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【授業レポート】戦争はなぜ起きて、失くすにはどうしたらいいのか 〜ウクライナの今〜

みなさんこんにちは、はじめまして。
EMC一期生で2年の近藤左貴と申します。

今回は私が、6月23日に行われた「授業と哲学」の授業でご登壇いただいた、在ウクライナ日本国大使館に勤務されていたご経験を持つ勝村良子さんの講義をご紹介します。最初に「事業と哲学」という授業を簡単にご紹介しますね。

自分の答えを見つける「事業と哲学」
この授業では、学部長の伊藤羊一さんと、デザイナーの芝哲也さんが講師を務めています。「幸せとは何か」「仕事とは何か」「お金を稼ぐとはどういうことか」「社会とは何か」……といった様々なトピックを掘り下げ、内省と議論を重ねながら、自分なりの答えを模索します。

Day1の前日に送られた羊一さんから学生に向けたメッセージ

今回の授業では、「戦争はなぜ起きるのか」「戦争を失くすにはどうしたらいいのか」というトピックで、在ウクライナ日本国大使館文化担当、勝村良子さんにご登壇いただきました。

勝村良子さん
株式会社日本旅行を経て、2005年から2008年までウクライナの日本国大使館で広報・文化担当として日本文化のイベントを多数開催、ウクライナの人々と交流を図ってきた。
自身のFacebookに投稿した、ウクライナの今についての記事が注目を浴び、朝日新聞が記事を掲載。

お会いしてお話を聞いてみて、決断力があり行動力抜群でいらっしゃるのはもちろん、謙虚な姿勢も併せ持つ勝村さんは、EMC生ならば憧れてしまう人物だな、と感じました。

勝村良子さん

勝村さんの語る、大使館勤務時のエピソード
勝村さんが勤めていらっしゃった在ウクライナ日本国大使館でのエピソードをいくつか紹介していただきました。

・ウクライナの人は日本の文化が大好き。
・大使館が開催する日本文化のイベント数は世界でもトップクラス。
・離れているのに、日本語を学ぶ人がとても多い。

私は特に、勝村さんがお誘いを受けたという、新年のお茶会のエピソードが印象的でした。
ウクライナの人が、日本式の茶道のお茶会を執り行う際、小豆がないので似た味の豆を探すところから始めて和菓子を手作りし、お茶会に出されたそうです。
勝村さんは「もったいなくて、少しずつ、ちびちびと食べた」と語っていました。ウクライナの人々の本物を学ぶ志向と、文化を重んじる姿勢を感じます。
私も茶道経験のある日本人として、本気度が伝わってくる、とてもうれしいエピソードです。半面、ウクライナと聞いてボルシチや美女の国、という単語しか出てこない私ですが、これからウクライナの文化を知っていきたいと思いました。

ウクライナ・クイズ
ウクライナのことを知るために、クイズを出題していただきました。

・キエフからモスクワまでの距離は?
・ウクライナからの避難民の数はどれくらい?
・ゼレンスキー大統領の公式Facebookのフォロワー数は?
・ウクライナの国旗の黄色は何を意味してる?

実際は3択クイズですが、みなさんはなんとなくお分かりになるでしょうか?
私はヒントをもらいつつ、ほとんどあてずっぽうと勘ですが、景品に惹かれて全問正解しました。景品には『物語 ウクライナの歴史(中公新書)』という本をいただきました。
以前にウクライナの大使館で大使を務めていらした、黒川裕次氏の著作で、大使館に派遣される職員の必読書だそうです。
読み始めてみると、世界史好きにはたまらない、古代からの民族や文化などの歴史が詳細に記されています。
高校の社会科で世界史を選択していてよかったと、心から思いました。

ウクライナでは、今
勝村さんが日本に帰国後、ロシアがウクライナに侵攻してきた際の、キーウ(キエフ)にいる大使館のご友人とのやり取りや、心配する気持ちを私たちに語ってくださいました。

・銃口は友人にも突きつけられるかもしれない
・決して対岸の火事では済まされない

このお話の中で、「傍観しているのは、納得していることと同じである」という言葉が印象的でした。
言われてみて、ドキっとしました。
もちろん戦争には反対だけれども、遠くで起きていることで、どこか他人事のように感じてしまっている自分にハッとしました。
恥ずかしながら、日本の北朝鮮からのミサイル攻撃でさえも、自分事とは感じていませんでした。
目をそらし、ただ悲惨だと思っているだけでは、むしろ同意しているとみなされても仕方がないのだと気づかされました。
まずは自分にできるアクションを取っていくことが戦争反対の意思表明です。

真剣に講義を聞くEMC生

私たちにできるアクション
最後に、今すぐ始められるウクライナへの支援などアクションを教えていただきました。

・ウクライナについて知る
・ウクライナ料理のお店に行ってみる
・ウクライナへの支援や募金をする

私にできるアクションとして、ウクライナを知るため、いただいた本を読み進めています。飲食店に置いてある募金箱に、普段はしない募金をしました。週末には友人とウクライナ料理のお店に行きました!

ウクライナ料理

ウクライナの人たちが一刻も早く、安全と安心を取り戻し、家族や友人と一緒に帰れることを願って。行動こそEMC生の本懐。
小さなことからでも、変えるためには始めなければ。

近藤左貴/EMC一期生、2年生
最近面白かった授業は、池本修悟さんのコミュニティーオーガナイジングと、梅田悟司さんのコピーライティング。デザインの領域で起業したいと思い、毎日EMCでいろいろな刺激を受けながら、自分のワクワクを模索中。


■勝村良子さんからのコメント

「平和を希求する」
講義後に提出されたレポートには、平和を強く望む言葉が溢れていた。

  • (当たり前の日常を過ごせる日本がどれだけ恵まれているか)自分が置かれている環境を再認識することが平和への第一歩だ(佐藤菜緒子さん)

  • 戦地にいる人たちが声を挙げられない代わりに、戦争が起こっていない国の自分たちが自分事のように感じ声を挙げることが大切だ(山田悠新さん)

  • 攻める側の事情がどれだけあろうと、それが人の命を奪っていい理由には断固としてなり得ない(古川真愛さん)

その実現のためには相手を尊重し、武力を用いるのではなく対話を続けることが重要であると多くの方が書いていた。
 
そして、何よりも大切なのが行動である。講義で紹介した、ウクライナから避難されてきた方々が土日の昼限定でオープンするウクライナ料理レストラン。武蔵野大学のキャンパスに近いこともあり紹介させて頂いたのだが、まさか、もう行かれた方がいるとは。「行動こそEMC生の本懐」。有言実行の近藤さんの言葉が心強い。
 
武力ではなく、対話を。そして、行動を。偶然にも7月4日に、東洋大学において同じような内容の講演をした方がいる。

「武器とは、戦闘のためのものだけをいうのではない。私の武器は言葉、コミュニケーション、そしてメッセージだ。これで社会に影響を与えていく。みなさんも私と同様に、人を殺めることのない武器のみを使って欲しい」

ウクライナ第6代大統領 ウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキー

さあ、みなさんの次の一手は。
武蔵野大学EMC生の今後の活躍を、地球の裏側で楽しみにしている。

2022年7月6日(水)
外務省 在ブラジル日本国大使館
一等書記官 勝村良子



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