「ポルトガル、西の果てまで」
福間恵子 「ポルトガル、西の果てまで」 (共和国)
ポルトガルを歩く旅をはじめてすぐに、この騒ぎ。
元々欧州のメジャー国(?)と違い情報・・・ましてや旅行記となるととても少ない。
関連書籍を見つけてはすぐに飛びつく日々なのだが、この本は見つけたときから少し違った感じがした。
まず、版元が「共和国」・・・あまりいい旅行記が見つかる感じのイメージではない。
著者である福間恵子さんのご主人は映画監督である福間健二氏。その辺りの関連なのか。
もうひとつ。
とても偏見めいた印象となってしまうが、書き手が自分より年上の女性ということで旅の躍動感というか・・・ひょっとしてとてもつまらない旅だったらどうしよう?という先入観がなんとなくではあるが確かにあったことは否定できない。
しかし。
その偏見は最初の章で見事に吹き飛ぶ。
いい旅に外せない要素の一つは、出会いだ。
絶対に、ではないがやはりいい出逢いがあった旅というのは印象に残り続ける。
当初は冒頭・・・一番最初の項に”それ”を持ってくる。
やられた。
この人はいい旅人だ、と文句なしに思わせてしまう。
この先は島旅、地方の祭り、町の食堂、後半は映画や本との絡み・・・芸術、映画には疎い自分でもアントニオ・タブッキ辺りを引用してくれるととても分かり易い。ありがたい。
カミーノを歩く自分たち家族にとってはなぜスペインからポルトガルなのか?といったあたりも大変興味深かった。うん。似て違う国。
ガイドブックでは分かり辛い地方へのバス移動の描写もいい感じだ。バスでの移動が一気に身近になる。”こんな感じ”がよく伝わる。
宿泊の交渉なんかも実際ポルトガルで経験したことに近い例も登場し(偶然カフェで宿のご主人に遭遇し、そのままとてもいい条件で泊めてもらったことがある。要するに結構アバウトなのだ。定価・予約・・・と言った単語にあまり縛られない。)旅のリアルさを増す。
自身ご主人の映画のプロデューサーとして作品に参加されてもいる・・・せいか映像・視覚的な表現が素晴らしい。ポルトガルのなんとなく”ぬるい”空気感がとても伝わってくる。
その空気感ありき、でのポルトガルの美味い食い物がもちろんいい・・・という感じにつながっていく。旅と美味いメシは切っても切れないですね。自分の場合。
リスボンのニコの店、見つけたいな。美味いんだろうな。
あ。
美味いといえば、トップ写真の格安リスボンワインの白ももちろん美味かったのですが、真ん中に写っている馬田草織さんの著作もとても面白いですよ。
cakesの連載レシピ集も美味そうです。ポルトガルワインにほうれん草と豚の常夜鍋をあわせてしまう感じが最高。
旅に出たいですね。
自分の感じでは”あと少し”でしょうか。
その日までくさらず、あきらめず。
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