きみのあしあと
時間がきえ
わたしの眼は
命そのものをみる
きみや祖先の
魂が
カラフルな蕾から
あふれたり
種子になる
わずかの時間
歩むことができない
ひとがひとでなくなる
あるいは
ひとがひとになる
風の音
決して消えることのない
神の声
そこでわたしは
立ち止まる
背後には
生まれるものも
死ぬものもいない
赤子のかおり
死者のかおり
あたらしい星の香りは
あまい
きみは
永遠のひだまりに立っている
紫の陰のように
恐怖で
死後の自分をみるように
燃えあがる儀式を
通過したように
きみの呼吸で
陽だまりの色が変わる
深紅の夕暮れ
ピンクのあさぎり
輪郭だけの
花
深夜が
やってくる
そこから
きみは歩みだす
パープルの霧を泳ぎ
もうひとりのきみの
足あとに
正確に踵をおろして
いつしか
きみの足は見えない
足あとには
蕾が
ならんでいる
きみが歩んだように
一歩一歩
種子をはきだし
記憶の底の
声でかたりかける
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