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『メダリスト』つるまいかだ|マンガ

スポーツは全般に大好物である。


と言っても、Jリーグやプロ野球にハマった経験がなくて恐縮なのだが、オリンピックで注目される競技――水泳、陸上、柔道、レスリング、体操、卓球、バドミントンなどは、世界選手権や日本選手権がテレビでやっていたらよく見るし、もう少しマイナーな競技、たとえばフェンシング、ウェイトリフティング、馬術、カヌー、射撃、ビーチバレーなども見る。見たい。

だから東京オリンピックが延期となり、今年やるといってもいったいどうやるのか見通せない現状を、非常に残念に思う。

まして実際にオリンピックに出場予定だった選手の方や、直接サポートされるコーチ・スタッフの皆さんのご心労を思うと本当に胸が痛む。

スポーツの楽しめる日常が一日でも早く帰ってきてほしい。


人が心底打ち込める「ポジティブ」なホビーがいくつかあって、音楽、絵画や彫刻、物語、そしてスポーツがそれである。

ちなみに「ネガティブ」なホビーの代表がギャンブル、セックス、アルコールだ。ようするにカネ、女、酒。たぶん。

ポジティブ、ネガティブは別に善悪ではないので悪しからず。


東京が延期だ中止だと言っている間に、次の冬のオリンピックも近づいているらしい。

2022年2月4日に開幕予定の(冬の)北京オリンピックである。開幕まですでに1年を切っている。4年に1度のオリンピック。もともと夏⇒冬の間は1年半だが、今回の東京の延期でこれがわずか半年になってしまった。

北京オリンピックといえば2008年の夏の大会が思い出される。競泳・北島や柔道の谷本、ソフトボールチーム、陸上400メートルリレーの銅メダル(のちに銀に繰り上げ)が思い出深い。

ソフトボールの決勝や陸上のリレーは家族で見ていた。うれしかったなぁ。


ところで、冬の競技で、自分がいつもどうにもスッキリしない思いで見るのがフィギュアスケートである。

そもそも採点競技がなんとなくスッキリしない。陸上や競泳のような、タイムでスパッと残酷に決まる競技のほうが、性に合っている気がする。

あとはフィギュアって、なんかこう……黄色い声がキャーキャーするじゃないですか。他の競技もキャーキャーすることはあるけど、それでも一番キャーキャーしている。衣装も凝っているし、それから花束やぬいぐるみ投げたり。あれがどうにも「スポーツ」という概念になじまない感じがして、ちょっとモヤモヤしてしまう。

羽生くんや宇野くんはステキでカッコいいと思うけれど。



そんなフィギュアスケートへのモヤモヤや偏見を爽快に吹き飛ばしてくれるマンガが、アフタヌーン誌で連載中の『メダリスト』である。

第2巻が昨日発売になった。あさって発売のアフタヌーン4月号では表紙と巻頭カラーを飾ることが決まっている。




本作についてはnoteで一筆書かせてもらった

おかげさまで割とビューの多い記事で、ためしにグーグルで「マンガ メダリスト 感想」と入れてみると、かなり上位に表示される。


2巻が発売になったとのことで、もう一度強調させていただく。

このマンガ、すごい

誰がなんと言おうとこの思いを覆すことはできない。

すごい。何度でも言う。すごい。

すごいからもっと多くの人に読んでほしいのです。


1巻が泣けることは前回書かせていただいた通りなのだが、2巻の冒頭から始まる「第4話」が秀逸のひとこと。

雑誌本誌ですでに何度も読んでいるのに、読むたびに目頭が熱くなる。


「人生には3つの坂がある」というスピーチがある。

「人生には3つの坂がございます。『上り坂』『下り坂』、そして『まさか』でございます」と言って笑いを取るアレである。

これはフィクションにも適用される。

優れた作品は、ストーリーを上手に上げ下げし、そして巧みに読者の意表をつく。本作『メダリスト』ほど、短い尺の中でこれを表現するフィクションも、なかなかないように思う。


キラリと光るマンガは数あれど、連載開始後の日が浅いマンガ作品の中で、自分が何かひとつお勧めを挙げろと言われたら真っ先に頭に浮かぶ作品。

本当にすばらしい。応援してます。1話のリンク⇩


ただひとつ心配なのは、序盤にしてこれだけ完成度が高いと、ここからの展開が味気なく感じてしまわれないか、という点。

いのりちゃんと司くんの二人三脚をじっくり描き切ってほしい。


マンガのランキングとかもっと全然上に来ると思うんだけどな……






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