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2023年2月の記事一覧
世界と繋がる芸術論 16+17
世界と繋がる芸術論 16
第15回の原稿を入稿したあと、届いていた坂口恭平の『cook』という、料理本なのかエッセイかのか写真集なのか…を平安堂で受け取ってパラパラめくってみると、友達にあげるように買ったのに開けてみてしまうのもどうかと思うけど、初日の料理の最後にアンリ・ベルクソンの引用が書いてあって、そこには
生物の役割は創造することであります。他のすべてのものが決定されている世界
世界と繋がる芸術論 14+15
世界と繋がる芸術論 14
僕は実家の庭に三畳の広さの焙煎小屋を建てて、そこでコーヒーを焙煎している。手廻しの焙煎器が置かれた目の前の壁には家が取り壊しになる寸前に貰ってきた窓がはめてあり、焙煎しているあいだ、そこから季節によっては勢いよく伸びる草や色とりどりの花や、そこに集まる蝶や蜂や蜘蛛、それを食べに降りてくる雀や燕や鶺鴒、通り抜けていく猫が目に入る。何もないときでも、いつでも土は見え
世界と繋がる芸術論12+13
世界と繋がる芸術論 12
人は必ず死なない。
考えるときは、今こうして書いている文章のように順序良く考えてなんかおらず、雲のように漠然とした塊や間接照明みたいに輪郭が曖昧なものとしてあったり、あるいははっきりした形だけども途中をすっとばして結論だけがごろんと投げ出されたりする。考えるという行為を支えているのは論理よりも飛躍や連想のほうで、論理が働くのは言語という形を与える段になってからではな
世界と繋がる芸術論 9+10
世界と繋がる芸術論 9
前回の最後の段落で、
「僕は植物のような知性を持ちたい、そのためには、想像力が大きな助けになるはずだという確信はあるんだ。」
と書いたときは気恥ずかしいことでもバシッと言いきる格好良さみたいなのに満足もあったのだけど、日を追うごとにただ勢いで書いたという印象が強くなっていって、そこがわだかまりのようになってしまい、一ヶ月何も進まないまま過ぎてしまった。
他者や世界と