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【旅日記】下関で平家滅亡ゆかりの地めぐり



旅のはじまり


よく晴れた5月の朝!
今回の旅の最終目的地は別府なのだが、なぜかわたしは鈍行で数時間かけて下関駅に到着していた。

山陽本線はいつもかわいい


鈍行電車の旅って、ゆっくり景色を見れて楽しいんだけど、トイレ行きたくなるかもという不安がギリ勝るためなるべくならやりたくない。

ちなみに山陽本線のいちばん後ろの車両にはトイレがついている。だけど「在来線のトイレに入る」って、自分の中ではあくまでも最終手段な気がする。

歓迎されるとうれしい

「バス」って書いてあるほうに向かう。下関は山口県で最も栄えている街と言われているため、自然と背筋が伸びる感じがする。

1から4番乗り場のどのバスでもいいみたい
さっそくバスの車窓から、野生のフグの群れが見れた


唐戸市場


「唐戸」というバス停で降りて少し歩く。ここから始まる旅程への期待に足取りも軽い。今だけは仕事のこと考えなくていいんだ!

そしてかの有名な唐戸市場の近くに現れた海は、まぶしいくらいに青くて思わず歓声をあげそうになった。

この海を見ながらシャーベット食べた

海沿いにはたくさんのソフトクリーム屋やシャーベット屋が並んでいる。平日の朝なので人の姿もそれほど多くない。韓国語や中国語がたくさん聞こえるので、アジアからの観光客に人気なのだなと思った。

「聖フランシスコ・ザビエル下関上陸の地」碑があったので写真に収める。

願わくは、(中略)聖フランシスコ・ザビエルの不撓不屈にして偉大なる精神と行動力にあやからんことを。

あやかりてぇ〜!
背景が良い天気なので素晴らしい碑に見える

そうこうしているうちに、見えてきた、唐戸市場!中ではフグとか寿司とか海鮮とかを買えたり、海鮮丼レストランがあったりする。超有名観光地である。

入る時は車に注意!
でっかいフグがお出迎え

久々に市場の空気を浴びれて、歩くだけで満足。今回はお昼を食べる場所は決めてあるため、ここではお散歩だけ。また来たら海鮮丼食べたいなぁ。


亀山八幡宮

滞在時間5分で唐戸市場を出て、横断歩道を渡り道路の向かい側へ。亀山八幡宮の鳥居をくぐる。

この階段を登るよ〜!

階段を登りきって振り返ると、鳥居の向こうに真っ青な海と、山と、空と。ああ、なんて清々しい日!

清々しいが、日差しがめちゃくちゃ暑かった。早朝に家を出たため地味に厚着をしている。すでにバテそうだ。

鳥居と海っていう風景が好き

亀山八幡宮に来た理由は、通り道っていうのもあるけど、いちばんは「八幡様」だから。かつて武家に信仰された神様で、「八幡大菩薩」と呼ばれ神仏習合のかたちをしていた。何かにつけお参りしたいなと思っている神様である。

ここにもフグが空を泳いでいる
亀もいる。かわいい…

参拝を終え、海に沿った道を歩き出す。平家ゆかりの地めぐりはここから!暑すぎて、そして2泊分の荷物を背負っているためけっこうきついが、頑張って歩こう。

こんなものを発見。下関の郵便ポスト、可愛すぎないか!?フグばかり載せてますね、すみません……。でも冗談抜きでこの街はフグ激推しなのである。街中フグだらけである。

全部のポストこれなのかな


赤間神宮


そして目当ての場所が現れた。まるで竜宮城のような鮮やかな朱と白の門が、青空によく映えている。数年ぶりにやって来た、安徳天皇を祀る赤間神宮である。

水天門。圧倒的な存在感。

安徳天皇は、源平合戦の最終決戦「壇ノ浦の戦い」で、平家一門の終わりと一緒に、壇ノ浦の海の中に入水して命を落とした幼い天皇だ。

後白河法皇の孫であり、平清盛の孫でもある、強い個性の血を引いたこの幼帝は、もし生き延びていたらどんな大人になったんだろうなぁと考えてしまう。

振り返ると、水天門の向こうに青い海が見える。
入水の前、「波の下にも都がございますよ」と慰められたという有名なエピソードを思い出す。

波の下の都は、ずっとこんなふうに青いんだろうな

神社に参拝する時、いろいろご利益を期待してお願いごとをしちゃうものだけれど、赤間神宮のように実在の人物の鎮魂のための神社だと、「どうか安らかに……」みたいな気持ちが自然と湧いてくる。


