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coldmountainstudy~ピックアップ2023.1.

今年1回目のピックアップです。タイトル少し短くしました。

ダメですね、正月気分・お年玉気分で今月は少し買い過ぎてしまった。大きく分けて佐久の蔦屋書店や富士見のmountain bookcase、今井書店や上田の平安堂・・・出かける度にちょっとずつ増えて行って。猛省。

では早速。

近年、そのノスタルジックな魅力で人気を集めている
ヨーロッパ西端の国・ポルトガル。

大航海時代の中心地としても重要な役割を果たしたポルトガルには、
ロマネスク、イスラム、ゴシック、ルネサンスなど、
様々な建築の要素からなる独特の建築が存在します。

またポルトガルは南北に長い国土を持ち、国のなかでも気候が違うので、
大きな公共建築から民家に至るまで、土地ごとに建物のつくりや材料も異なります。

本書は、そんな独特の魅力を持つ「ポルトガルの建物」にフォーカスした1冊。

シントラの王宮、ペナ宮殿といった定番のスポットはもちろん、
ポルトガルの魅力に魅せられた著者が何度も足を運ぶなかで発見した隠れスポットや、
一度の旅行ではなかなかまわりきれない地方の村や島々までカバー。
旅をしてこそ分かるポルトガルの魅力を、たっぷりつめこみました。

ポルトガルを訪れたことがある人も、ない人も、きっと新しい発見があるでしょう。
名建築と美しい風景をめぐる旅へ、さあ出発!

”例の騒ぎ”も5月でひと段落というカタチのようですね。(個人的には、もう・・・。)
そうなると家族でトライしているカミーノ、ポルトガル人の道・・・もグッと近くに戻ってくる。
もうこれは思い入れの一冊、ですね。

アラスカをフィールドとする写真家・佐藤大史さんによるフォトエッセイ。広いアラスカの原野でたったひとり、写真は何を見て、何を考え、何を追いかけたのか。新進気鋭の写真家が綴るアラスカへの思いと撮影秘話。数万年、数十万年という単位で、種を紡いできた生き物たち。長い長いモノサシでないと計れない壮大な物語と向き合うアラスカ遠征の記録。

我が信州の誇る信濃毎日出版社より・・・少しB級な感じのする表紙もあって敬遠していましたがこれはひょっとして・・・?という思いもあり、仲間入りです。

暮らしや地域に必要な仕事は自分たちで立ち上げよう! 働く者たちが自ら出資して仕事をおこし、経営にも携わる。労働者協同組合法が成立し、いま「協同労働」という新しい働き方が広がろうとしている。行き詰る日本の雇用や労働の問題を浮き彫りにしながら、「協同労働」の意義や具体的な実践を検証し、その可能性を探る。

地方、山間部・・・に暮らしているとどうしてもぶつかる暮らしの軸たる要素が、仕事です。それを考えるヒントのための一冊。

人口、経済、情報、テクノロジー、債務・・・・・・
スローダウンはすでに始まっている!

オックスフォード大学の地理学者が
膨大なデータと事実(ファクト)で明らかにした
「加速時代の終焉」と「世界の安定化」

読者が突きつけられる
「直感に反する現実」と「人類の未来」とは?


山口周解説
ーー本書は現代人を振り回す「全ては加速している」という迷信を解除してくれる

テーマ自体はもう明確に感じていること・・・もう日本・世界がトップスピードでノリノリだぜ!なんて感じている人はいないでしょう・・・なのですが何故かこの本が気になったのはそのクドいほど膨大なデータ提示にあるのかな?なんて思っています。典型的正月の勢いで求めた一冊・・・ですかね。

アイヌ人口は減少の一途をたどり、2013年の調査によれば16,786人。
一方でその生活文化に注目し、学習する人は確実に増えている。中略~そうした中でここ数年、アイヌ関連観光が推進されている。
アイヌ舞踊ほか文化芸能を紹介するイベントが頻繁に行われ、アイヌの民俗をふんだんに取り入れた漫画『ゴールデンカムイ』が大ヒット。
そして2020年には白老町のアイヌ民族博物館が大々的にリニューアルし、国立アイヌ民族博物館を主軸とする民族共生象徴空間「ウポポイ」へと生まれ変わった。だが――。~本文より。

最果ての町から絶海の孤島まで、日本の隅々を自らの足で歩いてまわる旅作家・カベルナリア吉田がアイヌとは何かを求めて北海道中を歩いてまわった旅記録。
アイヌと開拓、明治以前のアイヌと和人の交流と抑圧の歴史。
そんな記憶が残る場所を訪ね、ある時は有名観光地で観光化が進み過ぎている現状に違和感を感じる。
そしてほとんど観光ガイドには取り上げられない地を歩き、100年前のアイヌと同じ風景を見る。
自分の足で実際に見て感じたアイヌの過去と現在。

カベルナリア吉田といえば名作「沖縄の島へ全部行ってみたサー 」(朝日文庫)でその軽妙なリズムと観察眼ですっかりお気に入りとなって以来読み続けていますが、これは時々混じるシリアスタッチ(?)。ウポポイの説明の後の”だが・・・”がこの本のキモなのでしょうね。

ASD(自閉スペクトラム症)と
ADHD(注意欠如・多動症)とを
併発した文学研究者が
世界を旅するとどうなるのか?

