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coldmountainstudy 3月の本箱。

最近、興味の幅の広がり・・・とはいえ本を入れすぎ。

いや入れすぎはないのですが、あまりに吟味する姿勢に欠けていたかな・・・と。

実物を見る確認作業の重要性を改めて感じつつ、今月の9冊です。

人生の吟味を!
幸福、死、性、親子、政治、知恵……。
われわれの存在全体へ向けられた一級の哲学的省察。

吟味された人生を生きることは自らの肖像画をつくること。幸福、死、性、知恵など、多様な問題をめぐって行われた一級の哲学的省察。解説 吉良貴之

「吟味された人生を生きることは自画像をつくることである」(「序」)。幸福、死、性、親子、政治、知恵……。豊かな想像力と幅広い関心、卓越した弁証法的能力を携えて、ノージックは、人生をめぐる諸問題のなかへ思考の錘を下ろす。人間にとって生きるに値する人生とはどのようなものか。この問いに対し、まさしくソクラテス的探究が展開される。その実践性は、われわれが自分自身やこの世界について内省し、新たな問題の発見を促すほどに力強い。真実を深めることの悦びを伝える一級の省察。

まさに書店で実物をパラパラできたから選べた一冊です。

”ソクラテス的”ではワケがわかりませんがその考え方が自分にとって興味深いことはわかりました。読むのが愉しみ・・・機を熟させて読みたい一冊。

積ん読、音読、拾い読み、索引読み、解説読み。
歩いて読んだり、寝転んで読んだり、バスで読んだり……
本はどう読んでもいい!( 読まなくてもいい)
名翻訳家/エッセイストによる自由で刺激的な読書エッセイ、待望の文庫化。

積みあげたり、適当に開いたり、声に出して読んだり、ただ手にとって眺めたり……本の読み方に決まりはない、自由にやろう! 本が好きな人は、みんな、いろんなふうに読んでいる。読まずに読む方法を知る人だっている。こころが軽くなり、読書が楽しくなって、もっと本を読みたくなる名著『眺めたり触ったり』が題名をすこし変えて、待望の文庫化。楽しい絵も満載! 「文庫版への追記」もあり。

最近多く目にする”必ずしも本は最初から最後まで精読する必要はない”な感じのメッセージを含む一冊。個人的にこの手のテーマからは発見が多いです。

深夜の台所に移動して冷蔵庫から卵を取り出し、フライパンを弱火にかけてからワインをひと口……

ほろ酔いが生む意外なひと皿の愉しみとは?
千倉の海で仕入れた旬のサザエで作るカレー。
生のピーマンを輪切りにして砂糖をひと振り。
冬のスタートには柿の白和え。

日々の暮らし、大切な人との交流から生まれる新鮮レシピや
誰もが持つ懐かしい味の思い出、そして私たちの生活と食をジワジワと変えてゆく戦争の影をも見つめながら、心と身体に効く「おいしい」を深く追う、64編。

藤原辰史(京都大学准教授)氏との対話「戦争から『食』を考える」も収録。

たまには読みたい平松さんのエッセイ。最近自分にとって重めのテーマを並行して読むという失敗があり、反動も。こういう食・呑エッセイとか挟まないと。

いつの間に、日本はこんなに生きづらい、貧しい国になってしまったのか?
なぜ、こんなにデタラメな政治がまかり通る世の中になってしまったのか?
その答え、実は「コモン」ですべて説明できるのです。

AIによる大量失業、富の一極集中、アンチ・グローバリズム、人口減少による高齢化と過疎化……
いよいよ限界を迎え、音を立てて軋んでいる資本主義。
その背景には、昔はどこにでもあったコモン(共有地)の喪失がある。
今こそ分断を超え、新しい共同幻想を立ちあげるときだ。
絶望の果てに光を見出す希望の書。

巻末に文庫版特別付録として、東京大学大学院准教授・斎藤幸平との対談「心地よい、新しいコモンについて語ろう」全17頁を収録!

21世紀の新たな「囲い込み」を警戒せよ!
そこには、ディストピアしかない──。
・西部劇「シェーン」は「コモンの消失」という悲劇を描いていた
・「貧困は自己責任」と切り捨てる心理
・「青年」も「旦那」も消え、子どもおじさん・おじいさんが出現
・「一罰百戒」で委縮するテレビ局や大手メディア
・ディープ・フェイクの時代を生き抜くために

平松さんとは違った場面で、”たまには読みたい・読まなきゃ”と感じるのが内田樹さんです。既知の一冊ですが文庫を保存用に。

北アルプス雲上の高嶺から海抜ゼロの日本海の大海原へ――。
50年前に拓かれた岳人憧れの縦走路「栂海新道」に託した、夢と青春のものがたり。

「未開の山稜に、自分たちの手で岩盤を削り、木を伐り、藪を刈って登山道を開設しよう。山小屋も建てよう。そして海水パンツをザックの片隅に忍ばせて、高嶺のお花畑から日本海まで縦走してドボンと海に飛び込むのだ」

標高2418m、北アルプスは後立山連峰の北端・朝日岳から、海抜0m、新潟県糸魚川市の親不知海岸を結ぶ登山道「栂海新道」。

今から50年あまり前、雲上のアルプスと日本海の大海原をつなぐ全長約27kmもの夢の縦走路を手弁当で切り拓いたのは、一介のサラリーマンとその仲間たちだった――。

栂海新道開拓のようすをつづった、さわがに山岳会・小野健さんの名著『栂海新道を拓く 夢の縦走路にかけた青春』をヤマケイ文庫で復刻。

文庫化にあたって、2014年に81歳で他界した小野さんの遺志を引き継ぎ、道の維持・管理を続ける人たちへの取材を通じ、現在の栂海新道のようすを伝える書き下ろしの新章を加えながら、小野さんが遺した開拓当時の貴重な写真をたっぷりの口絵とともに紹介。

