[創作メモ]恋愛小説は恥ずかしくて書けない!?
初めて小説を書こうと思ったのが中学生のころ。見よう見まねで書いたそのノートは誰にも見せられなかった。
感情を文章にすること、ことさらキャラクターにそれを持たせて動かすということは、自分の価値観や思考回路がバレるってことなんじゃないか?キャラクターにこんなことをさせたり、こんな気持ちを持たせたりするのは、私がそうしたりそう思ったりすると言っているようなものなんじゃないか?
当時は自分に自信がないうえ、自分とキャラクターや作品を切り離して考えることができなかった。
だから特に、恋愛小説は恥ずかしくて書けなかった。だってそんなの、ハダカを人に見られるようなものじゃない!
そんな風に思っていた私だけど、今では恋愛ものも書くようになった。
単純に歳を取った(なんせ15年以上も経っている)のもあるけれど、自分と切り離して考えるのがうまくなったんだと思う。
大体私に書けるキャラクターなんて世の中に溢れたイメージの寄せ集めに過ぎない。そこまで強烈な個性の特殊な人物なんてなかなか生み出せない。どこかパターンにあてはまる。そんなものを書いたところで私の内面の告白にはならないのだ。
逆に言えば人と違うものが書けるなら、それは強烈な”売り”になる。だから自分の感覚を恥じることもないのだ。
更に、嗜好と思考は違う。創作のジャンルやモチーフとしては好きだけど、自分に当てはめて実際体験するのはまた違うということだっていくらでもある。ミステリー作家が連続殺人犯ではないように、書くものと書いている私は違うのだ。
そして、恥ずかしがっていたあの頃の自分が最も恐れていたのがきっと笑われたり非難されたりすることだ。そんなことをする奴は程度の低い人間だから相手にしなくていい。これに尽きる。
小説は誰だって自由に書いていいのだ。恥ずかしがってその時にしか書けないものを書かないことのほうがもったいない。
…もったいないことしたな、昔の私。
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