コミュ障、フロー体験、脳内BGM、キマイラ現象、依存症、発達性協調運動症……

ゆく先々の土地で、“ゆらめく身体”と世界文学が溶け合い、
前人未到のワンダーランドが立ち上がる異色の「当事者紀行」本。

・ウィーンの夜道を“反復”徘徊し、月面世界と接続する
・グラナダの“フロー体験”とヴァージニア・ウルフの『波』
・美しきソニアと村上春樹をめぐるマインドワンダリング
・カサブランカ――“砂塵の水中世界”とムーミン谷…etc.

圧倒的に美しく、知的興奮に満ちたハイパートラベル当事者研究!
「脳の多様性」(ニューロダイバーシティ) の時代における、発達障害の新しい可能性がここに。

単なる旅本好き・・・と言う以上に、平日昼間出かけている仕事・・・”世を忍ぶ仮の職場”でも「発達障害」という言葉に出逢い、向き合う機会がありまして。店先でパラパラやって「これは!」とフィーリングで選んだ本。

自らの環境から、フィーリングで選んだとなると次の一冊もまた、です。

二人の小さな子どもと海を渡った社会学者による、フィンランドからの現地レポート。

私も、この本を片手に戦える――上間陽子さん(教育学者)

今読んでいる本に出てくる、フィンランドの保育園の話が面白い。「思いやりや根気や好奇心や感受性」などを徹底的に「練習」できる「技術」と考える。また「友達だから一緒に遊べるのではなくて、一緒に遊ぶ人を(そのとき、その場で)友達と呼ぶ」。個人の性格や性質と考えられがちなものを、社会を生き抜くためのスキルと割り切るドライな発想。「これらのスキルはすべて、一歳から死ぬまで練習できることですよ」という保育園の先生の言葉。うちでいえば、今おチビは叩かないで感情表現する技術を、そして私自身は、母親として冷静に対応する技術の練習中なのだ。と思うと、少し気が楽になる。――もしこぴさん(読者)

日本で生きる若い女性として、勇気をもらった本でした。自分の裏には親、祖父母、さらに上の先祖の思いや努力があったこと、それを忘れてはいけないことを凄く実感させられて涙が止まりませんでした。また、社会学を専攻しているため、女性文系研究者としての生き方としてロールモデルが出来ました。――なっちゃんさん(読者)

子育て中の母親として、目から鱗が落ちました。自分では体験できないフィンランドの子育てからたくさんのヒントを貰えました。言うことを聞いてくれない我が子には、まだ技術が足りないのね、と客観的に思えるようになりました。――かおりさん(読者)


フィンランド(に限らず、北欧)は理想郷のように描かれるときがある。かと思うと、そんなことはないのだ、これがフィンランド(と北欧)の真実だ、と悪い情報を流す言説を見ることもある。
でもたぶん、それはどちらも正確ではない。フィンランドは理想郷でもないし、とんでもなくひどいところでもない。単に違うだけだ。その違いに驚くたびに、私は、自分たちが抱いている思い込みに気がつく。それに気がつくのが、今のところは楽しい。
(「4 技術の問題――保育園での教育・その2」より)

【目次】
はじめに
1 未知の旅へ――ヘルシンキ到着
2 VIP待遇――非常事態宣言下の生活と保育園
コラム1 ヘルシンキ市の公共交通機関と子ども車両
3 畑の真ん中――保育園での教育・その1
4 技術の問題――保育園での教育・その2
5 母親をする――子育て支援と母性
コラム2 社会とクラブと習い事
6 「いい学校」――小学校の入学手続き
7 チャイコフスキーと博物館――日本とフィンランドの戦争認識
コラム3 マイナンバーと国家への信頼
8 ロシア人――移民・移住とフィンランド
コラム4 小学校入学
おわりに

少し前から注目している国、フィンランド。著者は母親で自分は父親・・・ではあるのですがそれを飛び越えて感じる、学べることがあると感じた。
少し前に本屋仲間の間で話題だった、というのも背中を押してくれましたかね。

今、この人の話していること、聞かないとだめじゃないかな。
耳を傾けるだけじゃなくて。体ごと傾けて。
――斎藤真理子(翻訳者)推薦

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あなたに死なないでほしい。
家父長制、資本主義、天皇制に抗して、あらゆる生存のためになにができるのか、なにが言えるのか。金子文子やデヴィッド・グレーバーを参照軸に、アナーカ・フェミニストの立場からこのくにの歪みを抉り出す、ライター高島鈴の初エッセイ集。脈打つ言葉は、きっと誰かの心臓と共鳴する。