耳なし芳一堂・平家一門の墓

続いて境内の少し脇に入った場所に建っている、耳なし芳一の像がある芳一堂へ。写真でその凄みが伝われば良いのだが。この前に立つと、ぐっと音が減る。さっきまでの観光客の喧騒が嘘のようだ。

ほんとうに、耳が無い。

芳一堂の奥には、さらに静かな空間の中に、平家一門の墓がある。優しい木漏れ日が注ぐ。古びた墓石に刻まれた文字はよく読めない。

お墓の周りはいつもたくさんの木々がある。木の葉が風で揺れるさらさらという音は、やたらと歴史上の人物の墓参りをするわたしにとって、すっかり死者に思いをはせる音になっている。

みんな一緒ならさみしくないかな


安徳天皇阿弥陀寺陵

静けさが名残惜しくてずっとここに居たかったが、史跡めぐりは時間との勝負だ。続いて赤間神宮境内にある、安徳天皇阿弥陀寺陵へ。

宮内庁治定陵墓に必ずある看板

多くの他の陵墓と同じように、入口は閉ざされていて中は見えない。敷地内は落ち葉ひとつなく綺麗に整備されている。丁寧に整えられた空間は心地よく、お墓というよりは公園にいるみたいだ。そう考えると神宮自体のほうが安徳天皇のお墓のような感じがした。

他に人の姿は無い


海沿いの道を歩く

ここからはひたすら関門橋のほうへと海沿いの道を歩く。日差しを遮るものがないのでとにかく暑い。寒いのが苦手で暑い夏が好きなわたしは、バテそうになりながらも嬉しかった。やっと薄着で動ける季節がやってきたんだ!

神社を見つけたらとりあえず行ってみる

歩いていると、ぽつぽつと海沿いに小さな神社がある。上の写真の神社は、「蛭子神社」と書かれていてドキリとする。日本神話において、海に捨てられた異色の神。

毎日この海を見たい

1000年前に戦乱でたくさんの人が身を投げた海だなんて信じられないほど、今は穏やかさそのものみたいな海。美しすぎて、だんだん疲れを感じずに瞑想みたいな感覚で歩いていた。

だんだん関門橋のふもとに近づく
関門橋を真下から見てる!


壇之浦古戦場跡

どれくらい歩いただろうか、関門橋も通り抜けて、何やら公園のような緑地に和風の橋があるのが見えてくる。
平家滅亡の地めぐりとしては終着点に到着した。壇之浦古戦場である。

碑が建っている

実は下関には数年前に来たことがあったものの、この壇之浦古戦場跡を訪問するのは今回で初めて。アニメや大河ドラマで源平合戦を知ってから、どうしても来たかったのだ。

「安徳帝御入水之処」の碑

今ぞ知る みもすそ川の御ながれ 波の下にも都ありとは

安徳天皇を抱いて入水した二位尼の辞世の句が書いてある。今回何度目かわからない胸がぎゅっとなる感じがする。こんな良いお天気の日に来てよかったなぁ。

平知盛

そして、壇之浦古戦場跡といえば有名な像がある。まずは平知盛の像。武骨な感じがする。大きないかりを担いでいる。(調べたら、入水した時に遺体が浮かび上がらないように、ということだった…)

源義経

こちらは源義経の像。「八艘飛び」を表す軽快な雰囲気がかっこいい!知盛といい感じに対になっている。どことなく顔もイケメンなので惚れ惚れと眺めた。

関門橋と海と共に

どちらの像もかなりかっこよく、また2つ合わせて背後の風景と共に写真に撮るとかなり感動した。本当にここが壇ノ浦なんだ……!来て良かった。近くで壇ノ浦の戦いの物語を紙芝居で伝えている人がいた。大切な観光資源になっていることがわかる。

この時点で、時刻は12時前くらい。わたしは平知盛と源義経に背を向け、道路の向かい側へと渡る。向かうは、ここだ。

関門トンネル人道入口!

さあ、今回の旅の第2の目的を果たす時だ。
関門海峡を歩いて渡る。期待で胸が高鳴る。
13時には福岡県側の門司港で家族と合流しなければならない。間に合うのか!?無事に渡れるのか!?

次回に続きます。

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