開拓の偉業を後世に伝えるさわやかな感動をもらえる一冊。

友人のライターさんによる一冊。もちろん友人だから買ったわけではなく、吉田さんの書く自然に関わる人間像はとても面白い。

「昔から思索家はよく歩く。哲学者然り、詩人然り、小説家然り、作曲家然り……よく歩く者はよく考える。よく考える者は自由だ。自由は知性の権利だ」(プロローグより)

「心にゆとりがないと、ヒトは気宇壮大なことは考えられないし、未来を設計したりもできない。一個の脳で考えられることには限界があり、他人の脳味噌を借りる必要がある。本日も初めて訪れる街や見知らぬ他人からインスピレーションをもらうために徘徊に出かける。お供がいなくても、本書があなたの手を引く」(本文より)

直立二足歩行の開始以来、人類は歩き、地球に広がった。ルソー、カント、荷風らもまた歩き、得られた洞察から作品を生んだ。忙しさにかまける現代人に必要なのは、ほっつき歩きながら考える「散歩哲学」だ。散歩を愛する作家・島田雅彦が新橋の角打ちから屋久島の超自然、ヴェネチアの魚市場まで歩き綴った画期的エッセイ!

個人的に好きな”歩きネタ”、新レーベル・ハヤカワ新書からの・・・というのも興味の対象。「空想居酒屋」の島田さんが歩きながら何を語るか?

「アートなんてやっていていいのか」
3.11以来、自分の活動に行き詰まりを感じていた現代美術家が、ひょんなことからマタギの村へ。
濃密な自然と濃厚な人間関係にほだされ、いつのまにかマタギ頭に嫁いでいたその日々をしなやかな文章で綴り、多くの人に勇気を与える傑作移住日記の誕生!
著者はアーティストとして、全国各地や海外で現代アートの活動をしてきた。
しかし、3.11の震災後に自身の活動への違和感を無視できなくなってきた頃、友人のジャーナリストに「マタギと飲もう」と誘われ新潟県村上市山熊田、マタギの集落に赴く。

そこでは電気がなくても生きていけるような、たくましい暮らしがあった。
自分たちが弱い存在であり、手を抜いたら命を落とすような世界にいることを自覚しているがゆえの強さ。
田舎暮らしという言葉が発する牧歌的なにおいはそこには皆無だ。

カタカナ皆無でよくわからない言葉、山から切り出した薪で煮炊きし、伝統的な狩猟をし、スケールでかく酒を飲む。
水も薬も美味いご馳走も燃料も、工芸素材や心奪われる絶景までも、全て山にある。
体力たくましい爺や婆がいる。しかもハイセンス。皆オシャレだし心も豊か。
東京にいては想像もつかないような世界がひろがっていた。

山熊田に移住して、マタギ頭の家に嫁いだ著者が本書で訴えたいのは「消費社会にはない選択肢がここにはある」ということ。
山熊田では四季というサイクルのなかで同じことが繰り返されている。
それこそ人間本来の生き方ではないか、と著者は問う。

令和の傑作移住日記の誕生です。

ヤマケイの広告から気になっていた一冊。自然の中の暮らしというだけで興味深いのに・マタギ・アート・移住・・・無条件で選びたい。

思いをうまく言葉にできないほうが、当然なのだ。本当なのだ。

どうしても理路整然とは話せない知人、酔うと後悔ばかり話し出す友人、洗面台で流されかけている小虫、授業中に夫の死を語りつづける先生……。弱いものたちのなかにこそ、陰影のある物語は生まれてくる。『絶望名人カフカの人生論』で知られる文学紹介者による、初のエッセイ集。

タイトルからホント、ソレ!です。
誰がどう・・・とまで言いませんがすぐ思いつく顔、顔、顔・・・。
「絶望図書」の頭木さんの考えを覗きます。

最後は元旦の地震も想起させる、これ。

高度成長の波にのって日本の都市空間が激変しつつあった一九六〇年代半ばより漁村に魅せられ、漁師や海女たちのダイナミックな暮らしぶりに共感を寄せた建築家・地井昭夫。

海の彼方から訪れる神を迎えるための場所を中心とした街づくり、「核家族」や「プライバシー」といった枠にとらわれない集住スタイル、浜辺の環境保全や防災ネットワークとしても機能する自律システム……。

丹念なフィールドワークにより経済至上主義とは一線を画すしなやかな生き方・住まい方の可能性を明らかにする。

同じ思いの方は多かったようで出版社には突如注文が殺到、ウェブ書店では在庫切れが相次ぎ・・・だったようです。
集落限らず古来の知恵って、バカにならないどころかそれこそ学ぶべきところ多くて。
多くを学ぶことになりそうです。

4月も可能な限り吟味を重ねて・・・と行きたいのですが既に無視できない情報が数多く。
季節のせいか川にまつわるものが多いですね。

せめて無駄撃ち、とは言われぬようみなさまのお役に立てる数冊を紹介できれば。

いや。

本音は自分のため、ですよね。

精進します。

※リンクがamazonなのはamazonで買って欲しいということでは決してなく、単に見やすい・調べやすい・・・ということです。誤解なきよう。


http://www.coldmountainstudy.com/
coldmountainstudy@gmail.com 

coldmountainstudy  店主:鳥越将路


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