのを胸騒ぎを覚えながら感じている。とはいえ、俺たちになにか特別なことが起こるわけではない。胸騒ぎは「もう帰んなきゃなぁ」って感じの焦りみたいなのがどこかにあるからで、帰ってからもなにをするわけでもないし、たぶんなにか動画かなにか見たり、マンガ読んで、適当に風呂に入っ
2021年8月16日 20:12
「聴こえる?」という声を聴いたのは、夏休みに入った次の日だった。「聴こえますか? わたしの声が」 ぼくはあたりを見渡した。コンビニエンスストアでアイスバーを買って、かじろうとした瞬間だった。真夏の真っ昼間、よく晴れた日で、人影はまばらだった。誰もが日差しをさけて涼しいところにいるのだろう。ぼくがキョロキョロと周りを見ていると、訝しげにそれを見る人はいたけれど、ぼくに声をかけているらしき人は見当た
2021年8月14日 18:35
彼女が帰ってくる。夏休み。「お盆休みのあいだだけね」と、彼女からのテキストメッセージ。「バイトあるしさ」 彼女が帰ってくる。半年ぶりに、彼女に会える。胸が高鳴る。率直に言って、嬉しい。 きっと、アイツも喜ぶだろう。きっと。 前は毎日のように一緒にいて、それが当たり前だった。彼女と、アイツと、ぼく、その三人はいつだって一緒にいた。三年間同じクラスだったし、三人とも途中で部活を投げ出したもの