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2022年4月の記事一覧
新しく、そして最後の朝。
その朝 愛するひとの死が どこにでもあることを シーツに感じる どこまでも沈むあたたかさに きみの死も 朝のレモンティーのかおり 死という生花を かこむテーブルで すいこむ香りは 生き生きとして 眠りがひとつの扉をくぐるように 目覚めはまた別の扉をくぐるように 黄色のテーブルクロスに 投げられた手を きみは手のひらで あたためる 生きるとは 突然で疑問だらけ
もっとみるあたらしく生まれるのは
生まれたのは 泡の岩礁 シャンプーのような 青いサボテン ワイングラスの少女 豚の陶器や あふれている臓器 からからガラスが 風に鳴る あれは 捨てた童話の頁から吹いてくる冬の風 頬を濡らすのは 時が湿っているから ひとびとは立ちつくす 凍ったまま 次の一歩をおろせない 白い手の波 跳ねる白と黒の鍵盤 遠い国の墓地 額縁に名前はない かさかさと 過
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