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ビジネス文書とエンターテイメント文章の根本的な違い

同じ「文章」でも、目的によって意識すべきことが当然違います。

ビジネス文書は、「短い時間で」「認識齟齬なく」「相手を動かす」ためにつくるものです。
なので、A4ペライチ的な、簡易的なものが好まれます。
なるべく不要な表現は削ります。
曖昧な表現も、数字にできる限り変えて、誤解が生まれないようにします。
相手を動かすために、わざわざ丁寧に「次アクション」なんて項目を最後に入れます。

ビジネス文書は、短い文章にするために考え抜きます。
いかに相手が「読みたい」と思うか、いかに短時間で理解までもっていけるか。

一方で、小説などのエンターテイメント文章は、「楽しむ」ためにつくられるものです。
文庫本であれば、たった数百円を支払うだけで、数時間、その小説の世界に浸れることができます。
そこでは、「短い時間」にする必要がありません。
むしろ大きな時間を楽しめるための工夫がつまっています。
2,000円払った映画が3分で終わったらどう思うでしょうか?

また、エンターテイメント文章では、「ひとつの認識」にそろえなくてもいいのです。
むしろ、複数の解釈ができると、読んだ人のあいだで感想戦が広がります。
「最後のシーンのセリフは実はこんな意図があったのではないか」
「この役の性格は、気が弱そうに見えていたけど、実は違ったのではないか」
など、さまざまな見方で、そのコンテンツを通して語り合うことができます。

これが同じことがビジネス文書で起きてしまうと悲劇です。
「背景部分の文章の意図が人によって解釈がバラバラ」
「選択肢は、実はこういうことを言っていたのか」
など、さまざまな見方が生まれてしまうと、対応に追われます。

そして、「相手を動かす」部分では、エンターテイメント文章は一般的に強いです。
読み終わった後、胸がぐわーっと熱くなったり、思わず泣いてしまったりして、ただの文字の羅列なのに、心がかき動かされます。

ビジネス文書も、「相手を動かす」目的があります。
それに気づいて、最近は「ナラティブ」的に、「ストーリー」を取り入れたビジネス文書も出てきているように見受けます。
つまり、結局人の心を動かして、行動を変えてもらうには「感動」は必要な要素なのです。

ビジネス文書は、その性質上、簡素で質素なものになりがちだし、なるべきですが、ここぞというときにはエンターテイメント文章になる必要があるのだと思います。

だんだんと、ビジネス文書も、上質なエンターテイメント文章になっていくと、世の中が豊かになったりするのでしょうか。無機質なものに囲まれると、人の心はどんどんと死んでいくように思えます。

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