愛執【140字小説】

会話のなくなった部屋に時計の音だけが響く。広くなったな、なんて感じないワンルーム、隅に追いやられた君の痕跡。
「荷物捨てていいから。さよなら。」
連絡先も、写真も、思い出も、残しておいたって仕方ないのに。それに縋る僕を君はまた嫌うんだろうね。今を閉じ込めるように、秒針を止めた。

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