「『好き』で仕事を作る ナリワイ起業 地域が変わるスモールビジネス」
井東敬子 「『好き』で仕事を作る ナリワイ起業 地域が変わるスモールビジネス」 (彩流社)
地方に暮らし、仕事を考え、実際小さな本屋という仕事にたどり着いた・・・なんていう経緯のある自分。
この手のテーマの本はどうしても気になってしまいます。
あ、もう本屋という選択はしたのだからあとは本屋の勉強だけしてればいいんじゃないの?なんて感じるかもしれませんがそれは自分にとっては違うかな、と。
地域があって、自分の本屋があって。
・・・だけだとその両者には大分大きな差というか壁というか・・・があるんですね。その差を少しは縮めたい、壁は低くしたいというのは常にあるんです。そのためにこの手の本は役に立つことが書いてある場合が多い。
自分でできる小さな仕事、スモールビジネス・・・というとやはりこの2冊。タイトルがタイトル、もちろんこの2冊、本書にも登場します。
どちらも会社勤めなど既存の仕事一つに依存するのではなく、自分の好きなこと・できることを小さくつないで仕事にしていけばいいじゃん(大意)って本。
こちら現在も就いている平日昼間の仕事に完全に満足というわけにはいかなかった自分にとってはそりゃあもう刺激・助けになりました。もとから昼間の仕事は副業を禁じる縛りがない形をなんとなく選んでいたので(実際ちょこちょこいろんなことしてましたし。)それも問題にはならなかったのもよかった。
この辺りの経緯はこのマガジンの最初の方を読んでいただくと分かりやすいです。
誤解の無いよう敢えて書いておきたいのは何もこの平日昼間の仕事、大きな問題があるわけではないんです。むしろ長野に移ってからの仕事を支えるに大きな役に立っていると感謝すらしています。早く帰れるという時間帯もいい、買い物等考えても場所もいい。条件だって悪くない。
でも物足りない。
例えば人間関係ひとつとってもどうしたって一つの会社という枠に頼り過ぎてしまうと広がりがないと感じてしまう。東京である程度大人数、しかも人の動きは結構早い・・・という環境に居た自分は特にそう感じるのかも。
この仕事をしていると周辺の人達と仲良くなれる・・・ということもありません。あくまで会社の中で完結。自分が住む村とは大分離れているので(クルマで30分ほど)地域貢献など残念ながら関係なし。
ここに小さな仕事が一つか二つ加わるとどうなるか?
圧倒的に”ヨコのつながり”が増えるんです。
職場のメンバーだけだとどうしても好みにも幅に限界がある。大概はそこであわせる感じで日々を愉しんでいくのでしょうか?自分はそのイメージができなかったのです。自分の世界は、自分の世界。
それが自分の小さな仕事があれば、そこかしこに可能性が産まれる。すぐ近所に本に興味がある人がいるかもしれない。(実際居ます。)
収入的な問題。
月3万円ビジネス、というのは月30万円稼ぎたいなら3万円の仕事を10個しよう、という考え方。
本屋の場合それより多かったり少なかったり大分幅があるのですが要するに”ひとつに依存しない”ことで自由になれる。幅ができる。それが大事。
(かといって今の仕事は辞めずに続けた方が良い、とするのもこの手の本の共通の認識のようですね。)
そう考えるといろんなケーススタディ含め知り続ける、考え続けることでもっと先があるのでは?となっていく。だから継続して同じようなテーマの本を読むのです。
代表的2冊に比べてこの本は著者さんが女性の方だからでしょうか?全体的に大分細かく具体的です。自分みたいにわかりやすく、極端な人間はいいのでしょうが「何かしたいんだけど何をしていいかわからない」段階から細かく分析・ワークシート式なども含めてできることの決定まで導くやり方を提示してくれます。
これは、軸の部分。
故にすでに本屋である自分にとっては”おさらい”要素が強いのですがこの本の素晴らしさはさらに細かいところ。
例えば”ままごとよばわり”についての記述。
”会社一筋””本業一本”みたいな方からするとどうしてもこのナリワイ型は”お遊び”に見えるらしいんですよ。それに対する現状等もちゃんと記述がある。
ちなみに私見ですが今ではもう”一筋型”の方が危険ですよね。仕事の全体数の少ない田舎ならなおさら。こんな微妙な空気感はやってみて初めてわかる・・・ものなのですが、すこでショック受けても少し遅い。故に非常に助かります。
もうひとつこの本は細やかであるという一例。
著者の井東さん、結婚されていて井東は旧姓に当たるそうです。
しかし暮らし上は今の姓で、仕事の時は旧姓で活動されていると。
これ、なんとなくわかりますねぇ。特に田舎では。「○○の奥さん」がやっているか「××さん」がやっているか。これで大きく周囲への影響が変わってきたり。
こんなのバカみたいだと思うかもしれませんがやはりこういう感覚って息づいているんです。日本の特に地方って。
いい悪いでなく、実際そう。
そんな実例を前もって知っているかどうかだけで気構えが違ってきますよね。
あ、でもこの姓の例。
ウチの村ほど小さいとダメですね。
あの人はこの人。
速攻でバレバレですんで・・・。
そんなこんな読み比べている間に思いついてはいたもののカタチになっていなかったいくつか・・・がアタマの中に舞い戻ってきました。例えばひとつは・・・自分は、子供達に釣りをもっと教えたい・広めたいんじゃなかったか?これはもう立派に仕事になりますね。
あとは実行するのみ。
それが積もり積もった時、どの本でも指摘されていますがようやく自分の好きが本業になるのかもしれませんね。
その時はもう一度、この本・・・もちろん”先輩”2冊もともに・・・読み返してみましょう。
最後に。
サブタイトルにある”地域が変わる”。
これ微妙なところですね。もちろん実際活性化しているエリア・自治体もあるのは確かですが面白いことをしている人が何人かいるくらいじゃまだまだ・・・な思いもあります。
ただ、居ると居ないとでは全く違うしそういう人が何人かいると全体的に元気に見えてさらに人が集まって・・・という辺りまでは全然あります。
もう一歩、というところまで来ているかな・・・という感じでしょうか。
もう少し胸張って地域、変わるよ・・・ってところまで自分も続けて行ければいいですね。
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