「どうせ生まれてしまったんだから、他人のために、少しでもこの世をマシな方向に動かそう。自分のために殺意を使うな。首にかかった手を外して、ゆっくりと社会に向かって拳を握り直そうではないか。いろいろなものに追い詰められて、布団の上に横たわったまま動けずにいる身体は、あなたの意志ひとつで蜂起に参画できる。私はあなたと、そういう戦いをしたいのである」(本文より)

◎目次
序章
第1章 アナーカ・フェミニズムの革命
第2章 蜂起せよ、〈姉妹〉たち
第3章 ルッキズムを否定する
第4章 布団の中から蜂起せよ――新自由主義と通俗道徳
第5章 動けない夜のために――メンタルヘルスと優生学
第6章 秩序を穿つ――ナショナリズム/天皇制に抗する
第7章 儀礼から遠く離れて
第8章 死者たちについて
終わりに

本屋仲間からの薦め。ソイツのススメの切れ味鋭い・・・ことを差し置いても今月の”ヘソ”かな?と思う。感じる。
全ての”布団の中の人”の蜂起を夢見る。
・・・なんて書きたくなる力を秘めた一冊。

ヒマラヤ遠征を繰り返し、旅から旅へ。未知の世界と出会い続ける7年間。

北極海でシロクマと出会い、沖縄で漂着クジラの亡骸に手を合わせ、シベリアで流氷の誕生を見つめ、ユーコン川をカヌーで下りアラスカへ。富士山に海抜0メートルから登り、知床でヒグマと一夜を過ごし、ペルー、チベット、パリ、サハリン、ベトナム、カナダ、オーストラリア、能登、国東、白老、鹿児島、宮古島。カメラを携え未知の世界と出会い続ける7年間の旅の軌跡。

かけがえのない日々の経験が、まだ見ぬ新しい星座を次々に浮かび上がらせてくれることを信じて、 ただ歩き続けていくだけだ。ぼくは未だ、旅の途上にいる。――あとがきより

石川直樹は大概読んでいるのだけれど、抜け落ちていた一冊。うん、石川の国内旅はそう読んでいないと思う。それだけで愉しみ。
本屋仲間が2月はチベットを旅する、と言っていた。羨ましい。
そんな彼女にもこの本と石川を勧めておいた。その後もまた、愉しみだ。

さびれつつあった図書館はどのようにして日本で最も注目されるようになったのか? 鹿児島県指宿市の図書館を変えた地元女性たちの大奮闘の物語。

coldmounatinstudyは図書館でもありますので、この手の話題はいつも気になります。猪谷千香は「つながる図書館」(ちくま新書)もよかったので。

エリートの道を転げ落ち、引きずる死の影を詩いあげる放哉。各地を歩いて、生きて在ることの孤独と寂寥を詩う山頭火。アジア研究の碩学による省察の書。

前からに来なっていた一冊。放哉も山頭火も好きです。特に山頭火は昨年松山を訪れて以来個人的に気になり続けています。

こんな感じの”近過去”の話を読みたいと思っていたタイミングでもあるので、引っかかって来たのでしょうね。仲間内で歌や句が注目されつつある、というのもまた理由のひとつか。

最後は、もはや安定の発酵食品絡み。

発酵デザイナーによる、日本の発酵文化をリサーチする、8か月間の旅の記

元バックパッカーの小倉ヒラクが2018年夏から8カ月かけて全国の発酵の現場を訪ね歩いた旅行記。本書『日本発酵紀行』はD&DEPARTMENTが手がけるd47 MUSEUMの企画展「Fermentation Tourism Nipponー 発酵から再発見する日本の旅ー」の公式書籍として誕生しました。発酵を通して日本の文化の深層に出会い、今を見つめなおす旅の記録。醤油、味噌、酒といった日本のソウルフードだけでなく、お菓子、漬物、激レア激ウマ発酵食品までを隅々まで歩き出会い食べつくす!

文庫化される前から購入を迷っていた一冊。ちなみに単行本の表紙がわが敬愛する発酵調味料・お隣新潟の「かんずり」の製造風景であったことも気になる一因。

小倉ヒラクさんは早くから近隣・甲府の味噌蔵とお仕事されいたり、何かと近さを感じる方です。

この本は旅絡みでもありますのでよりたのしみですね。

と。

ちょっとボリューム多めの今月ですが来月もすでに気になる新刊が並んでいます。

しばらくは欲望と戦う・・・多くは敗北する・・・日が続くか、です。

※リンクがamazonなのはamazonで買って欲しいということでは決してなく、単に見やすい・調べやすい・・・ということです。誤解なきよう。


http://www.coldmountainstudy.com/
coldmountainstudy@gmail.com 

coldmountainstudy  店主:鳥越将路



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